2026/09/28

暗号資産週間レポート(2026.9.20~2026.9.26)
BTC、ETFへの大規模流入とショートカバーで87,000ドル台へ急伸も、米長期金利上昇で反落


【9/20~9/26週のサマリー】

・先物ショートカバーと現物ETF資金流入により、ビットコインは87,000ドル台まで急伸
・米現物ビットコインETFは週間ベースで約24億ドルと2025年10月以来の大規模流入
・米9月PMIが約5年ぶりの高水準となり米長期金利が2007年以来の水準まで急上昇
・Bitgetから約3.9億ドル相当の不正流出が発生。北朝鮮の関与の疑いがあると発表され、2026年の同国関連被害額は累計10億ドル超に


【暗号資産市場概況】

9/20~9/26週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+4.14%の13,240,450円、ETH/JPYの週足終値は同+2.59%の422,659円(※終値は9/26の当社現物EOD[9/27 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、82,000ドル突破を契機にショートカバーとETFへの資金流入が重なり、ビットコインは一時87,000ドル台まで急伸した。週初は引き続き反発基調となり、21日に年初来の主要レンジ上限となっていた82,000ドルを上抜けると、22日早朝には1月下旬以来となる87,000ドル台まで高値を伸ばした。先々週に米上院でのCLARITY法案(暗号資産市場構造法案)のクローチャー採決否決やFOMC通過といったイベントを終えたことで悪材料出尽くし感が意識されたほか、立法が停滞するなかでもSEC・CFTCが既存権限の下で規制の明確化を進める姿勢を示したことが安心感につながった。さらに、原油価格と米長期金利の低下、NASDAQの過去最高値更新、AI・半導体株主導のリスクオン地合いがビットコインを強力に後押しした。

82,000ドルはテクニカル上の節目であると同時に、米現物ビットコインETFの平均コストベース(CoinDesk推計:約82,225ドル)に相当する重要な水準であった。これを上回ったことでETF投資家の損益環境が大幅に改善。21日の上昇局面で24時間の暗号資産全体のショート清算額は約9.19億ドル(うちBTCが約5.57億ドル)に達し、ショートカバーが上げ幅を拡大させた。また、米現物ビットコインETFには21日単日で約9.99億ドルの純流入(週間では約24億ドル)が記録され、2025年10月以来約11カ月ぶりの大幅な資金流入となった。

しかし23日、再度87,000ドル台を試すも高値更新に失敗すると上値の重さが目立ち始めた。同日発表の米9月PMIが約5年ぶりの高水準となったことでFRBの金融引き締め長期化(利下げ観測の退潮)が意識され、米長期金利が2007年以来の水準まで急上昇。24日にはウィリアムズNY連銀総裁やポールソン・フィラデルフィア連銀総裁らによるタカ派発言が相次ぎ、BTCは下落基調を強めて一時83,000ドルを割り込んだ。25日未明に米財務省が長期国債の買い戻しを実施したものの金利は高止まりした。その後、米・イラン協議の進展報道を受けて原油価格が下落したことが支えとなり、週末にかけては84,000ドル前後で揉み合う展開となった。

今週は米雇用指標をはじめとするマクロデータに大きな関心が集まる。29日のJOLTS求人件数、30日の9月ADP雇用統計および8月PCE物価指数、10月1日のISM製造業景況指数を経て、2日には9月米雇用統計が発表される。米長期金利の動向や金融政策の見通しを左右する材料として注目したい。また、28日にニューヨークで開催される「Bitcoin Treasuries Conference」や、30日~10月1日の「Korea Blockchain Week 2026」における企業・機関投資家のビットコイン保有戦略やWeb3最新動向も市場のセンチメントを占う上で重要なイベントとなる。



[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米BTC現物ETFの資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米ETH現物ETFの資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がETH価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米XRP現物ETFの資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



【9/20~9/26週の主な出来事】


【9/27~10/3週の主な予定】



【今週のひとこと】中央銀行マネーがトークン化金融に接続する時代

欧州中央銀行(ECB)は2026年9月21日、トークン化された金融資産のホールセール取引(金融機関・大企業・機関投資家などのプロ同士が行う大口取引)を中央銀行マネーで決済できる新たな仕組み「Pontes」を開始しました。Pontesは、分散型台帳技術(DLT)を用いた市場インフラと、ユーロ圏における既存の決済インフラ「TARGET Services」を接続する仕組みです。

ここでのトークン化とは、債券や証券などの金融資産をデジタルトークンとして発行・管理することを指します。DLTを活用することで、発行、売買、決済、保管、利払いなどの一連の処理を、より自動化・効率化できる可能性があります。

今回のポイントは、トークン化金融の決済部分に、中央銀行マネーという信用力の高い決済資産を接続しようとしているところです。金融取引では、資産そのものをトークン化しても、決済に使うお金の部分に信用リスクや流動性リスクが残れば、市場全体としては十分に効率化されません。

この点において、PontesはUSDCやRLUSDのようなステーブルコインと異なる位置づけにあります。USDCやRLUSDが、民間発行体が裏付け資産を保有し、ブロックチェーン上で流通する決済手段である一方、Pontesが対象とするのは主に金融機関同士の大口取引であり、決済資産には中央銀行マネーを使います。

ECBは、Pontesをまず基本的なサービスから開始し、機能や稼働時間を段階的に拡張しながら、2028年までの本格実装を目指すとしています。初期参加者にはDeutsche Bank、Santander、Société Générale、European Investment Bank、KfW、Clearstreamなどが含まれており、トークン化金融が実証実験から市場インフラの検証段階へ進んでいることが分かります。

Pontesは暗号資産価格に直接影響を与えるニュースではありませんでした。しかし、ブロックチェーン技術が暗号資産やDeFiだけでなく、国債、社債、投資信託、預金、決済資産といった伝統的な金融商品にも広がりつつあることを示唆する重要なトピックであったと言えるでしょう。




(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



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