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2024年米国大統領選挙がビットコイン(BTC)の価格・相場に与える影響を解説

2024年米国大統領選挙がビットコイン(BTC)の価格・相場に与える影響を解説

公開日: 2024年7月4日

最終更新日: -

目次

  • 前提
  • 1. 歴史的背景
  • 2. 現在の市場状況と予測
  • 3. 大統領選挙と政策、米国の暗号資産規制の現状
  • 4. 市場の心理と投資行動
  • 5. トランプ再選は本当にあり得る?地政学レポートを参考に考える
  • 総括

 

前提

このレポートでは、2024年の大統領選挙が暗号資産(仮想通貨)市場、特にビットコイン(BTC)に与える影響について、ニュース記事を参考にまとめます。
ビットコインの価格は世界的な政治・経済動向に敏感に反応するため、アメリカ大統領選挙の結果が市場に与える影響は大きいはずです。
本レポートでは、主要候補者の政策や過去の選挙結果などを見ながらビットコイン価格や相場にどのような影響があるのかを考えます。

1. ビットコイン(BTC)価格の歴史的背景

ビットコインの価格はこれまでの大統領選挙でも大きな影響を受けてきました。
例えば、2016年の選挙では、ドナルド・トランプ氏が予想外の勝利を収めた後、市場全体が驚きと不安に包まれ、一時的な価格の乱高下が見られました。しかし、長期的には経済政策への期待感からビットコインの価格は上昇しました。

https://www.coingecko.com/ja/コイン/ビットコイン より筆者編集

2020年の選挙では、新型コロナウイルスの影響もあり、ビットコイン価格はボラティリティが高まりました。ジョー・バイデン氏の勝利後、刺激策の期待からビットコイン価格は急騰し、年末には史上最高値を更新しました。
これらの過去の傾向からみても直接的にではないにせよ、間接的に選挙結果がビットコイン価格に与える影響は少なくないはずです。

2. 現在の暗号資産(仮想通貨)市場状況と予測

2024年の大統領選挙を前に、ビットコインは6万7000ドル付近で取引されています(2024/5/31 本レポート公開時点)。

スタンダードチャータードのアナリスト、ジェフ・ケンドリック氏は、トランプ再選がビットコイン価格を2025年までに20万ドルにまで押し上げる可能性があると予測しています。

「トランプ再選」ならビットコインは20万ドルまで急騰の可能性

ケンドリック氏によると、政府債務のマネタイゼーション(現金化)による財政支配のリスクが高まっており、投資家が代替資産を求めるようになるとのことです。このようなシナリオでは、ビットコインは安全な投資先として注目されるでしょう。

さらに、海外からの米国債の購入を控えられることで、ビットコイン価格が押し上げられるシナリオも考えられます。

トランプ氏の第1期政権では米国債の売却額が年平均2070億ドルに達しており、第2次政権でも同様の動きが予想されます。これにより、米国債市場への信頼低下が進み、ビットコインが代替資産としてますます注目されることもあり得ます。


3. 大統領選挙と政策、アメリカの暗号資産(仮想通貨)規制の現状

各候補者の経済政策とビットコインへの見解は大きく異なります。トランプ前大統領は、暗号資産業界に対してより支援的な規制環境を提供する可能性が高く、ビットコイン価格の上昇を促すとされています。

具体的には、規制緩和を通じてビットコインなどのデジタル資産を積極的に支援する姿勢を示しています。

一方、バイデン大統領は、暗号資産に対してより厳しい規制を敷くことを示唆しており、ビットコイン市場にとってはマイナスの影響を与える可能性があります。バイデン政権は、消費者保護やマネーロンダリング防止の観点から、暗号資産に対する規制を強化する意向を示しています。

なお、足元では米国下院はFIT21法案が賛成多数で可決されたところです。この法案には、暗号資産の規制を明確にする内容も含まれます。もし上院で法案が可決され、大統領も拒否権を行使しないとなれば執行されることになります。これにより、規制が明確化されビジネスとしてもやりやすい環境が整うため、相場に良い影響があると見込めます。


4. 暗号資産(仮想通貨)市場の心理と投資行動

投資家の心理は選挙結果によって大きく影響を受けるはずです。

トランプ再選が確実視される場合、ビットコインはドル離れと米国債市場への信頼低下に対するヘッジとして注目されるでしょう。

さらに、トランプ氏の支援的な政策により、規制緩和やビットコインに続くETHの現物ETFの承認が進むことで、暗号資産市場への投資が増加する可能性があります。

投資家は選挙前後のボラティリティに備え、リスク管理と投資戦略を練る必要があります。選挙期間中は、短期的な価格変動が激しくなることが予想されるため、慎重な投資判断が求められます。

例えば、選挙前にはリスク回避のためにポートフォリオを調整し、選挙後には新たな情報に基づいて再評価することも考えられる選択肢の一つだと言えます。


5. ドナルド・トランプ再選は本当にあり得る?地政学レポートを参考に考える

では、トランプ氏が政権を取れる可能性はあるのでしょうか。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング『地政学リスクの全体像の整理』によると、現時点ではトランプ氏が優勢であるものの、バイデン氏の再選の可能性も残されている、と結論付けられています。

トランプ氏は岩盤支持層に支えられている一方で、無党派層や中間層への浸透に課題があります。また、バイデン氏は経済や移民問題、年齢が課題となっている一方で、女性の権利擁護の主張の高まりが追い風になる可能性があります。

「接戦7州」の争いが選挙結果を左右する重要な要素となるとされています。これらの州では、過去の選挙で僅差で決着がついており、トランプ氏がこれらの州を奪還することで選挙に勝利するシナリオが考えられます。

しかし、ラストベルトの3州(ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン)では両者の差が誤差の範囲内にあり、結果は非常に流動的です。


ドナルド・トランプ氏裁判の影響

2024年5月31日、トランプ前米大統領が34件の罪状すべてで有罪評決を受けたことが報じられました。これは2016年の大統領選の前後に不倫相手に支払った口止め料を不正に処理した件に関するもので、トランプ氏の再選に大きな影響を与えると見られています。

陪審団は、トランプ氏が口止め料を弁護士費用として事業記録に計上し、選挙戦に不利な情報を隠したとして有罪としました。量刑は7月11日に決定される予定で、保護観察や罰金のみならず、収監される可能性もあります。トランプ氏は判決を不服として控訴する意向を示していますが、これにより選挙戦への逆風が強まることは避けられないでしょう。

この有罪評決により、トランプ氏の支持層の中にも支持を見直す動きが出る可能性があります。特に無党派層や女性有権者への印象が悪化し、選挙戦において不利な状況に立たされることが予想されます。有罪評決を受けた主要候補として出馬するのは極めて異例の事態であり、今後の選挙戦にどのような影響を与えるか注目されます。

トランプ氏裁判、全34罪状に有罪評決 大統領選に打撃

総括

本レポートでは、2024年の大統領選挙がビットコインに与える影響を考えました。

選挙結果やそれに続く政策によって、暗号資産(仮想通貨)市場は大きく変動する可能性があります。投資家は、このような政治的要因を考慮しながら、リスク管理と投資戦略を練る必要があります。

特に、トランプ再選が実現した場合のビットコイン価格・相場の大幅な上昇の可能性を踏まえ、適切なタイミングでの暗号資産(仮想通貨)投資が重要となるでしょう。


参考文献


【ご注意事項】
本記事は執筆者の見解です。本記事の内容に関するお問い合わせは、株式会社HashHub(https://hashhub.tokyo/)までお願いいたします。また、HashHub Researchの各種レポート(https://hashhub-research.com/)もご参照ください。

提供:HashHub Research
執筆者:HashHub Research