2022/01/25
足元の下落は中期的なロングポジション構築のチャンスか?
ウクライナ情勢の悪化による地政学リスクの高まり、インフレ懸念による金利上昇、株式の下落によるリスクセンチメントの悪化により、ビットコインは金曜のアジア時間の朝に直近のレンジの下限だった40,000ドルを下抜けた。ビットコインとイーサリアムは、2021年5月から8月のレンジ内(ビットコイン:29,000ドル~41,000ドル、イーサリアム: 1,800ドル~2,900ドル)におり、上値重く推移しながらも、方向性を決定する段階には至っていない。SOL(ソラナ)とMATIC(ポリゴン)は激しく売られ、今年に入って付けていた安値からSOL(ソラナ)は30%、MATIC(ポリゴン)は25%更に下落した。過去1週間のフローデータによれば、取引所が目立った買い手であったのに対し、ファミリーオフィスは売り手であった。地域別に見てみると、米国圏からは売りが見られ、欧州・中東圏とアジア圏からは買いが見られた。コイン別で見ると、SOL(ソラナ)、XRP(エックスアールピー)、ADA(カルダノ)、XTZ(テゾス)、とEOS(イオス)が買い、一方、DOGE(ドージコイン)、LINK(チェーンリンク)、DOT(ポルカドット)とBNB(バイナンスコイン)には売りの傾向が見られた。
金利市場は比較的静かに推移し、1ヶ月物のベーシスは、ほぼ0%の水準から5%近辺まで回復。ステーブルコインのローンには引き続き強い需要が見られているが、ローンの期間が大幅に短くなっていることは、市場参加者が中期的にローン市場の健全性を危惧していることを示唆している。ローンの取引高と流動性は下落トレンドが始まった昨年11月と比べると若干減少したが、週ベースではあまり変化していない。
木曜日以降、スポットの下落を受けてインプライドボラティリティは短期物中心に急上昇しており、1週間物のボラティリティは、ビットコインで15%、イーサリアムは20%上昇。また、プットサイド(下方向のストライク)の買い需要が強く、1週間物の25デルタのリスクリバーサル(プットオプションとコールオプションの価格差)では、ビットコインは10%、イーサリアムにおいては12%程プットオプションの価格がボラティリティベースで高く値付けされており、ダウンサイドへの警戒感が高まっている。
ウクライナ情勢とFOMCが今週のトピックになることは間違いなく、テーマは「何が起こるか」ではなく、市場が「何を織り込んでいるか」だろう。FOMCについては、3月での0.50%の利上げや、今年6回の利上げ、更には1月での資産購入の即時停止などの極端なシナリオの予想も出てきている。ウクライナ情勢については、西側諸国が悠長に構えている間に、ロシアが侵攻するのではないかと市場は危惧している状況だ。これらを踏まえて11月以降の暗号資産の下落を考えると、市場はすでに最悪の状況が「織り込まれており」、中期的なロングポジションを構築するには悪くないタイミングかもしれない。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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