Market Report

マーケット情報

2024/08/19

暗号資産週間レポート(2024.8.11~2024.8.17)
FOMCの動向と中東情勢への不安がもたらす暗号資産市場への影響とは?

【8/11~8/17週のサマリー】
・PPIやCPIからはインフレの再燃は確認されなかった
・米7月小売売上高が予想比上振れ、景気後退懸念が和らぐ


【暗号資産市場概況】
8/11~8/17週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比-2.27%の8,759,900円、ETH/JPYの週足終値は同+0.43%の385,135円であった(※終値は8/17の当社現物EOD[8/18 6:59:59]レートMid値)。
週初の暗号資産市場はイランによるイスラエルへの軍事報復が警戒され軟調な展開となった。地政学的リスクにより上値が重い中、13日には米7月生産者物価指数(PPI)、14日には米7月消費者物価指数(CPI)が発表された。PPIは予想比下振れ、CPIは予想通りの結果でありインフレの再燃は確認されなかった。7月のFOMCにてパウエルFRB議長がインフレから雇用へとフォーカスを移していく旨の発言をしており、物価指数については市場予想と大きくずれない限り、市場への影響度が従来よりも下がっていると考えられる。
また、8月上旬には米国の景気後退懸念から9月FOMCにおいて50bpの利下げが織り込まれ始めていたが、ISM非製造業景気指数の上振れにより景気後退懸念が和らいだことや先週の物価指数が安定していたことで、25bpの利下げ織り込みに戻りつつある。米アトランタ連銀のボスティック総裁が「もう少しデータを見たいです。」や「この傾向が本物であることを確認する必要がある。」と語っているように、9月のFOMCに向けては我々も一つ一つのデータを確認していく必要がある。7月FOMC以降、雇用・景気を表す指標についての注目度は上がっており、9月FOMCでの利下げ織り込み確率と照らし合わせながら市場を追いかけていくことが直近の市場の見方として有効であり、暗号資産市場を見ていく上でも重要になるだろう。
15日には米7月小売売上高が予想比上振れたことで米金利が小幅に上昇した。このような局面では株は景気後退懸念が和らぎ上昇しやすくなるが、暗号資産は金利上昇の影響を受け下落しやすいということは整理しておきたい。株と暗号資産では相関する場面もあれば逆相関になる場面もあるが、値動きの背景にある理由やテーマが異なることが違いを生んでいると考えられる。
今週はFOMC議事録やパウエル議長発言、米購買担当者景気指数(PMI)が控えている。景気指標の動向や直近のデータを受け、FEDがどのような見解を示すかについて注目したい。



[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートよりSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートよりSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)




【8/11~8/17週の主な出来事】



【8/18~8/24週の主な予定】


【今週のひとこと】Polymarket(ポリマーケット)

最近、暗号資産業界においてPolymarketという単語を目にすることが多くなっているのではないでしょうか。今回は簡単にPolymarketの解説を行いたいと思います。 (注意:Polymarketは規制当局の許可が下りていないサービスであり、当社からの暗号資産の送金も禁止しております。本記事は、同プラットフォームの利用を促進するものではありません。)
Polymarketは、スポーツ、政治、暗号資産価格などの幅広い分野の結果に対し、ユーザーが賭けることができる分散型予測市場です。Polygon上に構築されており、USDC等のステーブルコインを入金して特定のイベントについて予測したうえで取引し、そのタイミングと結果次第で利益を得ることができます。そのため参加者にはイベントの発生確率を予測するインセンティブがあり、予測時点でのイベントの発生確率には信頼性があります。
例えば下図は2024年の米国大統領選挙の当選者予想ページですが、8月18日時点ではKamala Harris氏の当選確率は71%と予想されており、ユーザーは71.5セントでYesの権利を購入することができます。ユーザーは予想が的中しHarris氏が当選した場合には1ドルを受け取ることができます。またユーザーは結果発表前にYesの権利を手放すこともでき、手放したタイミングでHarris氏の当選確率が上がっていた場合はその分を利益として受け取ることができます。
Polymarketが話題となったきっかけは、2024年の米国大統領選挙についての予測であると思われ、米大手メディアであるウォール・ストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなどがPolymarketのオッズについて言及するまでとなりました。Polymarketのような分散型予測市場が偏向的でない情報源としてより重宝される時代に突入しているのかもしれません。



[Polymarket 2024 米国大統領選挙当選者予想]

(Polymarket提供のページより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)




(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


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