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2023/08/01

半減期を控え、盛り上がりを見せるライトコイン(LTC)



・ライトコイン(LTC)とは
LTCは、元Googleのエンジニアであるチャーリー・リー氏が2011年10月に発案した。ビットコイン(BTC)が抱える発行数量上限と取引承認時間の問題を解決することを目的に「BTCよりも発行数量が多く(BTCの4倍である8,400万枚)、BTCよりも承認速度が早い(BTCの4分の1である約2.5分)」暗号資産として開発された。

2023年7月末現在の時価総額は11位であり(*1)、ビットコインに次ぐ長い歴史を持つ銘柄でありながら、ネットワークの稼働を続け、現在でも暗号資産市場における主要アセットの1つであると言える。

図表1:当社取扱20銘柄の時価総額(*1)と稼働日

銘柄 時価総額 時価総額ランキング 稼働年
ビットコイン(BTC) 80兆9,625億円 1位 2009年
イーサリアム(ETH) 32兆415億円 2位 2015年
エックスアールピー(XRP) 5兆2,904億円 5位 2012年
ドージコイン(DOGE) 1兆5,564億円 7位 2013年
カルダノ(ADA) 1兆5,325億円 8位 2017年
ソラナ(SOL) 1兆3,732億円 10位 2020年
ライトコイン(LTC) 9,665億円 11位 2011年
ポリゴン(MATIC) 9,143億円 12位 2019年
ポルカドット(DOT) 8,814億円 13位 2020年
シバイヌ(SHIB) 7,068億円 14位 2020年
ビットコインキャッシュ(BCH) 6,855億円 15位 2017年
ダイ(DAI) 6,524億円 17位 2017年
アバランチ(AVAX) 6,322億円 18位 2020年
ステラルーメン(XLM) 5,853億円 19位 2014年
チェーンリンク(LINK) 5,793億円 21位 2017年
コスモス(ATOM) 4,384億円 25位 2017年
エックスディーシー(XDC) 1,180億円 47位 2018年
テゾス(XTZ) 1,112億円 54位 2017年
フレア(FLR) 434億円 103位 2022年
オアシス(OAS) 65億円 382位 2022年

(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
※時価総額は2023年8月1日現在の値を元に算出しています
※稼働開始年については正確を期すよう慎重に制作いたしましたが、内容に誤りがないことを保証するものではありません。


・LTCの半減期
LTCの半減期は、BTC同様、4年に1度の周期となっており、2023年8月3日頃に予定されている(*2)。半減期とは、マイニングによって得られる報酬が半減するタイミングのことで、半減期が到来するとLTCが新たに発行される数量が理論上半減するため、供給量の減少が価格上昇に繋がるとの期待から、投資家の買いが集まる傾向がある。

LTCは2011年に発行されたため、2015年に最初の半減期、4年後の2019年に2度目の半減期を迎え、今回が3度目の半減期となる。実際に過去2回の半減期(1回目は2015年8月25日、2回目は2019年8月5日)では、半減期前に価格が上昇しており、1回目の半減期前は安値から約1,183%、2回目の半減期前は安値から約390%上昇している。今年についても、先述の要因を交えながらではあるものの、年内安値から約74%の上昇を見せた。


図表2:2014年以降のLTC価格チャート ※白線は半減期


(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


・LTCをめぐるその他のトピック
2023年には、半減期以外にも様々なトピックをめぐりLTCは大きな盛り上がりを見せた。そのうち主要なものを以下に取り上げる。

■PayPalによる保有
米決済大手ペイパル(PayPal)が、2021年Q4期に顧客が利用するための資産として総額6億400万ドルの暗号資産を保有していたことが2月13日に報道された(*3)。その内訳はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)であり、LTCはPayPalが重要視している銘柄であると受け止められた。

■SECとPoW
6月5日、米証券取引委員会(SEC)は、海外暗号資産取引所BinanceおよびCoinbaseを提訴する際に、カルダノ(ADA)・ポリゴン(MATIC)・ソラナ(SOL)等のプルーフオブステーク(PoS)銘柄を未登録の有価証券であると指摘した(*4)。LTCはプルーフオブワーク(PoW)銘柄であることが一因となり、同議論において証券性を指摘されることはなかった。SECから提訴を受けた銘柄群は米主要取引所から上場廃止の扱いを受けるなど、ネガティブな影響を受けた一方、LTCにとっては他銘柄対比で市場から好意的な受け止め方をされる結果となった。

■EDX Marketsの台頭
機関投資家向け暗号資産取引所EDX Marketsが、米大手金融機関であるフィデリティ等の支援を受けて6月21日に発足した(*5)。EDX Marketsは、BTC、ETH、LTC、BCHの4種類のみ暗号資産取引を提供しており、PayPalだけでなくEDX MarketsもLTCを重要視していると考えられる。EDX Markets開始日である6月21日時点から、LTCは一時約50%の上昇、BCHは一時約210%の上昇を見せており、多くの投資家が注目する出来事となった。

・LTCの展望
翌年にはBTCの半減期を控え、暗号資産市場ではBTCの「半減期相場」への注目が始まっている。今後の価格動向については過去の半減期前後の価格推移を参考にできるだろう。ここからは、それら以外の要因について考察したい。

■Code commitsの比較
暗号資産プロジェクトの活発さを測る指標の一つに「Code commits」がある。
Code commits(コードコミット回数)とは、公開GitHubレポジトリ(プログラムのソースコードやプロジェクトのファイルなどを保存・管理する場所)の更新回数を表している。
プログラムやソフトウェアの開発において、変更や追加を行った際に、変更内容を記録して保存が行われた回数が多いことは、開発が活発に行われていると解釈することができる。
以下では、Web3分析プラットフォーム「Token Terminal」のデータを用いて、LTCとBTC・ETHのCode commitsを比較する。

図表3:LTCのCode commits


(Token Terminal提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


図表4:BTCのCode commits


(Token Terminal提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


図表5:ETHのCode commits


(Token Terminal提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


上記のLTC・BTC・ETHのCode commitsの3つのチャートを比較してみると、LTCは緑線のCode commitsがBTC・ETHに比較すると少なく(チャートのスケールがそれぞれ異なるため注意されたい)、インターネット上で公開されている範囲の開発の活発さという観点では、トップ銘柄に比べて見劣りしてしまう面が否めない。今後の更なる展開を期待したい。

■アクティブアドレス数の増加
また、LTCは、下図のように半減期の約1年前から価格上昇と共にアクティブアドレス数が増加している。「アドレス」とは、銀行の口座番号のように暗号資産を保管するウォレットに紐づく文字列である。半減期前に急速にアクティブアドレスが増える様子は、半減期を期待して、LTCネットワークを利用するウォレットの数が増加していることを表す。

半減期間近もしくは半減期を迎えてしまうとアクティブアドレス数は減少してしまうものの、長い目で見れば増加傾向であることが読み取れ(=参加者が増加傾向にあると推定され)、LTCの将来性には期待できるだろう。

図表6:LTCのアクティブアドレス数(7日間移動平均)


(Glassnode提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


*1)https://coinmarketcap.com/ja/
*2)https://www.oklink.com/halving
*3)https://www.neweconomy.jp/posts/295946
*4)https://coinpost.jp/?p=465501
*5)https://www.neweconomy.jp/posts/320914

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