2022/02/01
ビットコインはレンジ推移も、下方向の警戒感は高まりを見せる
先週、暗号資産の価格は総じて横ばいとなった。1月24日朝方のFOMCでパウエルFRB議長は毎回の会合での利上げを否定せず、マーケットにはタカ派と捉えられたが、暗号資産市場の値動きが限定的だったことは、FRBの一定のタカ派シフトは織り込み済みだったことを示唆している。ビットコインはFOMC前と週末に39,000ドルの手前まで上昇したものの、2回とも上抜けに失敗し、出来高が減少するなかレンジ推移となった。イーサリアムも同様で、今のところ2,700ドルがレジスタンスとなっている。B2C2で取引しているコインの内、LUNA(ルナ)だけが先週の水曜日から安値を更新し、一時43ドル台半ばまで下落している。B2C2のフローデータによると、海外取引所が最大の買い手であり、売り手は主に富裕層であった。地域別では米国圏は売り買い交錯する一方、アジア圏、欧州・中東圏は買いに偏りがある。コイン別ではポルカドットに強い売りが見られ、XRP(エックスアールピー)、MATIC(ポリゴン)、XLM(ステラルーメン)、XTZ(テゾス)、UNI(ユニスワップ)では買いが多くなっている。
取引所の先物市場から観測されるビットコイン対米ドルのベーシスは非常に安定しており、流動性の高い取引所では年率換算で1ヶ月物が2.5~3.5%、3ヶ月物が5.0~6.0%となっている。OTCレンディング市場で米ドルの需給には大きな変化は見られないが、ビットコインの借り入れ需要が増加している。これはOTCレンディング市場のベーシスよりも取引所の先物市場のベーシスが低いためであり、2つの市場の間で裁定取引が活発化していることを示唆している。
オプション市場ではFOMCまでは過度なタカ派シフトを警戒しボラティリティは底堅く推移したが、イベントを通過した後は72%から65%まで下落。リスクリバーサル(上方向のストライクのボラティリティと下方向のストライクのボラティリティの差分。下方向と上方向のどちらのストライクの需要が強いか示す指標)はFOMC後も下方向の警戒感が持続し、むしろ下方向に更にスキューした。3月末期日のオプションの25デルタリスクリバーサルは足元6~7%のビットコインプットオーバー(下方向のオプションのボラティリティが高いこと)となっており、これは昨年5~6月にビットコインが60,000ドルから30,000ドルまで下落し、深刻なリスクオフに苦しんだ以来の水準となっている。
今週は米雇用統計の発表があり、市場予想のコアレンジは非農業部門雇用者数が15.0万人増~20.0万人増だが、1月がオミクロン変異株の影響を受けているためバラつきが大きく、一部のアナリストは大幅な減少を予想している。FRBは労働市場の基盤は非常に強いと見ていることが前回のFOMCで示唆されたが、1月の数字は今後の利上げのシナリオを考える上で重要となるため注目している。また、BOEは利上げ、ECBは利上げ見送りを予想しているが、ECBはインフレが既にピークに達していると予想していると思われるため、水曜日のユーロ圏消費者物価指数は、ユーロ圏のインフレリスクを示す指標として注意が必要だろう。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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