2026/09/01

暗号資産週間レポート(2026.8.23~2026.8.29)
米国債買い戻しの続報やNVIDIA好決算でBTC上昇も、ウォーシュFRB議長発言で利上げ観測強まり反落


【8/23~8/29週のサマリー】

・米財務省による長期国債買い戻しの資金として、約9,500億ドルのTGAを活用する可能性があるとCNBCが報道
・NVIDIAが市場予想を上回る好決算と強気な売上高見通しを発表し、AI投資の長期化への期待が高まる
・ウォーシュFRB議長がインフレ抑制を重視し利上げの可能性を示唆、9月FOMCでの利上げ観測が強まる
・米国のビットコイン現物ETFに9日連続で資金が流入する一方、28日には約2億ドルの純流出に転じる



【暗号資産市場概況】

8/23~8/29週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+2.46%の12,513,200円、ETH/JPYの週足終値は同+2.60%の392,450円(※終値は8/29の当社現物EOD[8/30 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、米財務省によるTGA活用の報道やNVIDIAの好決算を背景にビットコインが一時80,000ドルを回復したものの、週末にはウォーシュFRB議長のインフレ警戒姿勢を受けて週初からの上昇の大半を打ち消す展開となった。

  週初、米財務省による国債買い戻しの続報がビットコインの上昇を後押しした。先々週19日に米財務省は10~30年の長期国債の買い戻し規模を1回当たり20億ドルから少なくとも40億ドルへ倍増すると発表。さらに24日にはCNBCが、その買い戻しの資金として約9,500億ドルの財務省一般勘定(TGA)を活用する可能性があると報じた。これを受け、長期金利の上昇が抑制されるとの見方から米長期金利が低下し、ドル安が進行したことでビットコインを押し上げる要因となったことで、25日には一時80,000ドル台を回復し5月15日以来となる80,000ドル台を付けた。

また、27日未明に発表されたNVIDIAの2027年度第2四半期決算が市場予想を上回り、AI関連投資の拡大が続くとの見方が強まったこともビットコインを押し上げた。売上高は前年同期比106%増の962億ドル、データセンター収益は同117%増の890億ドルとなり、8~10月期の売上高見通しも1,080億ドルと市場予想を上回った。さらに2028年1月期の売上高について前年比70%増を見込む強気な見通しを示したことでAI投資の長期化への期待が強まり、株式市場全体のリスク選好を支える材料となったと考えられる。これを受けNVIDIA株や米ハイテク株が上昇、リスクオンの流れがビットコインにも波及し、再度80,000ドル台まで上昇した。

こうしたなか、28日にウォーシュFRB議長がジャクソンホール会議で講演し、インフレ率が2%目標に向けて「明確かつ十分な速さ」で低下していると確信できなければ「まだ取り組むべき仕事がある」と述べ、インフレが持続する場合の利上げを示唆した。講演直後の初期反応としてはドル高・株高・債券イールドカーブはツイストフラットニング(その後は長期債券安につられる形で株安)となった。この一連の市場反応に伴い、これまで意識されていたディベースメント取引の一服が意識されることとなり、暗号資産や金が売られる展開の中でビットコインは80,000ドルを下回った。

需給面では、週前半の上昇局面でビットコイン現物ETFへの資金流入が相場を支えた一方、28日の下落局面ではビットコイン現物ETFは資金流出超となった。SoSoValueによると、24~28日の5営業日では約9億ドルの純流入となったものの、9日連続していた資金流入が途切れた。 今週は、9月FOMCを巡る金融政策への思惑を左右する米雇用統計が最大の注目材料となる。雇用統計に先立ち、ISM製造業・非製造業景況指数やJOLTS求人件数、ADP雇用統計も発表されるほか、G20財務相中央銀行総裁会議も開催される。ウォーシュFRB議長の発言を受けて利上げ観測が強まるなか、これらの経済指標や要人発言を受けた米金利・ドルの動向が、ビットコインの方向感を左右する展開が予想される。



[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がETH価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



【8/23~8/29週の主な出来事】


【8/30~9/5週の主な予定】



【今週のひとこと】検証進むトークン化預金  

近年、銀行預金をブロックチェーン上でデジタル化する「トークン化預金」の実用化に向けた動きが、国内外で活発になっています。トークン化預金とは、銀行に預けられている預金をデジタルトークンとして発行し、ブロックチェーン上で移転や決済ができるようにする仕組みです。暗号資産とは異なり、銀行預金を基盤としているため、既存の金融制度との親和性が高い点が特徴です。

日本では、全国約40行が参加するトークン化預金の相互送金に関する実証実験が進められています。GMOあおぞらネット銀行を中心に、従来の全国銀行データ通信システムを介さず、ブロックチェーン上で銀行間の決済を行うことを目指しています。実現すれば、24時間365日、低コストかつ即時に送金できるようになる可能性があります。2027年度の実用化も視野に入れられており、トークン化預金は技術の検証段階から実用化に向けた段階へ進みつつあります。

海外でも同様の取り組みが進んでいます。米国では、38州の銀行協会が「バンクチェーン・アライアンス」を立ち上げ、銀行業界が共同で運営するブロックチェーン基盤の構築を目指しています。トークン化預金に加えて、ステーブルコインや自動清算、スマート決済などへの活用も想定されており、2027年の稼働開始が目標とされています。

このように、トークン化預金は単なる将来の金融技術ではなく、実際の決済インフラとして検証される段階に入っています。一方で、複数の銀行やブロックチェーンをまたぐ相互運用性、セキュリティー、法規制など、解決すべき課題も残されています。今後は、実証実験の成果をもとに、送金だけでなく貿易決済や証券決済などへ利用範囲が広がるかが注目されます。トークン化預金が普及すれば、銀行預金の信頼性とブロックチェーンの即時性を組み合わせることで、金融インフラの在り方そのものが変化する可能性があります。






(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



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