2022/07/19
BTCとETHがサプライズ上昇
先週のハイライト先週の動き
暗号資産スポットは、市場で注目されていた13日発表の米CPIが市場予想の8.7%を上回る9.1%となりインフレ高進、さらに、利上げペースの加速によるリセッション懸念から、想定通り下落基調となったがその後BTCとETHは急速に回復。米CPI発表直後に18,950ドルの安値を付けたBTCはその後17日に21,600ドル台まで回復。またETHはさらに強い動きがみられ、1,015ドルの安値から数日間の連騰を経て1,325~1,375ドルのレンジまで上昇した。
暗号資産先物市場の暗号資産対米ドルのベーシスは、スポットの急騰を受けてBTCの3か月物は+1.5%から+2.1%に上昇しているが、PoSへの移行となる大型アップデート(The Marge)の日付が9月と示されたETHの3カ月物は+1.0%から+0.5%~+0.7%程度に幾分下落した。
暗号資産オプション市場では、米CPIで値動きが出ることが見込まれていたため、BTCの1カ月物ATMボラティリティは67%から75%に、ETHは87%から96%に大きく上昇したが、米CPI発表後にはイベントプレミアムの剥落からBTCは67%程度に、ETHは83%程度まで下落。しかし、その後スポットが急反発したことでATMボラティリティは大きく買い戻され、BTCが75%まで、ETHが91%まで上昇しており、暗号資産オプション市場でスポットの更なる上昇を見込んでいる模様。
BTCの1カ月物のリスクリバーサル(下ストライクのオプションと上ストライクのオプションのボラティリティの差)は15%の下高から、9%の下高に動いており、徐々に上のオプションの人気が出てきている。ETHの1カ月物リスクリバーサルも同様で15%の下高から4%の下高になったが、更に6カ月物のリスクリバーサルは上下のバイアスがなくなり、±0のフラットとなっており、今後のThe Margeへの期待感からオプション市場参加者が上方向のオプション買いを構築している可能性がある。
今後の展望
先週は予想に反して力強い動きとなったが、米CPIの結果を踏まえると、現在のスポット水準を維持できるのか、もしくは逆に揺り戻しを経験することになるのかに注目している。その他に気にしておくべき材料としては、ETHの大型アップデートThe Margeがあげられる。大型アップデート自体は近々に迫っているわけではないが、ここ最近の暗号資産市場はクラッシュの動きから落ち着きをみせてきていることから、ビッグプレイヤーが将来的な動きに備えてスポット上昇を見込んだポジション構築を再開する可能性がある。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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