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【暗号資産(仮想通貨)ニアー(NEAR)の概要】

【暗号資産(仮想通貨)ニアー(NEAR)の概要】

公開日: 2024年10月3日

最終更新日: -

本レポートでは暗号資産ニアー(NEAR)の概要について解説します。NEARとは、NEAR Protocolのネイティブ通貨でネットワークの活動において不可欠な暗号資産です。NEAR Protocolはスマートコントラクト機能を備えているレイヤー1チェーンであり、シャーディングを用いてスケーリング問題を解決しているため、高速処理に優れています。NEARは『blockchain for everyone』を掲げており、ユーザー体験の質を高め、環境への影響が少ないブロックチェーンとして、人々が自身のお金やデータを自分で管理できる世界の構築を目指しています。
公式サイト:https://near.org/
ホワイトペーパー:https://discovery-domain.org/papers/the-official-near-white-paper.pdf
 
注目されている理由や特徴
コンセンサスメカニズム
NEAR Protocolは、Thresholded Proof of Stake(TPoS)というコンセンサスアルゴリズムを採用しています。TPoSの「Thresholded(閾値)」という部分は境となる特定の基準値を意味し、これがアルゴリズムの鍵となっています。
NEAR Protocolでは、全参加者のステーキングしている総量を元にThresholdedが決定され、参加者はそのThresholdedに応じて、ブロックの生成・承認を行うための枠(Seat)を獲得することができます。例えばThresholdedが10NEARとしてステーキングしている数量が50NEARの場合、この参加者は5Seats獲得できるということになります。Thresholdedを超える数量をステーキングしていれば、確実にSeatを獲得できることがTPoSの特徴と言えます。
 
Nightshade
NEARの特徴の一つとしてシャーディングがあります。一般的にシャーディングとは、ノードをシャードというグループに分け取引(トランザクション)の処理を行うことでブロックチェーンの処理速度や処理量の向上を目指す取り組みです。
NEARはNightshadeというシャーディング方式の実装を進めています。Nightshade では、以下の仕組みに従いシャーディングが行われます。

  1. 各シャードにアカウントとコントラクトが割り当てられ、それぞれのシャードでトランザクションが発生します。各シャードには承認者(バリデーター)がランダムに割り当てられます。
  2. シャードで発生したトランザクションは各シャードのトランザクションのまとまり(chunk)に格納されます。
  3. 各シャードはchunkを並列処理しブロックに格納します

このような仕組みによりシャードが増えると並列処理できるトランザクションが増加します。シャードを維持するためのバリデーターが増えれば増えるほどスケールを大きくすることができるようになっています。

参考:https://learnnear.club/what-is-near-protocol/
 
相互運用性の充実
NEAR Protocolでは、外部のエコシステムと相互運用性を高めるため様々な取り組みをしています。
・Aurora
AuroraはNEAR Protocol上に構築されたEthereum Layer2です。Auroraを利用することでEthereum用に開発されたスマートコントラクトをNEAR Protocol上で動かすことができます。NEARの性能を継承しているため、ファイナリティが2秒と非常に高速で、低コスト、NEARと同様に理論上は無制限にスケーラビリティを拡張することができるようになっています。
 
・Rainbow Bridge
Rainbow Bridgeはニアーブロックチェーンとイーサリアムブロックチェーン間で任意の暗号資産、NFTの転送を可能にします。ブリッジは完全に分散化されていて、ニアーブロックチェーンとイーサリアムブロックチェーンを信頼するだけでよいことを特徴としています。
 
【価格動向(ローンチからこれまでの値動き解説)】
本項につきましては投資アドバイスではないことにご留意ください。
ニアー(NEAR)は、2020年4月22日にメインネットワークがローンチされ、トークンの供給量は10億NEARとなりました。
暗号資産ニアー(NEAR)のローンチ後の価格動向は以下のチャートです。2020年10月から直近の海外取引所での参考価格推移と24時間出来高の推移です。

(TradingView提供のチャートにて作成)

 2022年1月に高値20USDを超え、現在は5ドル前後での推移、時価総額は17位を記録しています。(2024/9/26時点)
 
 
 
【今後の見通しや将来性】
ニアー(NEAR)の将来性を見極めるポイント
■イーサリアムの代替となる可能性:ブリッジ機能によりイーサリアムとの互換性があり、イーサリアムのスケーラビリティ問題の解決次第で注目される可能性があります。
■開発環境の評価:開発者が使いやすい環境とユーザーにとって親しみやすいインターフェイスが評価されています。
■Web2との互換性:使い慣れたツールを使用してWeb3の構築ができる点が魅力です。
■関連サービスの発展:DefiやNFTなど、dAppsに関連するサービスやコンテンツの発展も重要な焦点です。