2022/12/14
テールリスク拡大のなかでも、再びレンジでの推移
先週のハイライト先週の動き
暗号資産スポット市場は新たなトレンドを形成するには至らず、BTCは17,450ドルの上値を抜けることが出来ずに16,750ドルまで戻され、ETHも同様に1,220ドル~1,300ドルのレンジでの推移となった。BTCはクリプトウィンターに入ってからのレベルである17,000ドルを挟んだレンジでの動きが継続している。本日は米FOMCが予定されており、主要コインの長期的なポジションを構築するに当たり、これらの結果待ちの状態となっている。アルトコインに関しては、バイナンスの財務状況に関する懸念から週末にかけて下落する動きとなった。
フローデータを見ると、全般的には売り傾向となっている。地域別にみると、アジア圏は売り買い拮抗となっているものの、米国圏、欧州・中東圏では強い売り越しとなっている。コイン別でも同様の傾向がみられ、BTC、UNI、AVAXのように売り買い拮抗となっているものもあるが、MAT、XLM、DOGE、XRPは大きく売り越しとなっている。顧客別でみると、銀行系が若干の買い越しとなっている以外は、その他すべての顧客層で売り越しとなっている。
暗号資産先物市場の対ドルベーシスには先週初に短期間のスパイクが見られたが、その後は総じて安定的に推移している。BTCの1ヶ月物の対ドルベーシスは一部の取引所で年率換算+5.0%まで上昇後、-1.0%~-2.0%のレンジに回帰。3ヶ月物も同様で+1.5%まで上昇した後、-1.0%~+0.5%程度で推移している。
暗号資産オプション市場ではリスクリバーサルの動きが目立った。1ヶ月物のボラティリティはBTCで52%、ETHで73%とほぼ横ばいだったのに対し、リスクリバーサルは9%の下高から13%の下高に、ETHは5%の下高から12%の下高に変化し、バイナンスの財務状況に対する懸念などから市場参加者が下サイドのオプションを購入することで身を守ろうとしている様子が伺える。
今週の展望
バイナンスの流動性リスクに関するコメントが暗号資産関連のTwitterのメインとなっており、大手取引所の破綻に対する警戒を強めている。実際にどうなるかは誰も知る由がないが、万が一の場合は、瞬時に市場の流動性に対してネガティブな影響が出ることは明らかだろう。
バイナンス以外のマクロ的な観点では、米FOMC、英政策金利発表が予定されており、グローバルでインフレ圧力が低下しているかどうかに注目が集まっている。
米FOMCでは0.50%の利上げが予想されているが、利上げ自体よりも2023年末のドットチャートに注目が集まっている。市場では来年中盤にかけて利上げのピークを迎え、来年後半にかけて利下げが始まると予想しているが、FRBがそれを認めることは市場には意外と受け取られるかもしれない。これまでのタカ派なメッセージを受けてインフレ懸念が後退していることは明らかだが、今後その方向性を変更するにあたりFRBは難しいかじ取りを迫られており、基本的にはハト派への転換はリスク資産にポジティブなものの、市場にサプライズと受け取られることでボラティリティの上昇をもたらすかもしれない。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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