2023/01/10
信用不安がくすぶるなか、米雇用統計の結果を受けてスポットは上昇
先週のハイライト先週の動き
週明け早々にSOLが10ドル台から12ドル台へ上昇し、この時点では流動性の薄いタイミングでの買いによるものと思われていたが、その後もジェネシスやジェミナイに関するニュースやその他の信用不安に関するうわさが出たにも関わらず、価格は下落することはなかった。週初に発表された12月の米ISM製造業指数は軽微なリセッション入りを思わせるような内容だったが、FRBのタカ派姿勢の軟化を見込む思惑から、暗号資産市場では買いが見られることとなった。また金曜日の米雇用統計も雇用者数はいい数字であったものの賃金の低下が見られたことから、FRBがハト派へ動く期待を持たせる内容として受け止められた。
先週を通してみると、BTCは17,000ドル手前まで約2%上昇し、ETHは6%上昇して一時1,275ドルを付けた。SOLが最もパフォーマンスがよく、週間で35%の上昇となり、その他中規模なコインは概ね5~10%の上昇となった。一方でXRPはSECとの訴訟に関する新規材料待ちから横ばいとなっていた。今週明けのアジア時間帯には全般的に上昇しており、主要なところではBTC+2%、ETH+4%、LTC+8%、SOL+19%、ADA+13%などの動きとなっている。
フローデータを見ると、概ね売り買い拮抗している中、いくつかのコインで大きな売り越しがみられた。投資家別にみると、個人投資家が売り越しとなった以外は売り買い拮抗となっている。地域別も同様に、米国圏で売り越しとなった他は売り買い拮抗であった。
コイン別でみると、MATIC、BNB、EOSが売り越しの他は売買拮抗となっている。
暗号資産の貸出金利が低下していることを受け、暗号資産は以前と比べて借りやすい状態となっており、今週明けの上昇にもつながっている。先週の動きで特筆すべきものはSOLの無期限先物の維持金利が大幅なディスカウントとなっている点で、売り手は1日に1%のオーバーナイト金利を払う必要が生じている。
ジェネシスに関する懸念が残っているにも関わらず、インプライドボラティリティは低下し、BTCとETHのボラティリティは歴史的に非常に低い水準に達している。6カ月物のBTCのボラティリティは足元52%程度で、これは2018年の暗号資産低迷期に暗号資産オプション市場が始まって以来、最も低い水準となっている。ETHのボラティリティもBTCに比べて7%~8%程度高いだけで、ETH対BTC間のスプレッドとしてはかなり安い水準であり、こちらも歴史的な水準に見える。とはいえ、ボラティリティを押し下げる大きな要因が3つ挙げられる。1点目は過去のスポットの値動きから計算されるヒストリカル・ボラティリティが過去14日間でBTCで10%台半ば、ETHで20%台半ばとなっていること。2点目はオプション市場には年末年始のホリデーシーズンにかけてオプション売りフローが多く持ち込まれている一方で受け手があまりいないこと。3点目がスポットの方向感が定まらないなかで、オプションを買って収益を狙う動きよりも、ポジションを軽くしジェネシスなどの信用不安に注意を払っていることである。
今週の展望
米CPIを含む米国のインフレに関する経済指標に注目が集まっており、市場では賃金上昇圧力が抑えられつつ景気は活況が続くシナリオに対する淡い期待を持っている。現実的には、次回2月のFOMCでの利上げ幅が25ベーシス、50ベーシスのいずれになるかを見極めるべく、今週の米CPIの結果に注目している。市場予想は+6.6%、コアCPIは+5.7%となっている。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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