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マーケット情報

2024/05/27

暗号資産週間レポート(2024.5.19~2024.5.25)
暗号資産、新時代の幕開け!イーサリアムETF承認とFIT21法案の進行

【5/19~5/25週のサマリー】
米SEC、イーサリアム現物ETFを承認
・米国史上初の包括的暗号資産ルールとなる、FIT21法案が米国議会下院を通過
・ビットコイン、日本円建てで過去最高値を更新
・DOGEアイコンの「かぼす」ちゃんが推定18歳で逝去


【暗号資産市場概況】
5/19~5/25週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+4.14%の10,858,000円、ETH/JPYの週足終値は同+21.16%の588,310円であった(※終値は5/25の当社現物EOD[5/26 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、否認の可能性が高いとされていたイーサリアム現物ETFの承認観測がポジティブサプライズとなり、週を通して堅調に推移した。
週初、BloombergのETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏がイーサリアム現物ETFの承認確率の予測を25%から75%に引き上げたことに市場が大きく反応。SECがイーサリアム現物ETFの上場を申請している取引所に対して申請書の更新を求めたという情報も相まって、ETHは約9,800万ドルのショートポジションの清算を伴い終値で前日比+19.3%と大幅に上昇。BTCも連れ高し、円建てで最高値を更新した。
21日には米大手資産運用会社であるFidelityがSECへ提出していた上場申請書「S-1」からステーキング報酬に関する記載部分を削除したことで、 ETFの上場申請において SECの関心事項であったETHの証券性に関する論点が除外され、さらにETF承認への期待が高まりをみせる。23日、大きく注目されることとなったイーサリアム現物ETFの承認期限を控え、米国東部時間16:00(日本時間 翌5:00)前後を見込まれた承認可否の発表を前に情報が錯綜、米製造業PMIの発表も相まってボラタイルな展開に。
その後承認発表予想時刻を迎えるもSEC及び各メディアからの報道はなく、ETH価格は一時約10%の下落。米国東部時間17:00(日本時間 翌 6:00)頃、各メディアより「SECがイーサリアム現物ETFを承認」と報じられ、ETHは節目の4,000ドル手前まで価格を試すも失速、最終的に3,800ドル付近で揉み合う展開でイベントを通過した。
イーサリアム現物ETF についてはBlack Rock、Fidelityを含む計8銘柄の申請した「19b-4」フォームが承認された形となった。「19b-4」についてはSECに取引所変更規則案を知らせるために提出されたものであり、ETFの取引を開始するにあたっては「S-1」フォームの承認が必要となってくる。「S-1」フォームの承認について、BloombergのETFアナリスト、ジェームス・セイファート(James Sayffart)氏は「S-1の承認は数週間、もしくはそれ以上かかる、1週間程度でより詳細がわかるだろう。」との見解を示している。「S-1」フォームが承認された場合は、SEC視点で“ステーキングが付帯していないETHは証券ではない”ということが確定するという点についても熟思しておきたい。(ETF上場プロセスについては別項【今週のひとこと】にて解説)
週央には暗号資産に関連するFIT21(Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act)の法案が米国議会下院にて可決された。同法案は米商品先物取引委員会(CFTC)にデジタル資産への監督権限を付与するとともに、SECに新たな管轄区域を創設するものである。米国において初の暗号資産に関連する包括的な制度が採決された。かねてより同法案に批判的な立場をとっていた現バイデン政権は、法案成立に反対の立場を取りながらも、これまでよりも前向きなコメントを残し、拒否権の発動を行使しない姿勢を見せた。SAB121(SECが既存銀行のデジタル資産保有に制限をかける規則)を強く推し進めてきた(同規則の緩和修正案に拒否権を行使する姿勢を見せてきた)現政権の変貌ぶりは印象的である。FIT21が年内に上院で採決される可能性は低いものの、今後の法案審議については注視する必要があるだろう。
米国の政治的背景を孕んだ動きに振り回される週となったが、米国大統領選の党大会を間近に控え、政治動向がマーケットへ影響を与えうるようになってきた。急転直下となったイーサリアム現物ETFの承認においても、背景には有権者獲得の為の現政権による政治的圧力があったのではないかと囁かれている。これまで暗号資産に批判的な立場をとってきた現バイデン政権は態度を軟化させていることが推察され、共和党の候補者と目されるドナルド・トランプ氏は暗号資産業界に融和的な姿勢を見せている。政治的な風向きの変化が暗号資産市場に追い風となっていることは、足元のビットコイン現物ETFの良好な資金流入フローによっても映し出されているのではないだろうか。しかし現バイデン政権は長年に渡り暗号資産業界に対し敵対的な立場をとってきた背景があり、今後の大統領選の行方や、暗号資産業界への融和路線が選挙における重要なファクターではなくなってきた際の潮流の変化には十分注意したい。これから11月の本選挙に向け、暗号資産を取り巻く政争には今まで以上に配慮する必要がある。





[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ETH/USD 週間チャート(30分足)]


(TradingView提供のチャートよりSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ETH先物 清算推移(ドル)/ 12時間]

(黄 ETH 価格 / 緑 ロングポジション清算額/赤 ショートポジション清算額)
(coinglass 提供のチャートにて SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



【5/19~5/25週の主な出来事】



【5/26~6/1週の主な予定】


【今週のひとこと】暗号資産ETF上場の流れ
 日本時間の24日の金曜日、米国におけるイーサリアム現物ETF申請が米国証券取引委員会(SEC)により承認され、暗号資産業界にとって今年1月にビットコイン現物ETFが承認されて以来2つ目の快挙となりました。現在の上場プロセスの進捗状況や、これからの流れも知っておきたいところです。
 米国で暗号資産ETFが上場されるためには、2つの代表的な書類がそれぞれSECによって承認される必要があります。今回承認されたのは「19b-4」という届出登録書であり、ニューヨーク証券取引やナスダックなどの証券取引所が提出する、ETFを取引できるようにするためのルール変更の提案書類です。
 もう1つの書類は、ETFの発行者が提出する「S-1」です。ビットコイン現物ETFを例に挙げると、GBTCやIBIT、FBTCを運用するGrayscale、Black Rock、Fidelity等の運用会社が発行者に該当します。「S-1」ではETFの投資目的・運用方法・手数料等の情報を投資家に開示することを目的としており(目論見書に参考資料がついたもの、というイメージが近いです)、「19b-4」が承認された現在、ETFを上場するためには「S-1」が承認されなければならないという状況です。
 ビットコイン現物ETFにおいては、今年1月11日に上場承認され、翌日1月12日に取引を開始しました。その際には「19b-4」承認されてから「S-1」までの承認はわずか数時間でした。今回のイーサリアム現物ETFの「S-1」の承認については本文にて触れたとおり、執筆時点(5/26)で数週間、もしくはそれ以上の期間がかかると予想されています。言動が注目されている一人であるブルームバーグのアナリストのジェームス・セイフォート氏は「さらに詳細は1週間程度でわかってくるだろう。」とのコメントを残しており、今後のイーサリアム現物ETFの上場承認関連のヘッドラインには目が離せません。





(SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


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