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当社における新規取扱い暗号資産の審査について

SBI VCトレード株式会社
2023年1月

1. 目的

この文書は、当社が新たに暗号資産の取扱いを行う場合の審査体制と手続きを公開することで、当社の審査が適切に行われていることを示し、これをもって顧客保護に対する取り組みの一助とするものです。

2. 定義

この文書に使用する用語の定義は、次のとおりとします。

「発行状況」とは、暗号資産の発行に関わる状況(発行者や発行数量など)を示す情報をいう。
「取引状況」とは、暗号資産の流通に関わる状況(取引高や時価総額など)を示す情報をいう。
「利用状況」とは、暗号資産のユースケースに関わる状況を示す情報をいう。
「プロジェクト」とは、暗号資産が使用されるブロックチェーンネットワークおよびそれを核としたエコシステムの形成に取り組む活動の総体をいう。
「関係者」とは、プロジェクトに関わる者のうち、当社が主要なメンバーであると判断する者をいう。
「暗号資産取扱検討委員会」とは、関係各部部門長で構成される全会一致制の委員会をいう。

3. 取扱審査の体制

当社における取扱暗号資産の審査体制とその手続きは、以下のとおりです。

1)取扱審査体制の構成

当社では、実効的なけん制が行われるための態勢構築として、3線体制による適切な内部統制環境のもと、取扱審査に取り組んでおります。

1線部門(経営企画部)
2線部門(コンプライアンス部)
3線部門(内部監査部)

2)取扱審査体制の独立性
・取扱審査の過程や結果に、営業部門やこれに準ずる部門が関与する場合の内容

当社では、営業部門を含む1線部門(経営企画部)が取扱銘柄の選定を行い、2線部門(コンプライアンス部)がその銘柄の取扱審査を行い、取扱いを可とした暗号資産を暗号資産取扱検討委員会で審査の上承認しています。そのため取扱審査の過程や結果に、営業部門が直接関与することはございません。また3線部門(内部監査部)が、 内部監査を通して取扱審査全般に関わる事後的な確認と、必要に応じた是正措置を提起するなど全体的な評価を行うことにより、この 取り組みに対する健全なガバナンスを保ちます。

3)取扱リスクに対する検証体制
・取扱リスクを包括的かつ具体的に検証し特定する機関・部門、もしくはこれを行う者が所属する部門名等

一次検証:コンプライアンス部
二次検証:暗号資産取扱検討委員会

4)審査結果に基づき意思決定を行う手続き
・取扱審査体制による取扱い審査手続きの概要

当社では取扱審査に先立ち、1線部門(経営企画部)による日々の調査・分析によって選出された複数銘柄について、対象銘柄の将来性や安全性・流動性・収益性等を総合的に勘案して審査対象を選定しています。 2線部門(コンプライアンス部)の担当者が対象銘柄に対する取扱審査を行い、取扱いを可とした暗号資産を暗号資産取扱検討委員会で審査の上承認いたします。そのうえで、取締役会又はその他これに準ずる意思決定機関の承認を得て、その取扱いを開始いたします。

・特定された取扱リスクの扱いを決定する手続きの概要

2線部門(コンプライアンス部)でリスク検証と特定を行い、この審査結果を暗号資産取扱検討委員会へ提出し、その内容を報告します。暗号資産取扱検討委員会においては、特定されたリスクの検証及び評価を行い、必要に応じリスク管理策の設定や、追加審査の指示もしくは取扱見送りの決定を行います。

・取扱に対する最終意思決定

暗号資産取扱検討委員会で承認が得られた暗号資産は、取締役会又はその他これに準ずる意思決定機関の承認となります。

5)資料の保存
・取扱審査の過程および結果資料の保存ルール

取扱暗号資産の審査過程及び審査結果に係る資料は5年間保存(但し、当社が当該暗号資産を当社の取扱い暗号資産としている場合は当該資料の破棄はできないものとする。)するものとしております。

4. 取扱審査の観点

当社の取扱審査における各事項の観点は、以下のとおりです。

1)取扱暗号資産に関する審査事項

1. 発行状況に関する事項
2. 取引状況に関する事項
3. 利用状況に関する事項
4. 暗号資産の関係者に関する事項
5. 暗号資産及び記録台帳の技術に関する事項
6. 対象プロジェクトに関する事項

2)社内体制に関する審査事項

1. 暗号資産の安全管理体制に関する事項(保管に際して十分安全と判断されるウォレットが存在する等)
2. 暗号資産の技術対応能力に関する事項
3. 自社の取引処理能力に関する事項
4. 財務耐久性に関する事項
5. 需要見込みに関する事項
6. 顧客との利益相反に関する事項
7. 取扱開始時の価格決定方法及び取引条件に関する事項
8. 顧客への情報提供及び説明に関する事項

3)取扱暗号資産のリスク検証に関する審査事項

1. マーケットリスク(当該暗号資産の供給過多などにより価格が低下するリスク)
2. プロジェクトに係るクレジットリスク(当該暗号資産のプロジェクト運営が失敗し(実質的に)消滅するリスク)
3. 流動性リスク(流動性がなく換金・交換ができないリスク)
4. ハッキングのリスク
5. 移転記録等が改ざんされて紛失するリスク
6. 当社におけるレピュテーションリスク