2026/07/27

暗号資産週間レポート(2026.7.19~2026.7.25)
クラリティー法案成立期待後退と外部環境悪化で暗号資産市場は慎重ムード


【7/19~7/25週のサマリー】

・米国のクラリティ法案の成立期待が低下し、規制明確化の遅れが市場心理を冷やした
・Big TechのAI投資過熱懸念や韓国金融委員会(FSC)の単一銘柄レバレッジ型ETF・ETNに係る最低預託金要件の強化を7月31日に前倒しする方針の提示を背景に、リスク資産全体で慎重姿勢が強まった
・今週は注目決算多数とFOMCでボラティリティ拡大が警戒される


【暗号資産市場概況】

7/19~7/25週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+0.30%の10,537,700円、ETH/JPYの週足終値は同+1.55%の306,680円(※終値は7/25の当社現物EOD[7/26 6:59:59]レートMid値)

先週の暗号資産市場は、米国の暗号資産市場整備を巡るクラリティ法案について、2026年中の成立確率が30%台まで低下したとの見方も広がり、暗号資産市場全体のセンチメントをやや冷やす要因となった。またBig Tech各社によるAI関連設備投資の過熱に対する警戒感や、韓国の信用取引規制強化によるアジア市場からの資金流出懸念が意識された。

週全半は、仲介国がイランに10日間の停戦案を提示したと、イラン高官がロイター通信に明らかにしたことや、8月の議会休会を前にクラリティ法案の上院採決に向けた調整が行なわれていることが好感されBTCは66,800ドル超えとなったが、後半は米国の主要テクノロジー企業によるAI向け設備投資が収益を圧迫し始めていることや、クラリティ法案の最新草案の内容が超党派での合意には不十分との見方が市場で広がり、BTCも64,000台と先週末終値付近まで戻る往って来いの展開となった。

Microsoft、Amazon、Alphabet、MetaなどはAIインフラへの積極投資を継続しているものの、市場では「設備投資競争が利益成長を上回るペースで進んでいる」との懸念が浮上し、7月前半好調に推移していたBig Tech中心としたハイテク株は上値の重い展開となり、暗号資産市場でもリスク資産全体に対する投資家心理がやや慎重姿勢へと傾いた。

また、韓国では金融委員会(FSC)が信用取引における最低預託金を従来予定していた8月5日から7月31日に前倒しして引き上げる方針を示したことが市場の注目を集めた。この措置により、信用取引を利用する投資家が現金確保を迫られる可能性が意識され、韓国株式市場(KOSPI)ではポジション縮小の動きが広がるとの見方が強まった。韓国は暗号資産市場への参加率が世界的にも高い市場であることから、株式市場からの資金流出が暗号資産市場にも波及する可能性が警戒されている。

BTC現物ETFは7営業日連続流入超からの2日営業日連続流出超となったが、週次ベースでは3週連続流入超となった。

今週は日米韓半導体企業決算、Big Tech決算、FOMC、BOJ、Strategy社決算等注目材料が目白押しである。FOMCは現時点では政策金利の据え置きが市場コンセンサスとなっている。原油高と長期金利上昇を一時的な地政学的ショックとみなすのか、今後のインフレへと波及する持続的なリスクと判断するか注目される。

一方で、暗号資産市場固有の材料としては、Polymarket上でクラリティ法案(Clarity Act)の2026年中の成立確率が30%台まで低下したとの見方が市場心理に影響を与えた。同法案はデジタル資産に対する規制の明確化や、証券とコモディティの管轄整理を目的とした重要法案として期待されてきたが、政治日程や議会内の調整難航を背景に、市場では成立時期が後ろ倒しになるとの見方が優勢となっている。規制環境の明確化が遅れることで、機関投資家による新規参入や企業によるブロックチェーン関連投資が慎重化する可能性も意識され、暗号資産価格への影響も懸念される。



[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がETH価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



【7/19~7/25週の主な出来事】


【7/26~8/1週の主な予定】



【今週のひとこと】 BitMEX閉鎖が映し出す暗号資産市場の成熟

7月23日、暗号資産デリバティブ取引所「BitMEX」は、事業戦略の見直しに伴い、9月23日をもってサービスを終了すると発表しました。現在ではBinanceやBybitなどの取引所がデリバティブ市場を牽引していることから、今回の発表がビットコイン価格や市場全体へ与える直接的な影響は限定的とみられます。しかし、暗号資産市場の歴史という視点で見ると、今回の発表は一つの時代の終わりを象徴する出来事と言えるでしょう。

BitMEXは2014年の設立以来、暗号資産デリバティブ市場の発展を支えてきた代表的な取引所です。特に、現在では暗号資産デリバティブ取引の主流商品となっている「無期限先物(Perpetual Futures)」を実用化し、その普及の礎を築いた存在として知られています。また、無期限先物を現物価格へ近づけるためのファンディングレートをはじめ、現在の暗号資産デリバティブ市場を支える仕組みや市場慣行の普及にも大きく貢献しました。

一方、この10年余りで暗号資産市場は大きく変化しました。取引所間の競争が激化し、流動性や商品ラインアップ、規制対応などが重視される中、市場の主役はBinanceやBybit、さらに機関投資家向けのCMEなどへと移っていきました。それに伴い、BitMEXの存在感も以前と比べて大きく低下し、今回、事業戦略の見直しに伴うサービス終了が発表されました。

こうした動きは海外の規制環境とも歩調を合わせるものです。欧州ではMiCA(暗号資産市場規則)が施行され、米国でも暗号資産市場の制度整備に向けた議論が進められています。日本は2017年に世界に先駆けて暗号資産交換業の登録制度を導入しましたが、今回の法改正により、投資対象としての暗号資産を見据えた制度整備が一段と進むことになります。

今回の発表は、市場に大きな混乱をもたらすニュースではありません。しかし、現在では当たり前となった無期限先物やファンディングレートといった市場の仕組みを生み出し、暗号資産デリバティブ市場の発展を支えてきたパイオニアが歴史に幕を下ろすことは、大きな節目と言えるでしょう。

市場を牽引するプレーヤーは時代とともに変化しますが、BitMEXが築いた取引インフラや市場慣行は、現在の暗号資産市場にも受け継がれています。今回の閉鎖は、市場の成熟と世代交代を象徴する出来事として記憶されるのではないでしょうか。




(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



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