2026/06/01

暗号資産週間レポート(2026.5.24~2026.5.30)
米イラン軍事衝突でBTC急落・一時72,000ドル台へ——停戦期待の反発も週足は軟調


【5/24~5/30週のサマリー】

・米イラン間の和平合意期待が高まるなか、両国間で攻撃の応酬が発生するなど中東情勢の緊張再燃を示す軍事関連報道が相次ぎ、外交的解決シナリオが後退
・米イランの60日間停戦延長に関する暫定合意を巡りトランプ大統領最終判断を下す意向を示唆
・財務省 4/28-5/27の期間で11.7兆円規模の為替介入を実施したと発表


【暗号資産市場概況】

 5/24~5/30週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲3.72%の11,767,450円、ETH/JPYの週足終値は同▲4.21%の322,670円であった(※終値は5/30の当社現物EOD[5/31 6:59:59]レートMid値)。

 先週の暗号資産市場は、先々週末からの米イラン間の和平合意期待を背景に底堅く推移したものの、その後の軍事衝突の継続や交渉の不透明感の高まりを受けてリスクオフが強まり下落した。
 週後半には60日間の停戦延長に向けた暫定合意が報じられる中で、トランプ大統領が最終判断を下す方針を示したことを受け、不確実性の後退が意識され反発する場面も見られたが、週を通しては軟調な推移となった。


 週初、トランプ大統領による「米イラン合意は近い」との発言を背景に、中東地域の緊張緩和やホルムズ海峡の安定化への期待が高まり、市場ではリスク選好姿勢が強まった。こうした流れを受け、週前半のビットコインは高値圏で底堅く推移した。一方で25日には、トランプ大統領が「合意は完全には交渉されていない」と発言したことで、交渉の不確実性も改めて意識された。
 また、イラン側がウラン濃縮に関して「前例のない譲歩」を行ったとの報道もあり、市場では交渉継続および最終合意への期待が維持されたものの、核問題を巡る懸念もくすぶる展開となった。その結果、一部アルトコインが上昇する中で、ビットコインは一時76,000ドル付近まで下押しする場面を挟みながらも底堅さを維持した。

 26日深夜にはビットコインが一時78,000ドルまで上昇し、週内高値を記録した。これは、先々週末から積み上がっていたショートポジションが、米国市場開始後の買いをきっかけに一斉に清算(ショートスクイーズ)された影響が大きかったと考えられる。
 しかし、その後は継続的な買いが続かず、米イラン間の軍事衝突継続や交渉難航への警戒感が再び強まったことで、和平期待の後退とともに相場は反落に転じた。加えて、米国株式市場ではAI関連銘柄(Micronなど)への資金流入が目立つ一方、暗号資産市場への資金流入は鈍化した可能性があり、同日のスポットBTC ETFから約3億3,400万ドルの純流出が観測されたことも相場の重石となった。

 さらに27日から28日にかけては、米軍がホルムズ海峡周辺でイランのドローン発射拠点を攻撃したことを受け、イランがクウェートの米軍基地を標的に報復攻撃を実施し、両国間で攻撃の応酬が発生するなど、中東情勢の緊張再燃を示す軍事関連報道が相次ぎ、米イラン関係を巡る不透明感が一段と強まった。これを受け、市場で織り込まれていた外交的解決シナリオが大きく後退し、ビットコインは72,000ドル台まで急落した。Coinglassのデータによると、この局面ではわずか1時間で約1億6,400万ドルのロングポジション清算が発生した。
 これまで市場では「軍事的緊張は続くものの、最終的には外交的な解決へ向かう」との見方が一定程度織り込まれていたが、一連の軍事報道や合意期待の後退によってその前提が揺らぎ、リスクオフの動きが加速したものとみられる。

 週後半の29日には、停戦交渉の難航が伝わる中で地政学リスクへの警戒感が高まり、ETFからの資金流出やデリバティブ市場でのロングポジション清算が重なったことで、投げ売りが集中するセリング・クライマックスの様相を呈した。
 ビットコインは週安値となる72,000ドル前半まで下落したものの、その後、米イラン間で60日間の停戦延長に向けた暫定合意が報じられていた中で、トランプ大統領が同日中に最終判断を下す意向を示したことを受け、不確実性の後退が意識され急反発し、一時74,000ドル台を回復する場面も見られた。


 今週は、米イラン間で協議されている60日間の停戦延長が正式合意に至るかどうか、またその期間中に核問題を巡る対話が進展するかに注目したい。
 また、経済指標面では週末に米雇用統計の発表が予定されている。
 足元のビットコイン市場は米金利動向や金融環境の変化に敏感に反応する展開が続いていることから、結果次第ではFRBの金融政策見通しを通じて相場の方向感を左右する可能性があり、地政学要因と並ぶ重要な材料となろう。



[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がETH価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



【5/24~5/30週の主な出来事】


【5/31~6/6週の主な予定】



【今週のひとこと】日本の資金決済法改正と「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」

 2026年6月1日、令和7年資金決済法改正に関する政令・内閣府令・事務ガイドラインなどの主要部分が施行・適用されます。
 金融庁は今回の改正で、電子決済手段等取引業者や暗号資産交換業者に対する国内保有命令、信託型ステーブルコインの裏付け資産の運用ルール、新たに創設された「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」の登録・利用者保護ルールなどを整備しました。

 ここでいう「電子決済手段」は、一定の要件を満たす法定通貨連動型ステーブルコインを、資金決済法上の決済・移転手段として位置づけるための枠組みです。金融庁は、国内で電子決済手段等取引業を営むには資金決済法に基づく登録が必要であると説明しており、決済・送金インフラとしてのステーブルコインの制度化が進んでいます。

 代表例として米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」が挙げられます。
 SBI VCトレードは、2025年3月にステーブルコイン取扱いにかかる「電子決済手段等取引業者」登録完了を公表し、同月中にUSDCの取扱いも開始しました。日本でも「円を暗号資産に替える」だけでなく、「規制された形で米ドル建てステーブルコインを保有・移転・決済に使う」選択肢が現実化してきたといえます。

 今後注目されるのが「RLUSD(Ripple USD)」です。
 SBI VCトレードは2025年8月、Ripple傘下のStandard Custody & Trust Companyと、米ドル建てステーブルコインRLUSDを日本で発行・流通させるための基本合意書を締結したことを発表しました。
 RLUSDは、米ドル預金、米国短期国債、その他の現金同等物などの準備資産により100%裏付けられ、第三者会計事務所による月次検証を受けています。また、発行体であるStandard CustodyはNYDFSの監督を受ける信託会社であり、月次のリザーブレポートを公表しています。

 この流れの中で、「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」の創設は重要な意味を持ちます。
 金融庁は、同仲介業について登録申請書の記載事項、利用者への明示・説明・情報提供、禁止行為、利用者保護措置、帳簿書類などを定めるとしています。これにより、銀行、保険会社、決済アプリ、ポイントサービスなど様々な事業者が、すべての売買・交換機能を自社で抱え込むのではなく、登録済みの電子決済手段等取引業者や暗号資産交換業者と連携し、利用者をつなぐ形でステーブルコイン関連サービスに関与しやすくなることが期待されます。

 今回の制度改正は単なる規制強化ではありません。むしろ、海外で流通する米ドル建てステーブルコインを日本国内でどのように安全に取り扱うか、どの事業者が利用者との接点を担うか、そして裏付け資産・説明義務・利用者保護をどう確保するかを整理する段階に入ったと捉えるのが適切です。
 今後は、どの金融機関・決済事業者・仲介業者が利用者との接点を担うのかが、国内市場拡大の焦点となっていくでしょう。




(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



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