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マーケット情報

2024/06/17

暗号資産週間レポート(2024.6.9~2024.6.15)
ビットコインETF資金流出とCurveトークン清算、暗号資産市場の変動とその影響とは!?

【6/9~6/15週のサマリー】
・ビットコイン現物ETFは純流出額6,500万ドルを記録。19日間連続での資金流入後、初の流出超となる
・大手DeFiプロトコル・Curve創設者が保有していたCRVトークンの大部分が清算される
・SECゲンスラー委員長「イーサリアム現物ETFの運用申請は今夏に完了するだろう」と発言

【暗号資産市場概況】
6/9~6/15週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比-4.66%の10,403,500円、ETH/JPYの週足終値は同-3.03%の560,260円であった(※終値は6/15の当社現物EOD[6/16 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、今後の利下げ時期への思惑から、米経済指標に市場参加者のポジショニングが翻弄される週であった。
週初は、週央のCPI発表・FOMC記者会見を控え、米株市場でリスクオフの動き(ポジション解消)が進んだことが暗号資産市場にも波及。月曜日の米ビットコイン現物ETFが資金流出超であったことが明らかになると、暗号資産市場でも2億5,000万ドル超の清算を伴う価格の下落が発生した。
週央には米5月CPIの発表に続き、政策金利発表・記者会見が行われた。CPIが市場予想対比下振れしたことで利下げが意識され、ビットコイン価格は上昇(金利と暗号資産の関係は以前のレポート(https://www.neweconomy.jp/features/sbivct/387727)の「今週のひとこと」で解説しているため参照されたい)。その後、政策金利発表で示されたドットチャート(ドットプロットとも。FOMCメンバーが適切と考える政策金利目標を点で表したチャート。確認方法は本稿の「今週のひとこと」で解説する)における『政策金利目標の中央値が示唆する2024年中の利下げ回数』が、前回(3月)の3回から1回に減少したことが大きなサプライズとなり、直前の上昇分を巻き戻す結果となった。
今回FOMCのドットチャートがリスクアセットにとってネガティブであることは間違いないが、一方で、直前に発表された米CPIの数値や、FOMC後に発表された米PPI・ミシガン大消費者信頼感指数(これらのデータからは米国経済におけるインフレ鎮静化が読み取れる)を織り込んでいるとは思われない。今後も経済データがインフレの収束を継続的に示していくことになれば、年内に2回利下げが行われる可能性も十分にあり得るだろう(ドットチャートは3・6・9・12月のFOMC時に発表されるため次回も注目したい)。
暗号資産市場においては、Curve創設者マイケル・エゴロフ氏が保有していた約1億4,000万CRVのうち大部分(約1億CRV・2,700 万ドル相当)が清算されたことが注目を集めた。引き金となったのはUwU Lend(DeFi)のハッキングとされており、盗まれたCRVは現金化に使用されている。マーケットではパニック売りが発生し、CEXのCRV残高は過去最高を記録したが、現在は落ち着きを見せ、残る約3,935万CRVについては、近日中の清算は見込まれない状況だ。 また、14日には米SEC委員長のゲンスラー氏が予算審議会で上院議員に対し、今夏中にS-1登録届出書を承認すると予想していると述べ、イーサリアム現物ETFの上場と取引が近日中に実現する可能性を示唆した。BloombergのETFアナリストエリック・バルチュナス氏は7月2日までに承認される可能性があるとポストしており、引き続き関連ヘッドラインには注意を払いたい。
次週以降について、各国経済指標や政策金利に加え、欧州の政治状況が懸念される。現在、仏議会選挙で敗れたマクロン氏は解散を決定し、6月30日と7月7日に議会選挙が実施される見込みである。世論調査ベースではル・ペン氏または左派連合の当選が有力視されており、いずれが勝った場合でも財政悪化が懸念されている。市場では既に「質への逃避(FTQ)」と呼ばれるリスクオフ(リスク資産から国債などの安全資産への退避だけでなく、国債の中でもより経済状況が安定した国の国債が選好される)が進んでいる。
ルメール経済・財務相は「総選挙で左派系政党による新たな連合が勝利すれば、同国は欧州連合(EU)を離脱することになるだろう」との警告を発しており、可能性は高くはないものの、仮にフランスのEU離脱(フレグジット)が実現した場合、現時点でも既に仏株は急落を見せているが、市場におけるFTQはさらに進行する可能性がある。


[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)




【6/9~6/15週の主な出来事】



【6/16~6/22週の主な予定】


【今週のひとこと】CME FedWatch Toolの紹介~米政策金利市場織り込みの確認方法~

相場情報を追っていると、アメリカの政策金利(FFレート)の市場参加者の織り込みについての議論や、本文でも記載していた「ドットチャート」(FOMCメンバーが適切と考える政策金利目標を点で表したチャート)の話を目にすることがあるかもしれません。どこで確認すればいいのか疑問に思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
代表的な確認先として、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が公開している「CME FedWatch Tool
https://www.cmegroup.com/ja/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html)」というサイトが存在します。このサイトでは、30日物フェデラル・ファンド金利先物(将来の金利に基づいた金融商品)の価格を元に、市場参加者が何%程度の金利の変動を織り込んでいるのかを計算し、公開しています。
今回のコラムでは、CME FedWatch Toolのうち、「次回FOMC金利の織り込み状況」と「直近発表されたドットチャートの確認方法」を解説します。

・次回FOMC金利の織り込み状況


① 赤枠のうち「Current」という文字のある部分が、現在の金利織り込みを見るためのタブになるので、ここをクリックします。
② 「いつのFOMC時点での金利」を見たいかを選ぶタブです。画像では「2024年7月31日」を選んでいます。
③ 現在の政策金利目標が表示されています。現在は525~550bps(年率5.25~5.5%)であることがわかります。
④ 現在の市場予想を表しています。25bps(0.25%)の利下げが12.4%程度、金利据え置きが87.6%程度、市場参加者に織り込まれていることがわかります。
⑤ 1週間前、1カ月前との織り込み度合いの違いが表示されています。重要な経済イベントを通過した際に市場参加者の予想がどのように変化したのか知りたい場合に参考になります。

・直近発表されたドットチャートの確認方法


① 赤枠のうち「Chart」という文字のある部分が、直近発表されたドットチャートを見るためのタブです。
② 一つ一つのドット(点)は、FOMCメンバーが予測する目標金利を表しています。水色のドットは中央値を表しており、織り込まれている利下げ回数を確認したい際の参考となります。赤色のドットは、市場参加者が織り込んでいる年末の金利を表します。現在の金利は525~550bpsですが、水色のドットは500~525bpsの間、赤色のドットは475~500bpsの間にあり、FOMCメンバーには年内に1回の利下げが、市場参加者には年内に2回の利下げが予想されていることがわかります。

今回のCME FedWatch Toolの紹介は以上となります。FOMCが近づいたタイミングなどに、ぜひチェックしてみてください。


(SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


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