2025/01/14
暗号資産週間レポート(2025.1.5-2025.1.11)
ビットコインが大幅下落!利下げペース減速と米政府のBTC売却噂が原因か
【1/5~1/11週のサマリー】・ビットコイン現物ETFの年末年始フロー、3億ドルの純流入で低調ながら2週間連続の純流入
・米司法省によるシルクロードから押収した69,370BTCの売却許可の噂が広まる
・FOMCにおける議事要旨や投票権を持つ委員らの利下げペース鈍化示唆が暗号資産売り圧力に
・ニューハンプシャー州が「戦略的ビットコイン準備金」を確立する法案を提出
・ニューヨーク州地裁、トランプ次期大統領の有罪評決を維持
【暗号資産市場概況】
1/5~1/11週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲3.25%の14,971,900円、ETH/JPYの週足終値は同▲9.36%の521,580円であった(※終値は1/11の当社現物EOD[1/12 6:59:59]レートMid値)
先週の暗号資産市場は、利下げを意識させる非製造業PMI結果や、金利据え置きを連想させる中後半の諸経済指標が混在し、総じて利下げペースが鈍化するとの観測が強まり下落相場となった。伝統的な金融市場ではトランプ氏の就任を市場の不確実性を高める要因として捉えており、再来週に控える今年初のFOMCで金利が据え置きとなる見通しが一段と強まった。
年明けから先週まで、米国の主要株価指数はマイナス・リターンで推移している一方、ビットコインは90,000ドル台を守り、プラス・リターンを維持した。これはビットコインに対する楽観的な見通しが下支えしており、伝統的な金融市場よりも強気の投資家心理が表れていると言える。ただし、米国のビットコイン現物ETFをみると、過去2週間の平均資金流入額は11月の週平均流入額である16億ドルに対し、約16.8%にあたる2.7億ドルにとどまった。今後も株式市場の売り圧力が継続した場合、リスク性資産である暗号資産にも売りが波及する可能性が高いと考えられる。詳細は下段の「ビットコイン現物 ETF の資金流出入と運用資産残高合計、週次推移」を参照されたい。
先週はこうした市場心理が顕著に表れた。月曜日に発表された米国の非製造業PMIが予想を下回ったことを受け、ビットコインは金利引下げへの期待から一気に100,000ドルを上抜き、一時102,000ドル台後半まで上昇した。同日、米国の投資家は現物ETFに9億ドル超の資金を投じている。しかし、翌日公表された米国のISM非製造業景況指数とJOLTS求人件数が想定よりも堅調だったことが利下げペースの減速観測に繋がり、ビットコインは4,400ドル以上急落して再び100,000ドルを割り込んだ。
さらに、木曜日未明に公開されたFOMC議事録で委員らが金利引下げペースの減速を共通認識としていることが確認された。今年度のFOMC投票権を有するシュミッド委員とボウマン委員も改めて慎重な姿勢を示したため、ビットコインは91,000ドル近辺まで押し戻された。一難去ってまた一難、木曜日の午前11時頃には米国司法省が閉鎖されたダークウェブ「シルクロード」から押収した69,370BTCを売却許可したという噂がSNS「X」上で拡散し、約30分の間に1,500ドルの下落する場面も見られた。未だ米国司法省からの公式コメントは見られていない。
金曜日の午前6時頃からは、同日夜22時30分に公表される雇用統計を意識してショートポジションの買い戻しやロングポジションの積み増しが断続的に進み、出来高が限られるなかでビットコインは3,000ドル上昇して95,000ドル付近まで上昇した。その後、雇用統計が米国経済の堅調さを示す結果となったため、3,000ドル幅の乱高下があったものの、相場が落ち着くにつれて94,000ドル後半まで反発した。
注目すべきは、ニューヨーク市場オープンからクローズまでの間に、米国10年債利回りが1.2%以上上昇し、S&P500とダウ平均が1%程度下落したのに対し、ビットコインは大きく変動しながらも最終的に0.15%下落にとどまり週末を迎えたことだ。現物ETFも株式市場と同様に売りが優勢で1.4億ドルの純流出だったことを踏まえると、相対的に底堅い推移だったといえる。
来週は、火曜日の14時に日銀の永見野良三副総裁が記者会見を行い、金曜日の深夜0時30分からは米国次期財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏の指名承認公聴会が予定されている。ベッセント氏は暗号資産に対して友好的な見解を示している人物だ。
日銀の永見野副総裁とベッセント候補者の発言内容次第では為替が変動する可能性がある。暗号資産は円建てで評価されるため、ドル円相場に影響を与え得るイベントも要注意だ。また、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレーションを評価する上で重視するPPIやCPI、小売売上高の発表も予定しておりマーケットから目を離せない一週間となりそうだ。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物ETFの資金流出入と運用資産残高合計、日次推移]

(緑・赤のバーが資金流出入 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流出入と運用資産残高合計、週次推移]

(緑・赤のバーが資金流出入 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【1/5~1/11週の主な出来事】

【1/12~1/18週の主な予定】

【今週のひとこと】米国のビットコイン保有企業
米国企業として最大のビットコイン保有量を誇るマイクロ・ストラテジー社(以下、MSTR)は1月6日時点で総保有量が447,470BTC、1BTCあたりの平均取得単価は約62,500ドルとなっています。これは最大発行数量2,100万BTCの約2.1%に相当し、ビットコイン保有企業としては世界第1位の規模です。直近で追加購入した1,070BTCも、従来と同様に転換社債販売契約に基づいて発行・販売された株式の収益を原資に調達したとされています。今週のひとことでは、MSTRをはじめとする米国の主要ビットコイン保有企業を取り上げます。
まず、企業がビットコインを保有し始めた主な理由としては、米ドルを保有するメリットが低下した点が挙げられます。MSTRがビットコインの購入を開始した2020年当時は、新型コロナウイルスのパンデミックの渦中にあり、世界的に経済危機の状況にありました。これに対応するため、米連邦準備制度理事会(FRB)は緊急の金融緩和策(大幅な利下げおよび大規模な量的緩和プログラム)を実施しました。その結果、米国債などの米ドル建て資産の利回りが大幅に低下し、米ドルを保有するメリットが薄れてしまいました。
こうした背景を受け、MSTRのCEOであるマイケル・セイラー氏は発行総量が限られ、高い価値保存性があり、インフレ対策資産として期待されるビットコインを継続的に購入することになりました。MSTRは2020年8月からビットコインの購入を開始しており、特にトランプ氏が米国大統領選挙で勝利した昨年の11月以降は、毎週のように買い増しを進めています。
MSTRに次ぐ保有量を持つのは暗号資産マイニング企業であるマラホールディングスで、その保有量は44,893BTCにのぼります。同社は7,377BTCを第三者に貸出し、インカムゲインを創出している点も特徴的です。第3位のライオットプラットフォームも見逃せません。ビットコインのマイニング及びデジタルインフラ・ストラクチャー会社である同社は17,722BTCを保有しています。
このほか上位保有企業には、テスラ、コインベースなどが挙げられ、米国拠点の企業のビットコイン保有量は非米国拠点企業より65%多いとも報告されています。今後トランプ氏による政策的なビットコイン後押しが進めば、企業による保有量の増加、つまり需要拡大を通じて価格上昇のシナリオが考えられます。米国企業によるビットコイン購入・保有に関するニュースはさらに注目です。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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