Market Report

マーケット情報・チャート

2022/10/06

マクロ環境が悪化する中、暗号資産市場は落ち着いた動き

先週のハイライト
  • マクロ経済見通しが悪化している中、暗号資産市場は狭いレンジで終始
  • 短期的にみると、暗号資産は他のリスクアセットをアウトパフォーム
  • フローデータは時価総額の大きいコインを中心に買い越し
  • 先物ベーシスは大きな変化なく、ボラティリティは低下

  • 先週の動き
    暗号資産スポットはマクロ見通しが悲観的となっている中、暗号資産は他のアセットに対して相対的に強い動きであったと言える。世界的に英ポンドと英国債の動きに注目が集まっていたなか、BTCは火曜日に20,380ドル近辺の週間高値圏まで上昇。ETHも同様に1,400ドル近辺まで上昇したが、その後は双方ともそれまでのレンジに戻されることとなった。レンジは非常に狭くなっており(BTCは18,480ドル~20,380ドル、ETHは1,253ドル~1,400ドル)、これはプーチン大統領の発言や英国の財政悪化懸念、クレディスイスのバランスシート悪化などを受けてマクロ環境が悪化している中で、暗号資産は比較的堅調であったことを示している。

    フローデータをみると、多くのコインで買い越しの状況となっている。BTCとETHはともに53%:47%で買い優勢となっており、SOL、AVAX、EOSは強い買いとなった。他方、XRPは上昇による利食い売りもあって売り越し。顧客別でみると、リテール業者やファンド系が強い買い手となっており、銀行系は売り手となった。地域別でみると、全地域で買い越しとなっている。

    暗号資産先物市場では極めて値動きの小さい状態が続いており、BTCの3ヶ月物対ドルベーシスは年率1.0%から1.5%にわずかに上昇。ETHの対ドルベーシスはやや上下動があったものの、総じて1.0%~1.5%のディスカウントで推移している。

    暗号資産オプション市場ではETHの長期物が売られたことでボラティリティカーブがフラット化してきている。リスクアセットが売られている環境下で長期物のオプションが売られることがレアケースなのに加え、足元のスポットの値動きが小さいなかで短期物より長期物に売りが集中することも珍しい状況と言える。一方、ETHの長期物のリスクリバーサルは10%~15%の下高・上安の状態になっているが、これは下サイドの買いが出たというよりは、前述のオプション売りフローが上サイドの売りとして出ていると考えるのが適切であろう。

    今後の展望
    今週は金曜日の米雇用統計までは新規材料が乏しい状況となっているが、マクロトレーダーは英国の減税政策の動向や、クレディスイスのバランスシート悪化懸念、ロシアのウクライナ侵攻の戦況に注目している。

    トレーダーは時価総額の大きいコインを中心に底堅い動きとなっていたことから、暗号資産が他の金融資産との相関性が外れるサインを見極めようとしている。先週の英国で見られたように、インフレを加速させるような減税政策と、中央銀行のインフレ抑制のための利上げが衝突するようなことになると、インフレヘッジとなる暗号資産のような特定の資産の価格が突然値上がりする可能性もある。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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