Market Report

マーケット情報

cryptonews
8日前

「イーサリアムは次世代の金融時代を牽引するデジタル燃料」と暗号資産財務企業のCEO

thumbnail

 イーサリアムはここ数週間で主要トークンを上回る成績を収めており、イーサリアム/ビットコイン比率は0.025からほぼ0.04へと上昇し、40%以上の伸びを記録した。ステーブルコインの取引量、バリデータの活動、トークン化の試験導入がネットワーク上で加速している一方で、主要な金融機関も規制の明確化を背景に導入の可能性を探っている。

 暗号資産経済の基盤レイヤーとしてのイーサリアムの地位は、市場の変動性が続く中でも着実に固まりつつある。

 過去のサイクルに見られた投機的な急騰とは対照的に、現在の局面は法的枠組みやインフラ整備によって動かされている。米国では「ジーニアス法案」が制度基盤を整えつつあり、アジアでもステーブルコイン規制が進展している。その結果、イーサリアムは単なる取引資産ではなく、包括的なシステムとして認識され始めている。

 この見解を取り入れている企業のひとつが、リパブリック・テクノロジーズである。同社は上場企業であり、イーサリアム財務戦略を手掛ける会社だ。最高経営責任者(CEO)兼共同創業者のダニエル・リウ氏は、イーサリアムを蓄積し、バリデータネットワークや構造化された利回り戦略を通じて運用している。大規模なエネルギーファイナンスに携わった経験を持つ同氏は、イーサリアムを単なる資産ではなく「インフラ」であると捉えている。

●金融エンジンにおける「デジタル燃料」としてのイーサリアム

 エネルギーファイナンスの豊富な経験を持つリウ氏は、イーサリアムの手数料の変動と従来の電力市場を比較する。彼は、バリデータのインセンティブやガス価格を需要に応じたエネルギー曲線になぞらえており、需要がピークの時には高く、需要が下がれば安くなると説明している。

 「イーサリアムはデジタル燃料である。ちょうど石油が産業時代を支えたのと同じで、ガス代、バリデータ、あらゆるインフラシステムはそれに依存している。」

 この比喩は単なる理論ではなく、投資家や金融機関にイーサリアムの有用性を説明する上で重要な枠組みとなっている。「以前のエネルギー業界時代の上司や同僚に話すと、本当に納得してもらえる」と彼は続けた。

 リウ氏の見解では、イーサリアムはビットコインのように「デジタル・ゴールド」を目指しているわけではない。むしろステーブルコイン、トークン化プラットフォーム、DeFiプロトコルなどのアプリケーションを支える存在であり、産業を動かすエネルギーに相当するという。そうした基盤的な実用性こそが、ETHに長期的な意義を与えると主張する。

●規制の明確化がイーサリアムの機関投資段階を加速

 リウ氏は、最近の政策動向がイーサリアムの次の成長段階を切り拓いていると考えている。その中心にあるのが、ステーブルコインやデジタル資産に関する新たな明確性をもたらした米国の「ジーニアス法案」である。

 「ジーニアス法案によって規制上の障壁が取り除かれ、膨大な資本が流れ込む道が開かれた」と同氏は述べた。

 彼は現在のイーサリアムを、2017年にウォール街がビットコインを財務資産として見なし始めた時期に例える。ただし当時、多くの機関はまだ様子見をしていた。

 一方でイーサリアムはすでに実用段階にあるとリウ氏は指摘する。ステーブルコインはイーサリアム上に構築され、株式のトークン化実験も進行中であり、銀行内部の資産も発行されつつあるのだ。

 ETHとビットコインは依然として連動して動くものの、リウ氏はイーサリアムの差別化された役割が重要になり始めていると指摘する。ビットコインが受動的な保有資産にとどまる一方、イーサリアムは決済基盤、流動性ネットワーク、バリデータインフラといった積極的なシステムに統合されている。

●リパブリック・テクノロジーズ、利回り重視のETH戦略を採用

 リパブリック・テクノロジーズは「ETHを蓄積し、生産的に活用する」というシンプルな原則に基づいて事業を構築している。同社はデリバティブ戦略を通じてETHを取得し、外部パートナーが運営するバリデータネットワークに投入している。

 この手法は、ビットコインで同様の戦略をとった日本企業メタプラネットを参考にしたものだ。リウ氏は「同様の成果を期待している」と語る。

 ただし同氏は、オンチェーンの利回り獲得においてリスクの上限を設けている点を強調した。「二桁のオンチェーン利回りを追い求めてはいない」と述べ、過度なリスクを取らずに年間6〜8%のリターンを目標にしている。

 リウ氏は、イーサリアムを保有する財務企業も最終的には公開企業と同じように評価されると考えている。つまり、ETHをいかに効率的に蓄積し、バリデータからのリターンを管理し、下落リスクを抑えるかという運用実績が問われるという。

 「長期的にこれらの財務管理を評価する人々は、その指標に注目するだろう」と同氏は語った。

 リパブリックは最近、組織再編とブランド刷新を完了した。リウ氏は今後の具体的な計画について明言を避けたものの、提携や資金調達が進行中であると述べた。「投資家の資産、そして当社自身の資産を可能な限り守りたいと考えている」と付け加えた。

よくある質問

Q1.イーサリアム財務戦略は、マイクロストラテジーのような企業のビットコイン保有と何が違うのか?

A1.イーサリアム財務戦略は、ステーキングやバリデータ運営、デリバティブ取引などの積極運用を伴うことが多いのに対し、ビットコイン保有はコールドウォレットに保管するなど受動的な形態が一般的だ。

Q2. バリデータとの提携は、イーサリアム財務戦略にとって中央集権化リスクになりえるか?

A2.その可能性はある。少数の第三者バリデータが大量のステーク済みETHを支配する場合、企業財務にとってセキュリティやガバナンス上の懸念を引き起こす可能性がある。

Q3. イーサリアム財務資産の流動性は、従来型の資産と比べてどうか?

A3.イーサリアムは基本的に流動性があるが、ステーキングやデリバティブに利用されている場合、スリッページ(注文した時点の価格と実際に約定された価格の差)やプロトコル上の制約が発生する可能性がある。これは、法定通貨や短期国債のような即時換金可能な資産とは異なる。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/ethereum-is-digital-fuel-powering-the-next-financial-era-says-crypto-treasury-ceo/

This story originally appeared on cryptonews.com.

提供:ウエルスアドバイザー
お客様は、本ニュースに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、 複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。本ニュースはウエルスアドバイザー社が収集・作成等したものであり、 当社がその内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社及びウエルスアドバイザー社は一切の責任を負いません。 本ニュースに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。
マーケット情報一覧へ戻る