2025/11/25
暗号資産週間レポート(2025.11.16~2025.11.22)
短期投資家の含み損拡大と市場心理悪化が続く暗号資産市場
【11/16~11/22週のサマリー】
・暗号資産取引所Krakenが米国でIPOを申請
・Nvidia決算発表で反発するも、同日現物ビットコインETFで過去2番目の純流出を記録
・米9月雇用統計で軟調な結果を受け、12月FOMCの利下げ期待が再意識
・現物ビットコインETFが4週連続で純流出を記録
・オンチェーンデータにおける短期保有者の平均損失がクリプトウィンター水準に
【暗号資産市場概況】
11/16~11/22週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲10.43%の13,195,900円、ETH/JPYの週足終値は同▲11.93%の430,040円であった(※終値は11/22の当社現物EOD[11/23 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、足元で続伸する米国ビッグテック株に対してAIバブル懸念がくすぶる一方、12月FOMCにおける利下げの有無を巡り市場の見通しが定まらない中で、現物売りが優勢となった。ビットコインは一時80,000ドル近辺まで反落した。市場参加者は短期的なボトムを模索する一方で、ポジションヘッジを目的としたプットオプションの購入が増加し、投資家の押し目買い意欲の低下を示唆した。
デリバティブ市場では、現物と永久先物価格の乖離を調整するために設計されているファンディングレートが低下した。現物市場では個人投資家が中心となっているBinanceと機関投資家が中心となっているCoinbaseで、現物ビットコインの累積出来高デルタが大きく乖離していることが確認できる(下段の「主要取引所のAggregated Funding RateおよびCumulative Volume Delta、1週間)チャートを参照)。
こうした軟調な投資心理が継続している要因としては、12月の利下げの有無に対する不透明感に加え、米国ビッグテック企業によるAI関連投資に伴う設備投資負担への警戒感が、今週の市場心理に影響を与えたとみられる。米連邦政府の史上最長のシャットダウンにより経済指標の公表が滞ったことがFRB理事間の見解の不一致につながったほか、ビッグテック各社のAI投資が株価の押し上げ要因となってきた一方で、その投資費用の回収時期の見通しは不透明との見方が注目された。
さらに、2008年のサブプライム住宅ローン危機を予見したマイケル・バリー氏が、ビッグテック企業の半導体チップに係る減価償却費が過少計上されていると指摘し、複数のAI関連銘柄に対して多額のプットオプションを購入したことも、投資家の積極的なリスクテイクを抑制する要因となった。このような環境下で、下落基調にある暗号資産を新たに購入する動きは一段と抑えられた。
しかし、オンチェーンデータに目を向けると、足元のビットコイン価格水準は、過去のパターン上、多くの短期保有者がパニック売りにより含み損を実現した後に安値圏を形成してきたことが確認される水準に近い(下段の「ビットコインのShort Term Holder」チャートを参照)。ここでSOPRは「Spent Output Profit Ratio」の略称であり、UTXOが生成された時点の価格と、そのUTXOが消費(売却)された時点の価格の比率を示す指標である。SOPRが1を下回る局面は、平均的に投資家が損失を計上しながら売却していることを意味する。Short Term Holderは保有期間155日未満の投資家として定義されるが、同指標に基づく先週の短期投資家の平均損失水準は、2022年のテラショックやFTX破綻時に価格が急落した局面と同程度の水準に達している。直近では、昨年8月5日の円キャリートレード解消警戒を背景としたリスク資産のパニック売り時が挙げられるものの、今回記録した水準には届いていない。また、添付チャートは7日移動平均で算出したものであり、SOPRが1未満の状態が過去に一定期間継続していたことも含めている。そのため、現時点の水準をもって「確定的な安値」と断言することはできない点には留意が必要である。
来週は米国市場が27日の感謝祭で休場となり、翌28日は短縮取引となる。これまで公表が延期されていた米9月小売売上高および生産者物価指数(PPI)が発表されるほか、主要指標の公表スケジュールが順次明らかになる見通しであり、引き続きこれらの動向を注視する必要がある。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[主要取引所のAggregated Funding RateおよびCumulative Volume Delta、1週間]

(参照取引所:Binance、Bybit、OKX、Deribit、Hyperliquid、Gate.io、Bitmex)
(Kiyotaka.ai提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[CoinbaseとBinanceの現物ビットコインCumulative Volume Delta、1週間]

(緑線がCoinbase / オレンジ線がBinance)
(Kiyotaka.ai提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコインのShort-Term Holders SOPR、過去10年]

(オレンジ線がSOPR / 黒線がビットコイン価格 / 灰色区間が今週と同程度であった時期)
(Glassnode提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【11/16~11/22週の主な出来事】

【11/23~11/29週の主な予定】

【今週のひとこと】KRAKENが米国でIPOを申請
11月19日、米国の暗号資産取引所のKRAKENは、新規株式公開(IPO)に関する登録届出書の草案を米証券取引委員会(SEC)に非公開で提出したと発表しました。2011年に設立されたKRAKENは、暗号資産の売買やステーキング、カストディ、決済サービスなど幅広い金融サービスを提供しており、米国内外で高い評価を受けています。KRAKENは、暗号資産市場の成長と共に事業を拡大しており、2024年には約15億ドルの収益を上げました。さらに、2025年についても第3四半期までの時点ですでにこの数字を上回る収益を上げる見込みであると発表しており、成長性の高さが際立っています。
今回のKRAKENのIPO申請は非公開で行われたため、発行株式数や価格帯の詳細については明らかにされていません。IPOの実施は市場環境やSECの承認を条件としており、現時点では2026年第1四半期の実施を予定しています。なお、KRAKENはIPO申請発表の前日に、Jane StreetやCitadel Securitiesなどの企業が参加する資金調達ラウンドで約8億ドルを調達しており、企業の評価額は9月時点の150億ドルから約33%増の200億ドルにまで上昇しました。これにより、同社の資金基盤はより強固なものとなり、今後の成長戦略への期待も高まっています。
一方で、暗号資産関連企業のIPOは米国市場で必ずしも順調に推移しているわけではありません。2025年には、トランプ政権の支援を受けてステーブルコイン発行会社のCircleや暗号資産取引所のBullish、Gemini Space Stationなどが上場しましたが、いずれも上場初日の高値を下回る水準で株価が推移しており、市場の慎重な姿勢が見て取れます。さらに、来年には米国で中間選挙が予定されており、共和党が敗北した場合には暗号資産業界に対する規制方針が変化する可能性も指摘されています。そのため、多くの暗号資産関連企業が中間選挙前の上場を目指すなか、来年の第1四半期に上場を予定しているKRAKENの今後の動向に注目が集まります。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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