Market Report

マーケット情報・チャート

2022/10/12

暗号資産は株式市場に連れて下落、CPIの発表待ち

先週のハイライト
  • 先週初めの市場の主な上昇要因は以下の3点
  • 1)第3四半期での株価下落を受けたファンドのリバランス
    2)クレディスイスのクレジットリスクの再評価を受けた株価の持ち直し
    3)英中銀の実質的な緊急緩和策を受けた英国国債市場の落ち着き
  • 上記を受けて、BTCは20,450ドル近辺、ETHは1,400ドル近辺まで上昇
  • 米雇用統計の結果は、利上げ姿勢の転換を行うのは中央銀行の中でFRBが最後となることを再認識
  • 週末にかけ、BTCとETHは売り買い交錯しながらそれぞれ18,950ドル、1,270ドル近辺まで下落
  • BTCとETHの下落にも関わらず、ボラティリティは低下
  • スポット下落を受けたオプションマーケットの反応から、下落方向に対して十分にヘッジされていることを示唆
  • 米CPI、金利動向、ウクライナ情勢が今後の注目材料

  • 先週の動き
    金曜日に発表された、米雇用統計の予想比良好な結果を受けて、11月のFOMCで0.75%の利上げを行う可能性が90%まで引き上げられ、米国の金融引き締めが長期化する懸念から、暗号資産の反発期待は削がれることとなった。結果としてBTCは20,500ドル、ETHは1,400ドルの上値抵抗線を超えられず、その後それぞれ18,950ドル、1,270ドル近辺まで反落。メジャーコイン以外では、イーロン・マスク氏がTwitter買収の再提案を行ったことを受けDOGEが10%近く上昇したことが目立った動きとなっている

    フローデータを見ると、これまでの週と比べて顧客の売り買いが交錯している。コイン別にみると、BTCはETHと比べて若干買い選好となっている。DOGE、LTC、ADA、SOLは強い売りが見られ、MATIC,AVXでは強い買いが見られた。地域別にみると、アメリカ地域が売り手となっており、顧客別では銀行系、取引所、リテール業者すべてが売り手となっていた。

    暗号資産先物市場において、暗号資産の対ドルベーシスは比較的安定しており、BTCの3ヶ月物は年率1.5%程度で推移。ETHの3ヶ月物は1%低下し、年率2.5%のディスカウントとなっており、市場がETHのステーキングによる利回り上昇を織り込み始めていることが伺える。

    暗号資産オプション市場では、スポットが下落したにも関わらず、オプションの売り圧力からボラティリティは低下しており、BTCの中期物は2%低下し64%に、ETHの中期物は10%もの低下となり73%となっている。リスクリバーサルもBTC、ETH共に若干下ストライクのボラティリティが上昇する方向にスキューしている。ボラティリティが低下するなか、オプションのロングポジションを持つことは、魅力的に見えるかもしれないが、ロングポジションを持つことによるネガティブキャリーが大きく、実際に10日間のヒストリカルボラティリティは約40%低下しETHでは44%しかないため収益化の難易度は高い。一方、スポット下落時にボラティリティが低下するというマーケットの反応を見ると、下方向のヘッジが十分行われていること、また言い換えれば市場がショートポジションを保有していることを示唆している。

    今後の展望
    市場では、木曜日に発表される米CPIに注目が集まっており、コアCPIの市場予想は6.5-6.6%となっているが、予想を下回る結果となった場合に市場の反応は大きくなると想定される。仮に予想を下回った場合、11/2に予定されているFOMCで今後の利上げ見通しが0.75%から下方修正される可能性がでてくることにより、単にUSDロングのアンワインドだけではなく、ショートスクイーズのヘッジ目的の暗号資産オプションのコール買い(上ストライクオプションの買い)を助長する動きが想定される。

    ウクライナ情勢も引き続き注目材料となっており、通常の攻防であればマーケットの動きにとって特にネガティブとはならないが、作戦の失敗などで感情的となったロシア首脳部が、仮に核兵器の使用に踏み切る兆候が見られた場合は、ダウンサイドリスクが急速に高まることとなる。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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