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マーケット情報

2022/11/01

利上げペース鈍化期待を受けて暗号資産市場は上昇、DOGEは楽観的な見通しから急騰

先週のハイライト
  • 暗号資産市場は週初から上昇、BTCとETHがけん引
  • DOGEは週を通して上昇、土曜日に上げ幅を拡大し、それまでの8.5セント台から15セント台へ
  • インプライドボラティリティはマーケットの動きに瞬時に反応、特にETHで顕著
  • 今週は米FOMCに全注目、利上げペースの先行きに注目

  • 先週の動き
    これまで長期にわたって上下5-7%の変動幅のレンジで推移していたが、先週火曜日に主要な暗号資産は大きな前触れもなく、9-10%程度の上昇幅を記録した。最終的にETHは約300ドル(22%)上昇して1,660ドル台を付け、BTCは21,000ドルを抜けきれなかったものの、その近辺まで上昇した。
    経済成長率の鈍化や、企業決算の伸び悩み、住宅関連や雇用市場の悪化を受けて債券市場の利回りが徐々に低下してきたことや、FRBが今後の利上げペースを鈍化させるとの見通しが出てきたことが理由と考えられている。
    金曜日のオプション納会日には、BTCで19,000ドル、ETHで1,300ドルのオプションが権利行使されたことにより、ロングガンマが上昇したことがボラティリティの増加にもつながっている。
    DOGEは前週まで6セントから8.5セントのレンジで推移していたが、イーロン・マスク氏によるTwitter社の買収を歓迎した動きにより、15セント台まで急騰している。

    フローデータをみると今週は売り買いが交錯しており、BTCは買い越しとなっている中、ETHやDOGEでは利食いの動きから売り越しとなっている。またXRP、KTC、LINKは売り越し、SOL、ADAは買い越しとなっている。地域別でみるとアメリカ地域が強い売り手となっており、顧客別ではリテール業者が売り手となっている。

    暗号資産先物市場の対ドルベーシスはロングポジション構築の需要が高まっていることを受けて、BTC対ドルベーシスは期近物では1.5%程度、3ヶ月物で0.5%程度の上昇。ETHの対ドルベーシスは1~3ヶ月物でフラットに1.5%程度の上昇となっている。
    暗号資産オプション市場ではスポットの動きに大きく反応する形でETHのボラティリティが上昇。ETHのボラティリティはBTCのボラティリティに比べて11%程度高い水準で推移していたが、足元は20%前後高い水準となっている。また、ETHの12月限月のリスクリバーサルも上サイドのストライクの需要が増してきたことで、約5%上サイドのオプションのボラティリティが上昇。このリスクリバーサルの動きは上サイドのオプションの売り手が不足していることや、ETHのセンチメントの変化を表しているが、今後も値動きが出やすくなっている点には注意が必要か。

    今後の展望
    今週は米FOMC、来週は米中間選挙と米CPIの発表と大きなイベントが控えている。FOMCでは12月と2023年の利上げペースの見通しに注目が集まっている。

    インフレに敏感に反応し、かつ先行指標といわれている住宅や雇用関連の数字が低下していることから、米経済の減速は明らかとなってきている中、市場ではリスクオンの動きにつながることから、米利上げペースの鈍化が期待されている。仮にFRBが自身の信用を維持することを重視し、さらにあと1か月程度タカ派を継続するような姿勢がみられるようであれば、直近のリスクオンの動きは長続きしないであろう。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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