Market Report

マーケット情報・チャート

2024/03/25

暗号資産週間レポート(2024.3.17- 2024.3.23)
米主要株価指数が最高値更新!暗号資産はどう動いた?

【3/17~3/23週のサマリー】
・ハト派寄りのFOMCを受け、米国の金融緩和期待から主要株価指数は最高値更新も、BTCはETFの低調なフローを背景に一時60,000ドル付近まで下落
・ビットコイン現物ETFは5日連続資金純流出、週を通しての純流出金額が約8.8億ドルと過去最大
・日銀金融政策決定会合、マイナス金利解除、ETF&REIT買い入れ停止

【暗号資産市場概況】
3/17~3/23週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比-0.56%の9,826,750円、ETH/JPYの週足終値は同-3.36%の512,650円であった。(※終値は3/24の当社現物EOD[3/25 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、週次で記録的な資金流入を記録し史上最高値を更新した前週とは対照的にビットコイン現物ETFからの資金流出が確認されたことで調整色の強い週となった。
BTCは前週末金曜日のETFのネットフローが1.9億ドルの流入と振るわなかった結果を受け65,000ドルを割り込む軟調な展開からのスタート。CME先物市場のオープンにかけてじわり上昇し、CoinSharesのレポートで週次の暗号資産のファンドフローが29億ドルと過去最高を記録したことが明らかになると69,000ドル手前までの上昇をみせた。
しかし19日に前日18日のETFフローにおいてGBTC単体の流出額が6.4億ドルと過去最大(全銘柄のネットフローでは1.5憶ドルの流出)となったことが伝わると、BTCは63,000ドルを割り込む水準まで下落。MicroStrategyの転換社債発行によるBTC購入、さらにはBlackRockのデジタル資産ファンド新設のポジティヴな材料により65,000ドル台まで切り返したものの、翌20日にはETFフローが全銘柄のネットフローで過去最大の3.2億ドルの流出となったことが明らかになり、約1.6億ドルの大規模なロングポジションの清算を伴いながら60,000ドル付近まで約5,000ドル幅の調整局面となった。
一旦60,000ドル付近でサポートされると、注目のFOMCがハト派寄りの内容であったことから、リスク性資産市場全体がリスクオンムードとなり、BTCも急反発し一時68,000ドル付近までの上昇をみせる。
週末にかけ主要株価指数は最高値を更新する中、BTCは低調なETFの資金フローが重石になり市場のリスクオンムードは追い風とならず、65,000ドル台付近でレンジ相場を形成し週末を迎えた。
今週もETFへの資金フローに振り回される相場環境が予想されるが、足元のBTC先物のポジション拡大傾向は続いており、CMEでの建玉も過去最大水準にまで膨らんでいる。ファンディングレートの過熱感も確認されていないことからショートポジションの積み上げも考えられるため、ショートカバーによるボラタイルな局面も考慮したい。ETFのキャッシュフローも然ることながら、デリバティブ市場動向にも注意を払った投資判断を行っていく必要があるだろう。重要指標としては29日米PCEデフレーターに注目。その他2022年10月の為替介入水準まで迫っているドル円にも注意が必要だ。


[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[BTC先物 清算推移(ドル)]

(黄 BTC価格 / 緑 ロングポジション清算額/赤 ショートポジション清算額)
(coinglass 提供のチャートにて SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[BTCファンディングレート推移]


(黄 BTC価格 / 緑 ファンディングレート)
(coinglass 提供のチャートにて SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[CME BTC先物建玉]

(黒 BTC価格 / 橙 BTC先物玉)
(glassnode提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)




[ビットコイン現物 ETF のネットフローと運用資産残高合計]

(緑・赤のバーがネットフロー / 白線が運用資産残高合計)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)




[ビットコイン現物ETF 銘柄別 資金流入出(USD)]

(黒 流入額:百万ドル/赤 流出額:百万ドル)
(FARSIDE提供のシートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)




【3/17~3/23週の主な出来事】



【3/25~3/30週の主な予定】


【今週のひとこと】日銀金融政策の変遷
今月19日、日銀金融政策決定会合にて日銀は大きな金融政策の転換を決定しました。
主な変更点は下記となります。
・YCC(イールドカーブ・コントロール/長短金利操作)の廃止
・「無担保コール翌日物金利」を0%から0.1%程度に収まるよう誘導
・ETF、REITの新規買い付け終了
日銀による利上げは約17年ぶりとなり、世界にも例を見ない日本の金融政策は正常化に向けて大きな転換期を迎えたことになります。1998年に政策金利を「無担保コール翌日物金利」としてから、過去2回(2000年8月、2006年7月)利上げを行っていますが、いずれもITバブル崩壊、リーマンショックを機に政策転換を余儀なくされています。現状はマイナス金利政策を解除しても、追加の利上げは急がず、緩和的な環境を当面続ける方針とのこと。2000年利上げの際は審議委員として利上げに反対票を投じていた植田総裁、個人消費の弱さが指摘される中、総裁の手腕とともに想定通りに景気や物価が推移していくかが今後の焦点となりそうです。

(SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


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