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139日前

中東で注目を集める4つのデジタル資産トレンド

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 デジタル資産取引は、ユーザーがますますリターンを追い求め、リスク分散を求めていることから、中東地域で徐々に定着しつつある。

 ドーハで開催された最新のネットワークフォーラム(TNF)イベントを終えて、リップル社は、中東で今起きているデジタル資産の大きなトレンドのいくつかを紹介する。

1. デジタル資産に急速に追いつく中東

 中東の不安定な市場と地政学的緊張の高まりが、この地域のユーザーを暗号資産を含む新しい資産クラスへのエクスポージャー(市場の価格変動リスクや特定のリスクにさらされている金額や残高、その比率)の構築に駆り立てている一方で、より積極的な要因も形成されつつある。

 積極的な規制当局は、特に不安定な要素が少ない湾岸協力会議(GCC)において、この地域でのデジタル資産の成長を可能にするための措置を講じている。

 Chainanalysisのデータによると、中東は世界で7番目に大きな暗号資産市場に位置しており、2023年7月から24年6月までのオンチェーン取引額は3387億ドルと推定され、世界の総取引量の7.5%を占めている。

 中東は、サハラ以南のアフリカに次いで、まだ世界で最も小さな暗号資産市場の一つであるが、世界の暗号資産指数の上位30位以内にトルコ(11位)とモロッコ(27位)の2カ国が含まれている。

 また、24年の暗号資産取引の大半は機関投資家主導で行われ、1万ドル以上の取引が93%を占めた。

 「金融機関は暗号資産を以前よりもはるかに多く導入している。

 7年ほど前、『暗号資産』、『ブロックチェーン』、『デジタル資産』という言葉が出てくると、非常に不快になる大手金融機関と話をしたことがある。

 リップル社の中東・アフリカ担当取締役であるリース・メリック氏は、次のように述べている。

 ブラックロックのような世界有数の金融機関が暗号資産を導入していることから、メリック氏は中東での機関投資家の導入がさらに進むと予想している。

 また、エンドユーザーによる暗号資産購入もこの地域で拡大する可能性が高い。

 これは、中東市場の多くが若い人口に恵まれており、まさにこの層が暗号資産に対して最もオープンであることが一因である。

 例えば、バンク・オブ・アメリカの調査によると、21歳から43歳の米国の富裕層の28%が暗号資産を最高の成長機会のひとつと見ているのに対し、米国株について同じことを答えたのはわずか14%だった。

 中東でも世界でも、若者が暗号資産に投資し続けることを期待したい。

2.中東ではステーブルコインが優勢に

 中東では、トルコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)を筆頭に、ステーブルコインへの意欲が加速している。

 一部の市場では、ステーブルコインは現地通貨そのものよりも安全な価値保管手段とみなされている。

 「トルコでは、ステーブルコインの購入が国内総生産(GDP)の4%以上を占めており、これは他のどの経済圏よりも多い。

 トルコの市場は落ち着きを取り戻し、インフレは抑制されつつあるが、昨年のインフレ率は67%に達し、トルコの通貨リラは米ドルに対して大幅な下落に見舞われるなど、歴史的な乱高下が続いている。

 その結果、人々は自分の資産を守るために、ステーブルコインのような代替資産クラスを探している」と同氏は述べた。

 「とはいえ、トルコの規制当局がデジタル資産をよりよく管理するために資本市場法を改正し、措置を講じたことも心強い」と語った。

 長期的には、専門家は、ステーブルコインのような資産は、中東やそれ以外の地域での決済効率の向上に役立つと考えている。

 「GCC市場では、多くの通貨が米ドルと1対1で固定されている。

 取引のスピードを上げるため、地域によっては、現地通貨または米ドルに連動するステーブルコインを採用する可能性がある。

 これにより、現金や証券の移動が加速され、市場は約定日から翌日や2日後から即時決済に移行できるようになる」とメリック氏は続けた。

3.UAEはデジタル資産規制の先頭を切る

 暗号資産規制の導入が遅れている主要市場がある一方で、中東、特にUAEは先行している。

 「UAEは他のどの地域市場よりも暗号資産規制の導入が進んでいるのは確かだ」とメリック氏は言う。

 例えばドバイは、管轄区域内の暗号資産に関連するすべての活動を監督する責任を負う規制機関、仮想資産規制庁(VARA)を設立した。

 この制度の下、暗号資産カストディアンを含む仮想資産サービスプロバイダー(VASP)はVARAのライセンスを受け、自己資本比率、反マネーロンダリング(AML)、テロ資金対策、ガバナンス、顧客適正評価に関する基本的な要件を満たさなければならない。

 さらに最近、ドバイ金融サービス局(DFSA)は、ドバイ国際金融センター(DIFC)内の暗号資産トークン制度を更新し、この分野で活動するファンドやカストディアンにより明確性を与えた。

 隣国のアブダビ・グローバル・マーケットでは、取引やカストディを含め、デジタル資産を含む金融サービス活動には規制当局のライセンスが必要である。

 最近では、UAEの中央銀行が暗号資産規制を更新し、企業がディルハムに連動されたステーブルコインを商品やサービスに利用できるようになった。

 この地域の他の市場もUAEに追いつきつつある。

 カタール金融センター(QFC)は24年10月に独自のデジタル資産規制の枠組みを発表し、特にトークン化の概念を認め、トークンサービスプロバイダーの役割を強調している。

 このような市場特有の枠組みは、地域全体にドミノ効果をもたらし、独自のデジタル資産規制を導入する国が増える可能性が高い。

 中東で暗号資産規制の枠組みを設ける市場が増えれば、金融機関はますますこの資産区分になじむようになるだろう。

4. デジタル資産のサービスプロバイダーが攻勢を強化

 機関投資家の顧客が暗号資産に手を出し始めると、グローバル・カストディアン・バンクのような既存のプロバイダーは適応しなければならなくなる。

 TNFの世論調査において、63%の組織がデジタル資産(および分散型台帳技術『DLT』)に関わる実際のプロジェクトが進行中であり、さらに26%が概念実証(POC)の開発段階にあると回答した。

 例えば、多くのプロバイダーが自社で暗号資産カストディソリューションを開発したり、外部の暗号資産カストディアンやフィンテック企業の株式を取得したりしている。

 メリック氏は、「業界はここで多くの進歩を遂げており、これは中央銀行と規制当局が同様にこの地域で行っている優れた作業を反映している」と指摘した。

 多くの従来型銀行にとって、デジタルカストディ領域への進出は課題がないわけではない。

 従来型の銀行は、デジタル資産のカストディプラットフォームを立ち上げたいと考えているが、必ずしも既存の旧式のテクノロジーシステムを取り壊して置き換えることは望んでいない。

 そこで登場するのが、インフラテクノロジー・プロバイダーとの戦略的パートナーシップだ。

 デジタル資産技術基盤を社内で構築する銀行もあるが、リップル社のような外部プロバイダーの専門知識を活用する銀行もある。

 リップルのカストディは、デジタル資産のカストディとトークン化のインフラストラクチャーの機関標準であり、デジタル資産のカストディ・プラットフォームを構築するために世界最大級のグローバル・カストディアンによって使用されている。

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(イメージ写真提供:123RF)

https://ripple.com/insights/4-digital-asset-trends-making-waves-in-the-middle-east/

This story originally appeared on Ripple Insights.

提供:ウエルスアドバイザー
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