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スマートコントラクトとは?仕組みやメリット・デメリット、活用事例を紹介

スマートコントラクトとは?仕組みやメリット・デメリット、活用事例を紹介

公開日: 2024年3月15日

最終更新日: -

スマートコントラクトは、「プログラム可能な契約」のことで、Web3関連の文脈で話題になることも増えています。ただ、スマートコントラクトという言葉は聞いたことはあるけれど、詳しい仕組みはわからないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、スマートコントラクトの仕組みやメリット・デメリット、具体的な活用事例について解説します。  
 

■目次
・スマートコントラクトとは
・1、ブロックチェーンとスマートコントラクト
・2、スマートコントラクトの仕組みと特徴
・3、イーサリアム(ETH)のスマートコントラクトの仕組み
 
・スマートコントラクトのメリット
・1、契約や取引が効率的に行える
・2、改ざんや不正の防止
・3、コストを削減できる
 
・スマートコントラクトのデメリット
・1、処理速度の遅延が起きる場合がある
・2、プログラムの不具合によるリスク
・3、法整備が追いついていない
 
・スマートコントラクトの事例
・1、法人設立手続き
・2、電力取引の自動化・効率化
・3、不動産業界
・4、保険業界
 
・SBI VCトレードでイーサリアム(ETH)を購入する
 
・まとめ


スマートコントラクトとは

スマートコントラクトとは、条件が満たされると人の手を介さず自動的に契約が実行される仕組みのことです。ブロックチェーン上で作成されるスマートコントラクトは、予めプログラミングされた契約条件や内容をもとに実行されるため、改ざんや不正を防ぐことができます。
 
また、スマートコントラクトは従来の契約に必要な仲介者を必要とせず、煩雑な手続きも不要なことから契約にかかる時間やコストを大幅に削減できます。さらに、あらかじめ細かい契約内容やあらゆる状況を考慮してプログラミングされ、かつその内容はネットワーク上で誰でも閲覧可能なことから、透明性と信頼性が非常に高いというメリットがあります。
 
スマートコントラクトは、現実社会の手続きや取引の在り方を変革する重要な要素であり、IoTシステムの付加価値を高めることで、IoTビジネスをより効率化することが期待されています。
 

ブロックチェーンとスマートコントラクト


 
スマートコントラクトを理解するためには、まずブロックチェーンの仕組みを理解する必要があります。ブロックチェーンは、ブロック単位で取引履歴を記録し、それをチェーン状に連結してデータを記録・管理する仕組みです。
 
各ブロックには、過去のブロックとの関連性があり、1つのブロックの情報が改ざんされると他のブロックも影響を受けます。ブロックチェーンは膨大な量のブロックで構成されており、そのためすべてを改ざんすることは困難です。
 
また、これまでのデータベースは中央集権型で管理されてきましたが、ブロックチェーンは中央管理者が存在しない分散型でデータが管理されています。これらの特徴により、ブロックチェーンは改ざん困難で公正な取引を実現することができます。
 


出典:経済産業省「Web3.0事業環境整備の考え方
 

スマートコントラクトの仕組みと特徴


 
スマートコントラクトの仕組みは、プログラミングの条件文「if-then」で説明することができます。一方の条件(if)が満たされれば、処理が実行(then)されるというものです。この仕組みにより、契約は事前に合意された条件に基づいて進行し、完了します。
 
スマートコントラクトが実行される流れは、以下の5つのステップに分けることができます。
 
1. 2つ以上の当事者間で合意する。
2. 合意した内容がスマートコントラクトに書き込まれる。
3. 書き込まれた内容は暗号化され、ブロックチェーンに保存される。
4. スマートコントラクトを実行して、契約が完了。この情報がブロックチェーンに記録される。
5. 各ノード(ブロックチェーンのネットワークに参加しているコンピューター機器)がブロックチェーンのコピーを更新することで、契約が完了する。
 
このように、スマートコントラクトは効率的に機能しています。
 

イーサリアム(Ethereum)のスマートコントラクトの仕組み

 
イーサリアム(ETH)は、ビットコイン(BTC)と同様に世界中で取引されている暗号資産ですが、ブロックチェーンプラットフォームの特徴として挙げられるのが「スマートコントラクト」です。ビットコインは取引情報の記録(分散型台帳)にとどまりますが、イーサリアムでは分散型台帳だけでなくスマートコントラクトによるプログラムの記述を可能にしました。
 


出典:経済産業省「Web3.0事業環境整備の考え方
 
イーサリアムには、エクスターナリー・オウンド・アカウント(EOA)とコントラクト・アカウント(CA)の2つの種類のアカウントがあります。通常の資金決済はEOAで行い、スマートコントラクトはCAで管理されます。このように、スマートコントラクトのプラットフォームとしての機能が、イーサリアムの特徴です。
 
イーサリアム(Ethereum)の利用料ガス(Gas)
 
ガス(Gas)とは、イーサリアムを利用する際に必要な手数料です。暗号資産(仮想通貨)の送金には手数料が必要であり、イーサリアムではさらにスマートコントラクトの実行にも手数料が必要です。このような手数料を総称してGasと呼びます。
なお、Gasは手数料を計算するための単位であり、実際にGasという通貨は存在しません。Gas代はイーサリアムの通貨であるETHによってマイナー(仮想通貨を送金したり、受け取ったりしたデータを、ブロックチェーンに記録するための計算処理を行う存在)に報酬として支払われます。
 

スマートコントラクトのメリット


契約や取引が効率的に行える

 
スマートコントラクトを利用すれば、契約や取引がスピーディーになり、時間を効率的に活用できます。これまでは、契約を結ぶための仲介者が存在したり煩雑な手続きが必要だったりしましたが、スマートコントラクトでは条件を満たせば自動的に契約が成立します。
 

改ざんや不正の防止

 
スマートコントラクトは、不正や改ざんを防ぐために非常に役立ちます。第三者が介入できないため、契約の履行が安全に行われるからです。また、スマートコントラクトのソースコードは公開されており、透明性が高くなっています。これにより利用者は安心して利用できます。また、契約内容はネットワーク上で誰でも閲覧可能です。
 

コストを削減できる

 
スマートコントラクトを利用すると、契約手続きが簡素化され、仲介者にかかるコストが削減できます。従来の取引では、契約が成立するまでに仲介者が必要であり、手数料の支払いが発生していました。しかし、スマートコントラクトでは一連の流れが自動的に行われるため、仲介者を必要としません。これにより、コストを節約しつつ契約や取引、サービスの提供が可能になります。
 

スマートコントラクトのデメリット


処理速度の遅延が起きる場合がある         

 
ブロックチェーンでは、取引量が増えるとトランザクション(取引を所定のルールで記述したデータ)も増加していきます。しかし、ブロックの容量(各ブロックに含めることができるトランザクションの量)には限りがあり、ネットワークへの負荷も増えるため、トランザクションの増加により取引の処理速度が低下する可能性があります。スマートコントラクトは自動化された処理により、迅速な取引を可能としますが、将来的に利用者数の増加に処理速度の進歩が追い付かなかった場合、取引処理が遅延する可能性が懸念されています。
 

プログラムの不具合によるリスク

 
スマートコントラクトは一度プログラムを構築し、契約を実行してしまった後では変更が難しいです。プログラムの中にミスがあると、悪意を持った人によって脆弱性が利用される可能性もあります。また、契約の実行中に問題が発生した場合、柔軟に対応することも困難です。プログラムを書く際には注意深くミスを避け、実行する前に慎重に検証する必要があります。
 

法整備が追いついていない

 
近年、デジタル技術の進歩は驚くべきものであり、急速に広まっています。しかしながら、技術の進展と法律の整備の間にはギャップが存在しているという現状にも留意する必要があります。スマートコントラクトは契約を自動化するため、法的な拘束力を持つものです。そのため、各業界での活用が進むと、既存の法律の改正が求められる可能性もあります。このような事態に備え、国内では2020年10月に一般社団法人スマートコントラクト推進協会が設立され、基準の策定や法整備の提言活動が始まっています。
 

スマートコントラクトの事例


法人設立手続き

 

出典:総務省「ブロックチェーン活用検討サブワーキンググループ

法人を設立する際には、登記の申請や国税庁への届出、さらには各種社会保険の手続きなど、複数の手続きが個別に必要となります。これらの手続きには、複数の登記事項証明書を取得する必要もあり、法人設立を目指す人にとって負担となっています。
 
しかし、ブロックチェーンを活用することで、法人の設立手続きを迅速化し、負担やコストの軽減が可能です。具体的には、関係する行政機関で登記事項証明書を共有することで、オンライン上での登記事項証明の真正性を確保できます。そして、法人登録手続きサイトから法人登記の申請など、法人の設立に必要な手続きがスマートコントラクトによって自動化され、関係行政機関と必要な情報が共有されます。
 

電力取引の自動化・効率化


 
出典:総務省「ブロックチェーン活用検討サブワーキンググループ
 
電力需要に対して余剰電源から電力を調達する仕組みがあります。この仕組みでは、電力会社から分散型電源への発電要請や対価支払いなどの電力取引をブロックチェーンで管理し、スマートコントラクトを使って自動的に処理します。これにより、透明で効率的な電力シェアリングエコノミーが実現される可能性があります。
 

不動産業界

 
スマートコントラクトを使えば、不動産データをトークンと紐づけてオンライン上で管理可能です。そして、直接の不動産契約や代金の決済、所有権の移転登記もブロックチェーン上で完結できます。紙媒体の契約書や複雑なやり取り、手続きはほぼ不要です。国や官庁と民間企業の協力でこの体制を整える必要はありますが、実証実験も進行中で、一部ではすでに導入される動きもあります。
 

保険業界

 
保険業界でも、スマートコントラクトが活用されています。保険契約を締結し、契約者が保険業者とのスマートコントラクトを作成し、保険契約のすべての要件をスマートコントラクトに書き記しておきます。この方法により、保険金支払いの手続きの簡素化が可能です。
 
保険金の支払いが必要な事態が発生した場合、契約者は必要な情報をアップロードするだけで保険金が送金されます。契約者はこれにより、保険団体との連絡を取ることなく、迅速に保険金を受け取れます。
 
たとえば、イーサリスク(Etherisc)は、保険業規制に適合した保険プラットフォームです。保険対象の情報を外部から取り込み、スマートコントラクトが自動的に保険金の支払いを判断し、実行します。保険のリスクは、保険市場で再保険されたり、トークン化されて投資家に販売されたりします。
 
2022年、イーサリスク(Etherisc)は、スマートコントラクトを使って45分以上の遅延に対して保険金を支払う旅行保険を発表しました。この保険「フライトディレイ(FlightDelay)」は、約80社の航空会社の遅延や欠航を補償対象にしており、暗号資産(仮想通貨)で保険金を受け取ることができます。
 

SBI VCトレードでイーサリアム(ETH)を購入する


スマートコントラクトで利用されるイーサリアムはSBI VCトレードで購入できます。SBI VCトレードで口座開設し、日本円を入金すれば、最短で当日から取引を開始できます。
 

 出典:SBI VCトレード暗号資産の取引が可能な口座開設はかんたん3ステップ

SBI VCトレードでは、イーサリアムの現物は、販売所では0.0001ETHから購入でき、取引所では0.00001ETHから購入できます。イーサリアムの日本円での購入価格は相場等によって異なるため、販売所または取引所で確認してください。
 
イーサリアムの取引は、原則365日24時間(土日・祝日含む)取引可能です。ただし、システムメンテナンス期間は除きます。
 
SBI VCトレードでは、イーサリアムのステーキングも利用できます。ステーキングとは、暗号資産(仮想通貨)を保有し、ブロックチェーンの安定稼働に貢献したことの対価として報酬を受け取れる仕組みです。

 

出典:SBI VCトレード「ステーキング」

SBI VCトレードでは、ステーキングを始めるための申し込みや手続きは不要です。SBI VCトレードの口座に暗号資産(仮想通貨)を預けるだけで、ステーキング報酬が得られます。購入や入庫のいずれの場合でも、その日からステーキングの対象です。
 
イーサリアムの入庫は、リアルタイムで受け付けています。ステーキングの途中でも、暗号資産(仮想通貨)を売却していつでも日本円に換金できます。SBI VCトレードでは、イーサリアムのステーキングを2023年5月1日から開始しました。イーサリアムのステーキングの運用実績は2024年2月で年率3.6%(ステーキング手数料控除前)となっています。
 

まとめ

 
スマートコントラクトを利用すれば、契約や取引が効率的に行え、改ざんや不正を防止できるなどのメリットがあります。スマートコントラクトは、利便性の高さから行政や金融、不動産など、さまざまな業界での活用が期待されています。
 
また、スマートコントラクトはイーサリアムの代表的な機能です。スマートコントラクトの普及によって、イーサリアムの需要が拡大していく可能性も高まるでしょう。