2022/05/31
一時的反発か上昇の始まりか?
先週のハイライト先週の動き
先週の暗号資産は全体的に下落したが、その変動幅が著しく縮小してきている事がテーマになりつつある。イーサリアムは、ビットコインを大きくアンダーパフォームし、ビットコインの下落幅よりも2倍程の下落。1,700ドルからの反発は見られてきているものの、足元を固めるまでにはいたっていない。暗号資産市場は、ビットコインを”Safe Heaven (安全逃避資産) ”として扱い、そのためビットコインは相対的に他の暗号資産よりも堅調に推移している。
売買動向を見ると、ビットコインは他の取引量の多い暗号資産と比較しても、買い手が56.5%と堅調さを見せている。XLM(ステラルーメン)とXTZ(テゾス)において買いが優勢で、DOT(ポルカドット)、AVX(アバランチ)、BCH(ビットコインキャッシュ)では売りが優勢であった。また、BNB(バイナンスコイン)の買いが、過去一週間で78.2%と際立っていた。その他の暗号資産については、比較的バランスが取れていたことが見受けられる。地域別に見ると、欧州・中東圏と米国圏の売買動向が均衡していた一方、アジア圏においては強い買いが見られた。顧客カテゴリー別では、ファンド勢の買いが突出している一方、銀行勢は売り越しになっていた。
暗号資産先物市場は、スポット市場の不安定さを全くと言っていいほど反映しておらず、かなり安定的に推移している。ビットコイン1ヶ月物は主要取引所において1.4%~2.3%程度と先週と変わらず横ばいの動き、3ヶ月物は0.5%程度の僅かな低下に留まり、2.6%~3%で取引されている。イーサリアム先物も同様に、1ヶ月物で1.5%~2.5%、3ヶ月物で2.6%~3.2%と安定した動きを見せている。
オプション市場においては、ビットコインとイーサリアムの弱さの違いが顕著に現れており、期近物のビットコインのボラティリティが下落する一方、スポット市場で不安定さを見せるイーサリアムのボラティリティは上昇してきている。ビットコイン1週間物と1ヶ月物のボラティリティはそれぞれ4%程低下し66%と69%となっているが、イーサリアムの1週間物と1ヶ月物のボラティリティはそれぞれ9%程上昇している。最近のイーサリアムの値動きを背景に、短期的にプットサイド(下方向のストライク)の需要が強まり、1ヶ月物リスクリバーサルは11%から17%へと上昇した。一方、ビットコインのリスクリバーサルは19%から20%へ上昇する程度で留まっており、市場はビットコインよりもイーサリアムのへの警戒感を抱いていることが伺える。
今後の展望
今週は、月末・月初週であり、6/3(金)には重要指標である米雇用統計を控えている。5/31(火)には、バイデン大統領とパウエル議長が、米経済や世界経済の状況についての会合、またブラックアウト期間前の週ということもあり、週を通してFRB高官の発言にも注目が集まる。中国上海市が大規模な景気支援策を発表し、全面的な経済活動の再開などの措置を表明し、アジア株が続伸。ダウ平均も6日続伸し週間で1951ドル高と9週ぶりの上昇をみせ、株式市場もリスク選好に傾き始めており、暗号資産市場もそれに続く可能性があるかもしれない。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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