2025/06/02
暗号資産週間レポート(2025.5.25~2025.5.31)
BTCは方向感欠く展開、トランプ系企業の戦略と通商政策が焦点に
【5/25~5/31週のサマリー】・国際貿易裁判所がトランプ関税を停止する判決を下すも、控訴審で差し止め命令が一時停止
・トランプ・メディアグループ、25億ドル規模のビットコイン財務戦略計画を発表
・ヴァンス米副大統領、ビットコイン2025カンファレンスで基調演説
・米Circle社、ニューヨーク証券取引所にIPOを申請
【暗号資産市場概況】
5/25~5/31週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲2.56%の15,121,200円、ETH/JPYの週足終値は同+1.25%の366,730.0円であった(※終値は5/31の当社現物EOD[6/1 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場はトランプ・メディアグループによるビットコイン財務戦略計画や、「ビットコイン2025カンファレンス」におけるヴァンス米副大統領の演説など好材料が見られたものの、米国の通商政策を巡る先行き不透明感が相場の重石となり、全体としては軟調な推移となった。
週初、トランプ・メディア(Trump Media & Technology Group)が暗号資産購入資金として最大30億ドルの調達を検討していると英フィナンシャル・タイムズ紙が報じたことで、BTCは一時110,000ドル台まで上昇。その後同社が報道内容を否定したことで反落したが、最終的に同社から25億ドル規模の資金調達計画が正式に公表され、暗号資産購入を含む財務戦略に充てる意向が明らかとなった。
同週は、米GameStop社やSharp Link Gaming社など複数の上場企業が財務戦略の一環として暗号資産を取得する動きが相次ぎ市場でも注目を集めた。また各州で進行中のビットコイン準備金法案(SBR法案)の進展も背景に、今後も企業および州政府による暗号資産導入の流れには注視が必要とされる。
「ビットコイン2025カンファレンス」では、ヴァンス副大統領が基調講演を行い、「暗号資産を主流経済の一部とするためには、制限的でない市場構造法案が必要」と主張。加えて「トランプ政権は、反暗号資産的な姿勢を持つ規制当局者を更迭する」とも発言し、規制環境の変化を示唆した。ただし、これら発言による市場インパクトは限定的なものに留まった。
週央に公表されたFOMC議事録ではFRBのタカ派的スタンスが改めて示され、これがリスクオフ要因となってBTCは107,000ドル台まで下落。議事録では、インフレリスクの持続性と経済の不確実性が強調されており、金利動向への市場の敏感な反応が改めて確認された。週末に発表されたPCE価格指数は2021年3月以来の低水準を示し、インフレの減速傾向を示唆する内容であったものの市場の反応は鈍く、金融政策に対する不安定なセンチメントが継続していることがうかがえる。
米国の通商政策を巡っては、木曜日に米国際貿易裁判所がトランプ関税の多くを差し止める判決を下し、一時的にBTCは反発。しかし、控訴裁判所によりこの差し止め命令の効力が一時停止されたことで再び先行き不透明感が強まり、BTCは下落に転じ週末にかけて105,000ドルを下回る水準で推移した。
今週は、米通商政策に関する訴訟手続きの進展とともに、米国の経済政策の方向性を占う重要指標である米雇用統計の発表が予定されている。トランプ関税差し止めを巡る控訴審では、6月5日に原告側、6月9日に政権側がそれぞれ書面を提出予定であり、関連報道による市場変動にも留意が必要だ。これら重要イベントを控える中、市場のボラティリティ上昇リスクを念頭に置いた慎重なポジション管理が求められる。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【5/25~5/31週の主な出来事】

【6/1~6/7週の主な予定】

【今週のひとこと】ビットコイン2025カンファレンス
2025年5月27~29日(現地時間)にラスベガスで開催された「ビットコイン2025カンファレンス」では、ステーブルコインの法制化が主要な議題の一つとなり、業界の関心を集めました。米国では、ステーブルコインの急速な普及が金融システムにもたらす潜在的な影響を懸念する声が高まっており、規制の明確化が求められています。
カンファレンスではルミス米上院議員は、ステーブルコイン発行者向けの包括的な規制枠組みを定める「GENIUS法案」が公正性の問題点に焦点を置きながらも着実に進捗していることを発表しました。また、ヴァンス米副大統領も、現職として初めてビットコイン会議に登壇したことも注目されました。彼は講演の中で、ステーブルコインの普及が米国ドルの根幹を脅かすことはなく、逆に米国ドルを強くすると述べています。だたし、法案にはいくつかの論点が残されており、特にステーブルコイン発行者が準備金から得られる利回りをユーザーと共有できるかどうか、そして政府関係者の利害関与をどのように制限するかが議論されています。また、税務処理の複雑さや、規制機関間の調整を担う統括機関の不在も、立法の進展を妨げる要因となっています。
このような状況の中、米国議員のみならず、JPモルガンをはじめとする伝統的金融機関もステーブルコイン規制に強い関心を示しています。規制明確化によって伝統的な金融機関が暗号資産市場へ本格参入する機会となる一方で、Tetherのような非米国籍の発行体には不利に働く可能性も指摘されています。
今後、議会内の対立要因が突破され、法案が上院本会議での採決に進むことで、デジタル資産分野の基盤となりうるステーブルコインに明確な基準と連邦レベルの監督をもたらす重要な転機となるでしょう。GENIUS法案により明確な規制の枠組みが導入されると、国際送金やデジタル決済インフラなど、グローバルな金融システム全体におけるステーブルコインの普及を加速させる可能性があるでしょう。これは、これまで投機的側面が強かった暗号資産市場が、現実の金融資産により近づいていくための契機となると考えられるのではないでしょうか。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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