2025/10/14
暗号資産週間レポート(2025.10.5~2025.10.11)
史上最大規模の清算と米中摩擦の影響:ビットコイン最高値後に急落した一週間
【10/5~10/11週のサマリー】
・ビットコインがドル建てと円建て両方で史上最高値を更新
・トランプ大統領、中国に対して100%の追加関税を11月1日から課すと発言
・暗号資産市場で過去最大規模の約190億ドル(2.8兆円)以上が強制清算
・海外取引所バイナンスで時価総額3位のUSDeが0.65ドルまでデペッグ
【暗号資産市場概況】
10/5~10/11週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲5.73%の16,990,350円、ETH/JPYの週足終値は同▲13.48%の572,305円であった(※終値は10/11の当社現物EOD[10/12 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、ビットコインがドル建て・円建ての双方で史上最高値を更新したものの、トランプ大統領が中国に対して「11月1日から100%の関税を課す」と発言したことを受け、米中間の貿易摩擦が再燃。これを背景に、過去最大規模となる強制清算が発生した週となった。
米国政府のシャットダウンが継続するなか、主要経済指標の公表は延期されており、各金融機関は各地区連銀が発表する統計データをもとに経済動向を推定している。明確な経済データが乏しい状況下では、トランプ大統領の発言が相場変動の主要因となった。
木曜日には中国がレアアース(希土類)の輸出制限を発表し、APEC首脳会議(以下、APEC)を前に米国および西側諸国への牽制姿勢を鮮明にした。これに対しトランプ大統領は「中国の発表は国際貿易に対する敵対的な行為」と非難し、APECでの習近平国家主席との会談を拒否する意向を表明。これを受けてビットコインは12万ドルを割り込み、株式市場でも売りが広がり、米10年債利回りは4.10%を下回った。
金曜日の米国市場クローズ後、トランプ大統領は改めて「11月1日から中国製品に100%の関税を課す」と発言。これを背景に暗号資産は急落し、約191億ドル以上に達する史上最大規模の強制清算が発生した。これは、過去のFTX破綻時(16億ドル)やコロナ・ショック時(12億ドル)を大幅に上回る規模である。ビットコインはトランプ大統領の発言で最大11.8%下落した10万7,000ドル、イーサリアムは18.9%安い3,510ドルまで下落したが、その後はそれぞれ11万3,900ドル、3,960ドル付近まで急反発するなど、極めて高いボラティリティを示した。
その結果、市場では突発的な流動性不足が生じ、時価総額で世界第3位のステーブルコインであるUSDeは、海外取引所バイナンスにおいて1USDTあたり0.65USDeまで下落(約35%のデペッグ)した。証拠金として使用されるステーブルコインの価値下落により、評価担保が35%減少し、清算されたユーザーに対してバイナンスは総額2億8,300万ドルの補償を行うと発表した。また、同取引所では一時的に$ATOMの価格が0.01ドルまで下落する技術的障害も確認された。
今回の強制清算では約160万人超のトレーダーがロスカットされ、そのうち約70億ドルがわずか1時間以内に清算された。引き金となったのは米中間の貿易摩擦であるが、過剰なレバレッジが清算の連鎖を拡大させた。今回の事象は「ブラックスワン(市場が想定し得なかった衝撃的事象)」を再認識させる出来事となった。
今週は米国政府のシャットダウンが解消されない限り、引き続き要人発言が市場を左右する展開が想定される。パウエルFRB議長の発言も予定されており、今後の経済見通しや金融政策方針に関するコメント次第では、円建て資産にも影響が波及する可能性がある。急落後の通常流動性を回復するまでの間は、徹底したリスク管理が求められる局面が続くだろう。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[2021年から現在までの暗号資産の強制清算チャート]

(緑バーがショートポジション清算額 / 緑バーがロングポジション精算額/ 橙線がビットコイン価格)
(Coinglass提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【10/5~10/11週の主な出来事】

【10/12~10/19週の主な予定】

【今週のひとこと】BNBの価格上昇
BNB(バイナンスコイン)は、直近3か月で一時90%以上も上昇し1,376ドルの史上最高値をつけ、ステーブルコインを除いた暗号資産時価総額でXRPを追い抜いて第3位の座を固めつつあります。 今回の上昇はBNBの需要の高まりに加え、BNB特有の仕組みによりさらに上昇を後押したものと考えられます。
6月以降、ミームコイン取引の急増などによりBNBチェーン上でのトランザクション数は第一四半期比で4倍超に達しており、分散型取引所(DEX)上での新規トークン発行も目立って増加しています。最近話題になったASTER(アスター)もその一つです。また、BNBには四半期ごとに固定比率でバーン(焼却)する仕組みによる減少に加え、手数料の一部を自動でバーンする仕組みがあるため、利用が増えるほど流通量が絞られる構造的優位があります。これが供給を引き締め、価格を押し上げる作用を果たしたとみられます。
その他要因として、米ナスダック上場会社CEA Industries が 480,000 BNB を取得したことも、注目を集める材料となりました。CEA Industriesは今年度末までにBNBの総供給量の1%を保有することを目標としており、継続的な購入が行われると思われます。
こうした状況を踏まえれば、BNBは単なる投機的対象ではなく、チェーンの稼働実績や需給構造の変化 というファンダメンタルズに支えられて上昇していることがわかります。先週、PayPay株式会社がBinanceの日本法人であるBinance Japanの株式を40%取得し戦略的パートナーとなったことが報じられております。連携後の第一歩として、「Binance JapanアプリにおけるPayPayマネーでの暗号資産購入の導入」と「暗号資産売却時の出金先としてPayPayマネーを選択できる仕組みの構築」を検討しているとのことで、今後日本でもBNBがさらに注目されていくかもしれません。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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