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Solana(ソラナ)を基盤としたスマホアプリ「Moonshot」の概要・ミームコインの熱狂現象を考察

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Solana(ソラナ)を基盤としたスマホアプリ「Moonshot」の概要・ミームコインの熱狂現象を考察

公開日: 2024年10月28日

最終更新日: -

▼目次


    前提

    今回ご紹介する「Moonshot(ムーンショット)」は、Solanaブロックチェーンを基盤としたスマホアプリで、ミームコイン取引における新たな体験を提供しています。従来のウォレットや高額なガス代といった煩わしさを解消し、初心者にも直感的でわかりやすいシンプルな取引体験を実現している点が特徴です。また、このアプリは単なる取引ツールにとどまらず、ミームコイン市場における「アクセスの民主化」を目指す存在とも言えます。

    実は最近、ETH(イーサリアム)からSOL(ソラナ)へのミームコイン移行が加速しており、Moonshotはその動きの中心的役割を果たしつつあります。特に、Apple Payやクレジットカードといった一般的な決済手段に対応することで、従来のクリプトユーザーに限らず、一般の人々にも手軽に利用できる環境を整えている点が特徴です。このような利便性の高さが評価され、「ミームコイン版Robinhood」と称されるほどの注目を集めていることから、ミームコインは単なる一時的なトレンドを超え、クリプト市場における主要カテゴリーへの進化を示唆していると言えるでしょう。

    そこで本レポートでは、ミームコインが次世代の金融エコシステムにおいて果たす役割や、Moonshotがこの市場に与える影響について、詳しく掘り下げていきたいと思います。

    [関連資料] 
    公式ウェブサイト:https://moonshot.money/ 
    公式X(Twitter):https://x.com/usemoonshot 
    公式アプリ(App Store):https://apps.apple.com/us/app/moonshot/id6503993131 
    公式アプリ(Google Play):https://play.google.com/store/apps/details?id=money.moonshot.app

    Moonshot(ムーンショット)の概要


    出典:https://apps.apple.com/us/app/moonshot/id6503993131

    Moonshotは、ミームコインへのアクセスを簡素化し、従来のウォレットやガス代を不要にするユーザーフレンドリーな体験を提供するSolanaブロックチェーン基盤のスマホアプリです。ミームコイン市場での簡便な取引を目的に設計されており、特に非クリプトユーザーに対する導入ハードルを下げている点が特徴となっています。

    例えば、MoonshotはMoonPayとの提携により、オンランプおよびオフランプの機能を強化し、オンチェーンに不慣れなユーザーでもスムーズな取引が可能であると謳っています。さらに、各ユーザーにはノンカストディアルウォレットが自動生成される仕様であり、ウォレットはバックパックやPhantomなどの従来のウォレットへエクスポート可能である点が、初心者にとっての敷居を下げる一因となっています。

    また、洗練されたデザインやTurnkeyウォレットの導入が評価され、Solanaブロックチェーン上のミームに注力している点が特徴的です。一部では「Robinhoodのミームコイン版」とも評されており、Apple PayやPayPal、デビットカード、クレジットカードなど多様な決済手段に対応することで、マスアダプションを目指しています。
    執筆時点では、Apple App StoreおよびGoogle Play Storeの両方でダウンロードが可能であり、2024年7月には新たなiOSアプリをリリースし、Apple Payを通じたミームコインの売買が可能となったことで話題を集めましたが、残念ながら日本では利用できない状況です。
    参考: 
    https://thedefiant.io/news/defi/moonshot-launches-ios-app-solana-memecoins-apple-pay-zero-fees-until-august-8
    https://x.com/usemoonshot/status/1813967137687663025

    ミームコインのETH(イーサリアム)からSOL(ソラナ)への移行

     
    出典:https://x.com/ApusCoin/status/1843737799218082243

    Moonshotのようにミームコインへのアクセスを簡素化するアプリや、pump.funのようなミームコイン専用ローンチパッドがSolanaエコシステム内で台頭することにより、近年ではEthereumエコシステムからSolanaエコシステムへと移行するプロジェクトが増加傾向にあります。

    先日、Apu Apustaja($APU)というETH(イーサリアム)で人気を博していたミームコインがSolanaへのマルチチェーン展開を果たし、Moonshotアプリに上場したことが話題となりました。$APUトークンはSolanaへのブリッジを通じてMoonshotに上場し、これによりユーザーはMoonshotアプリを通じてApple Payで直接$APUを購入できるようになったのです。

    また、以前のレポートでもご紹介したように、Unlonelyという「クリプト×ライブストリーミング」プロジェクトがEthereum(Base)からSolanaチェーンへ移行し、賛否両論を巻き起こしましたが、このようにEthereumエコシステムで始まったミームコインの取引は、近年ではSolanaへと移行しつつある状況にあると言えます。

    このトレンドの転換は、技術的要因と経済的要因によって説明されます。まず、SOL(ソラナ)の取引手数料がETH(イーサリアム)よりも大幅に低い点が挙げられ、これはミームコインのように頻繁な取引を伴うプロジェクトにとって大きなメリットとされています。また、SOL(ソラナ)の高速なトランザクション処理能力がユーザー体験の向上に寄与しています。ミームコインはその性質上、爆発的な価格変動が起こりやすいため、迅速なトランザクション処理が求められ、こうした背景からSolanaはミームコインの熱狂現象の新たな中心地として台頭しつつあると考えられています。

    このように、近年ではミームコイン関連のプロジェクトが、技術的および経済的要因によりEthereumエコシステムからSolanaエコシステムへと移行する事例が増加し、それに伴い文化的な側面での棲み分けが起こりつつあるのではないかと筆者は考えています。

    出典:https://www.coingecko.com/en/coins/apu-apustaja

    なお、$APUトークンはMoonshot上場後、約10%の価格上昇を記録し、過去1週間で50%の上昇を遂げました。これにより、$APUのFDVは$200Mに達したわけでありますが、この上昇はMoonshotの利用者増加に伴う需要の高まりに起因していると考えられています。このように、MoonshotはSolana上のミームコイン取引市場の成長を後押しする存在としての地位を確立しつつあると言えるでしょう。
    参考:https://thedefiant.io/news/defi/memecoins-are-moving-from-ethereum-to-solana-to-access-moonshot-app

    ミームコインの熱狂的現象について

    さて、ここまで述べてきたように、Ethereumエコシステムで取引が主流であった「ミームコイン」というジャンルが、近年ではSolanaエコシステムを中心に勢いを増しており、時代の転換点を迎えているように感じられます。

    そもそもミームコインとは暗号資産(仮想通貨)の一種であり、主にインターネット上のユーモアやバイラル性を基盤としたトークンとして位置付けられています。これらは初期のBTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)のような実用的な基盤を持たず、ギャグや話題性を中心に構築されるため、一見すると持続性に欠けるようにも見受けられます。

    しかし、その高いバイラル性ゆえに、ミームコインは瞬く間に人気を博し、大きな価格変動を見せることがしばしばあります。このようなミームコイン独自の現象は、単なる投機的トレンドにとどまらず、現代の金融市場における新しい「熱狂的ムーブメント」としての側面を持つ点で興味深い題材であると筆者は考えています。

    出典:https://bitcoinist.com/dogecoin-shiba-inu-record-double-digit-losses/ 

    ミームコインの特徴として特に注目すべきは、そのコミュニティの形成力にあります。今やミームコインは単なるギャグやジョークの範疇を超え、クリプト時代における「新しい熱狂的ムーブメント」として成長していると捉えることができるのではないでしょうか。例えば、DOGE(ドージコイン)や(SHIB)シバイヌはその象徴的な存在であり、価格の急騰とともに数百万人の支持者を集めたことで知られています。コミュニティメンバーは互いにジョークを共有し、SNS上でのミームを楽しむことで一体感を生み出している代表例であり、これこそがミームコインの熱狂的現象を示すものと言えるでしょう。

    また、このような熱狂を生み出しやすい要因の一つとして、ミームコインの「短期的な熱狂」を引き起こしやすい性質が挙げられます。というのも、ミームコインに投資する多くの人々は価格が急上昇する局面で参入し、上昇が終わるとすぐに離脱することが多く、それゆえに価格の乱高下が激しくなる傾向があります。

    この傾向は、ミームコインの脆弱性を象徴する一方で、その魅力でもあると言えるでしょう。短期的な利益を狙う投資家たちは、ミームコインを通じて一攫千金を夢見ることになりますが、こうした投資行動は資本主義の本質を凝縮した形で現れるものであり、ミームコインは現代の金融市場における「一発逆転」の象徴としての存在感を強めつつあるように感じています。

    このように、ミームコインの「旬が短いからこそ短期的な熱狂を生み出しやすい」という性質が、このような現象を生み出す最大の要因であると筆者は考えています。ミームコインは、インターネット上のユーモアや話題性を基盤に急速に広まり、爆発的な価格上昇を見せることがありますが、この短期間での急騰は、SNS上でのバイラル性と相まって投資家の関心を一気に引き寄せ、短期的な「熱狂現象」を引き起こす要因となっています。

    しかし、ミームコインの「旬」は短く、熱狂がピークに達した後は急速に冷めるリスクが高いことに留意する必要があり、バイラル性が薄れ始めると同時に価格が急落し、参加者が一気に離散することが少なくありません。また、このような現象はミームコインの脆弱性を示すものでもあり、投資家にとっては十分な注意が求められる状況であると言えます。
    よって、もしミームコインへの投資を検討する場合、短期的な熱狂に乗ることは一つの戦略と考えられますが、冷静な分析と十分な精査が不可欠です。過剰な期待に引き込まれることなく、あくまで「熱狂現象」として観察しつつ、適切なリスク管理を行う姿勢が求められます。

    総括

    Moonshot(ムーンショット)は、ミームコイン取引をより手軽かつ民主的にすることを目的に設計され、Solanaブロックチェーンを活用することで従来の取引の障壁を大幅に下げることに成功しています。特に、ETH(イーサリアム)からSOL(ソラナ)へのミームコイン移行が進む中で、Moonshotは多様な決済手段に対応することで初心者でも扱いやすい設計を提供し、市場拡大を促進している点が特徴です。

    ただし、ミームコインは高い価格変動と短期的な熱狂によるリスクを伴うため、利用者は投資に際し、冷静な判断と慎重なリスク管理を念頭に置くべきであり、過度な期待に引き込まれることなく、戦略的な観点から投資を進めることが望まれます。今後、Moonshotがミームコイン市場でどの程度存在感を高め、Solanaエコシステム全体にどのような影響を与えるかは大いに注目されますが、同アプリがもたらす「アクセスの民主化」は、ミームコイン市場にとどまらず、より広範なクリプト市場におけるユーザーエクスペリエンスの向上にも寄与する可能性を秘めていると考えられます。

     

    【ご注意事項】
    本記事は執筆者の見解です。本記事の内容に関するお問い合わせは、株式会社HashHub(https://hashhub.tokyo/)までお願いいたします。また、HashHub Researchの各種レポート(https://hashhub-research.com/)もご参照ください。

    提供:HashHub Research
    執筆者:HashHub Research