2026/07/21
暗号資産週間レポート(2026.7.12~2026.7.18)
半導体ショックと中東リスクの中、ビットコイン(BTC)に見えた底堅さ
【7/12~7/18週のサマリー】
・暗号資産、資金決済法から金融商品取引法に移行する改正法が成立
・ 注目のCPI・PPI共に予想を下回る
・ウォーシュFRB議長、上院・下院委員会で証言
・半導体ショックによる株安、韓国KOSPIでサーキットブレーカーが2週連続発動
・米軍によるイランへの攻撃拡大やホルムズ海峡の封鎖懸念、地政学リスクの緊迫化
【暗号資産市場概況】
7/12~7/18週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+1.02%の10,506,400円、ETH/JPYの週足終値は同+2.45%の301,990円(※終値は7/18の当社現物EOD[7/19 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は半導体株の調整と地政学リスクにより主要株価指数が急落したものの、ビットコイン現物ETFへの資金流出一服を背景に65,000ドル付近まで買い戻される底堅さを見せた。
週初13日、半導体関連株には売りが広がった。韓国総合株価指数(KOSPI)は、AI半導体需要への懐疑論を背景にSKハイニクスが急落するなど、半導体株とレバレッジ投資の巻き戻しが加速、KOSPIは8%超の大幅安となり直近1ヶ月で4回目となるサーキットブレーカーが発動した。さらに、米軍によるイランへの攻撃拡大やホルムズ海峡の封鎖懸念に加え、トランプ大統領の「海峡の護衛費用として積み荷の20%を徴収する」との発言を受け、地政学リスクが急速に高まった。さらに、ウォラーFRB理事が「今週発表のCPIが高ければ、近い将来に金融引き締めの検討をする必要がある」と、インフレ警戒的な発言をしたことも重荷となり、ビットコイン(BTC)は64,000ドルから61,800ドル付近まで下落した。
14日に発表された注目の米6月CPI(消費者物価指数)は、前月比の予想▲0.1%に対して結果▲0.4%と非常に弱い結果となった。ウォーシュFRB議長が議会証言で「朝のデータ(CPI)を歓迎するが、これで任務完了とは全く考えていない」とインフレへの警戒感が依然強いことを示したものの、CPI下振れを受けて市場では7月の利上げ観測が大きく後退。BTCは65,000ドル付近まで上昇した。翌15日の米PPI(生産者物価指数)も前月比で予想の0.0%を下回る▲0.3%となり、インフレ減速が鮮明となった。FRBの利上げ観測が後退したことで、米金利低下とリスク資産全般の買い戻しが進み、BTCは一時65,500ドル付近まで反発した。
16日は、半導体関連株に調整売りが続いたほか、中東情勢を巡る報道も市場心理の重石となり、BTCは64,000ドル台を中心に方向感を欠く展開となった。同日に発表されたTSMCの決算は、売上高・純利益ともに市場予想を上回り、通期の売上高見通しを前年比30%増から40%増へ、設備投資を560億ドルから640億ドルへ引き上げた。しかしながら、AI関連需要への期待を背景に株価が先行して上昇していたことから、好決算にもかかわらず利益確定売りが優勢となり株価は7%超下落、KOSPIも6%超の下落となった。17日は、レバレッジ規制を公表したKOSPIの休場やキオクシア訴訟報道、新AIモデルKimi K3(Kimiショック)でリスクオフのフローが日経平均に集中し、歴代5位の記録的な下げ幅となった。一方でBTCは、株安の流れを引き継いだ米株市場の軟調を横目に、夜間にかけて64,500ドル付近まで買い戻された。少額ながら、2週連続でBTC現物ETFへの資金流入が下支えとなった。週末にはCVD(累積デルタ)の動向からも先物主導の買いが確認され、65,000ドル付近まで上昇して週の取引を終えた。
今週は、BTC現物ETFへの流出入動向、クラリティ法案の進展に注目が集まる。引き続きハイパースケーラーや主要半導体企業の決算発表にも注目は集まるが、市場の期待値が高いため、好決算であっても株価の上値が重い可能性がある。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]
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(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がETH価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[STRC上場来チャート(日足)]

(ローソク足がSTRC価格 /青線がBTC価格)
(TradingView提供のチャートにて SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【7/12~7/18週の主な出来事】

【7/19~7/25週の主な予定】

【今週のひとこと】 暗号資産取引規制を資金決済法から金融商品取引法へ―改正法が参院本会議で成立
7月15日、日本の暗号資産市場に関する重要な法改正が成立しました。参議院本会議で「金融商品取引法及び資金決済法の一部を改正する法律」が可決・成立し、暗号資産の取引規制は、従来の資金決済法を中心とした枠組みから、金融商品取引法(金商法)の枠組みへと移行することになります。
これまで日本では、暗号資産は主に「決済・送金手段」として位置付けられ、資金決済法のもとで交換業者の登録や利用者保護などの制度が整備されてきました。一方で、市場の拡大に伴い、現在では決済よりも投資対象として利用される場面が増えています。米国では現物ETFの普及や機関投資家の参入が進み、日本国内でも資産運用の対象として暗号資産を保有する投資家が増加するなか、制度と市場実態との間にギャップが生じていました。今回の法改正は、こうした市場環境の変化を踏まえた制度の見直しと位置付けることができるでしょう。
改正法では、暗号資産に関するインサイダー取引規制や情報公表制度の整備、無登録業者への規制強化などが盛り込まれています。これらは株式市場と同様に、市場の公正性や透明性を高め、投資家保護を強化することを目的としたものです。暗号資産を決済手段としてだけではなく、金融商品取引法の枠組みで規律する方向性が、制度面でも明確になったといえるでしょう。
こうした動きは海外の規制環境とも歩調を合わせるものです。欧州ではMiCA(暗号資産市場規則)が施行され、米国でも暗号資産市場の制度整備に向けた議論が進められています。日本は2017年に世界に先駆けて暗号資産交換業の登録制度を導入しましたが、今回の法改正により、投資対象としての暗号資産を見据えた制度整備が一段と進むことになります。
市場では、暗号資産の申告分離課税(税率約20%)への見直しや、国内での現物ETF解禁にも期待が集まっています。もっとも、今回の法改正によって、これらが直ちに実現するわけではありません。一方で、暗号資産が金商法の枠組みで規律されることにより、株式や投資信託など他の金融商品との制度的な整合性を踏まえた議論が進めやすくなったことは、大きな前進といえるでしょう。今回の法改正は、税制やETFを含めた今後の制度整備に向けた基盤が整ったという点でも、日本の暗号資産市場にとって重要な一歩となりそうです。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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