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イーサリアム(ETH)の今後|最新の価格動向や今後の予想、買い時・将来性を考察

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イーサリアム(ETH)の今後|最新の価格動向や今後の予想、買い時・将来性を考察

公開日: 2025年2月27日

最終更新日: -

▼目次

    昨今の暗号資産(仮想通貨)市場は、ビットコイン(BTC)のETF承認やアルトコインの躍進といった大きなムーブメントを背景に、各資産の個別事情が浮き彫りになっています。
    その中でも暗号資産イーサリアム(ETH)は、かつて期待されたデフレ資産から、直近のアップグレード後にインフレ傾向へ転じ、ビットコイン(BTC)やソラナ(SOL)と比べると目立った低迷を見せています。
    本コラムでは、2024年以降の最新動向を踏まえ、イーサリアム(ETH)の特徴や仕組み、そして今後の価格予想と買い時、将来性について詳しく考察していきます。

    【2025年2月最新】イーサリアム(ETH)|現状の価格動向


    図1|ETH市場価格の推移(出所:yahoo.financeの情報を基に当社作成)

    2024年初頭、米国でビットコインETFが承認されたことにより、ビットコイン(BTC)を中心とした市場は急速な資金流入を背景に堅調な上昇トレンドを描きました。
    ビットコインだけでなく、同時期に注目されたソラナ(SOL)やイーサリアム(ETH)も連動して上昇。
    しかし、2024年7月以降、イーサリアムはビットコインやソラナから明確に乖離し始め、2025年2月12日の時点でビットコインは約118.7%、ソラナは約73.3%のリターンを記録する一方、イーサリアムのリターンはわずか14.3%にとどまりました。(※2024年1月以降のリターンを算出)

    図2|イーサリアムネット上の手数料推移およびETH循環供給量の推移(出所:coinmetricの情報を基に当社作成)

    この乖離の背景には、イーサリアムネットワーク内の経済設計の変化が大きく影響しています。
    過去、EIP-1559の導入や2022年のマージ(Merge)アップデートにより、イーサリアム(ETH)は供給抑制の仕組みが強化され、デフレ資産としての側面が期待されました。
    しかし、2024年3月に実施されたデンクン(Dencun)アップグレード以降、イーサリアムの供給増加が急速に進み、かつてのデフレ期待が覆される結果となりました。
    具体的には、2024年4月から2025年2月までの10か月間で約45万ETHが追加発行され、年間換算すると約54万ETHのインフレ状態となっています。
    こうした供給量の変化が、投資家心理に影響を与え、結果としてイーサリアムの価格上昇力が鈍化していると考えられます。

    イーサリアム(ETH)の特徴・仕組み

    イーサリアム(ETH)は、単なる暗号資産(仮想通貨)としての側面だけでなく、スマートコントラクトプラットフォームとしての多様な機能を持っています。
    2015年のローンチ以来、分散型アプリケーション(dApps)の基盤として急速に普及し、DeFi(分散型金融)やNFT、Web3.0などさまざまな領域で利用が進んできました。
    ここで、現在のイーサリアムの特徴をいくつか挙げ、その仕組みの変遷を整理します。

    EIP-1559と手数料バーン機能
    2021年7月のロンドン(London)ハードフォークで導入されたEIP-1559は、取引手数料の一部をバーン(焼却)する仕組みを提供し、理論上は供給抑制に寄与するものでした。これにより、ネットワーク利用が活発な時期にはイーサリアム(ETH)が自動的に減少し、デフレ効果が期待されました。

    マージ(Merge)アップデートによるPoWからPoSへの移行
    2022年9月のマージ(Merge)により、イーサリアムはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと完全移行しました。これに伴い、新規発行量は大幅に削減され、従来のマイニング報酬が廃止されることで、供給抑制の方向性がさらに強化されました。

    デンクン(Dencun)アップグレードとBlob市場の導入
    2024年3月実施のデンクン(Dencun)アップグレードは、イーサリアムのスケーラビリティ向上を目的として、EIP-4844に基づく「Blob市場」を新たに導入しました。この仕組みは、レイヤー2(L2)ソリューションへのデータ投稿コストを大幅に削減し、L2上での取引が活発化する一方、従来L1で行われていた手数料収入が減少する結果を招きました。そのため、イーサリアムのバーン量が減少し、結果として供給増加が進んだのです。

    これらの仕組みの変遷が、イーサリアムの経済設計や市場評価に大きく影響しており、現在の低迷局面の背景にもなっています。

    【最新ニュースや市場分析から考察】イーサリアム(ETH)の今後の価格予想

    最新の市場分析や技術アップグレードの動向を踏まえると、イーサリアム(ETH)の今後の価格動向にはいくつかのシナリオが考えられます。
    まず、現状の最大の懸念材料である供給増加問題については、イーサリアムコミュニティおよび開発陣が改善策を模索中です。

    図3|出所:Scaling Ethereum L1 and L2s in 2025 and beyond

    特に、2025年1月後半に公開されたヴィタリック・ブテリンのブログ「Scaling Ethereum L1 and L2s in 2025 and beyond」では、Blob市場の拡張が最優先課題として位置付けられています。
    現状、1スロットあたり3つのBlobが使用可能ですが、2025年3月に予定されているペクトラ(Pectra)アップグレードでその数が6に倍増する計画が進行中です。
    さらに、長期的には128 Blobへの拡大を目指し、年間71.3万 ETHのバーン効果が期待されるとする試算も示されました。
    もしこの目標が達成されれば、現在の年間約54万ETHのインフレ率を上回るデフレ状態へと転じる可能性があり、これがイーサリアム価格の底堅さや上昇材料となるでしょう。
    一方で、今後の規制動向やL2ソリューションの普及状況、さらにはグローバルな市場環境の変化が、イーサリアムの価格にどのように影響するかは引き続き注視すべきポイントです。

    総じて、短期的にはデンクン(Dencun)アップグレード後の供給増加による圧力が続くものの、中長期的にはBlob市場の拡張や手数料市場の最適化によって再びデフレ転換が実現すれば、イーサリアムの価格は回復軌道に乗る可能性が示唆されます。

    イーサリアム(ETH)購入・買い時のタイミングは?

    投資家にとって「買い時」は、市場環境や技術的なアップデートの進捗を踏まえた戦略が求められます。
    現在、イーサリアムはビットコインやソラナに比べるとリターンが低迷しており、将来的な供給調整策の実現を期待する声も高まっています。

    具体的には、以下のポイントに注目すべきでしょう。

    アップグレードの進捗状況
    Blob市場の拡張や手数料バーン量の増加が実現するかどうかは、今後数ヶ月~数年程度の重要な観測ポイントです。これらの施策が功を奏すれば、供給が再び抑制され、イーサリアムの需給バランスが改善する可能性があります。

    市場全体の動向
    ビットコインをはじめとする他の主要暗号資産の動向や、規制の変化、グローバルな資金流入の状況なども、イーサリアムの価格形成に大きな影響を与えます。市場全体がリスクオンのムードに戻る局面では、相対的に割安と判断されると、買い材料となるでしょう。

    長期的な成長ポテンシャル
    イーサリアムはスマートコントラクトプラットフォームとして、DeFi、NFT、Web3.0といった多岐にわたる利用シーンを有しており、基盤技術としての価値は揺るぎません。短期的な調整局面を経て、中長期的な成長を期待できる資産として注目する投資家も多いです。

    これらの点を総合すると、現在の価格水準は技術的アップグレードの実現次第で割安と判断される可能性があり、慎重ながらも買いのタイミングを検討する余地があると言えます。

    まとめ

    2025年に向けたイーサリアム(ETH)の今後の展望は、技術アップグレードの進捗や供給調整策の実現に大きく依存しています。
    2024年初頭のビットコインETFによる市場活性化や、初期のリスクオンムードの中で一時は他資産と連動して上昇したイーサリアムも、デンクン(Dencun)アップグレード以降は供給増加という新たな局面に突入。
    結果として、ビットコインやソラナと比較して低迷する状況となっています。しかし、ヴィタリック・ブテリンが示すBlob市場の拡張計画は、今後の市場再評価の材料となる可能性を秘めています。

    短期的な調整局面を経ても、技術的な改善とエコシステムの拡充が進むことで、供給抑制と需要増加が実現すれば、イーサリアムは再びデフレ資産へと転じ、投資家にとって魅力的な買い材料となるでしょう。
    今後も市場動向や各種アップデートに注視しつつ、慎重かつ長期的な視点での投資判断が求められます。
    投資家は、最新のアップデート情報や市場動向を注視しながら、適切なタイミングでのエントリーを検討することが重要です。