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28日前

暗号資産取引所のジェミニ、投資家の強い需要受けIPOによる資金調達目標を4億3300万ドルに引き上げ

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 暗号資産取引所を運営するジェミニ・スペース・ステーションは、IPO(新規上場)の目標額を4億3330万ドルに引き上げた。投資家需要が想定を上回り、株価レンジを当初の17-19ドルから24-26ドルへと引き上げたためだ。ブルームバーグによると、上限での評価額は31億ドルに達する。

 ナスダックはIPO価格で5000万ドルを引き受けることを表明しており、これはIPOの成立を条件とする。投資は信頼性を高めると同時に、ジェミニのカストディーやステーキング事業をナスダックの顧客基盤に広げるための提携関係構築につながる。

●控えめな創業からウォール街の寵児へ

 同社は株価上昇にもかかわらず発行株数1670万株を維持する。主幹事はゴールドマン・サックスとシティグループ。ティッカーシンボルは「GEMI」でナスダック・グローバル・セレクト市場に上場する見通しだ。

 IPOによる株式の20%は、長期ユーザーや経営陣、従業員、小口投資家に割り当てられ、取引はロビンフッドやソーファイ、ウィブルを通じて行われる。この戦略により、機関投資家に偏らない幅広い所有構造を目指す。

 2014年にウィンクルボス兄弟が創業したジェミニは現在180億ドル超の資産を管理し、暗号資産取引、米ドル連動ステーブルコイン、資産カストディー、ステーキング、暗号資産報酬型クレジットカードなどを提供する。今回のIPOは、12億ドルの評価額で6月に上場し5億8300万ドルを調達したサークル・インターネット・グループ(CRCL)の成功に続くもの。サークル株は初の四半期決算が好調だったことから、時間外取引で11%上昇している。

●市場需要強まるも赤字続く

 ジェミニは6月末までの半年間で6860万ドルの売上に対し、2825万ドルの純損失を計上した。前年同期は7430万ドルの売上に対し4140百万ドルの損失だった。収益悪化にもかかわらず、IPO需要は堅調に推移している。

 同社はコインベースやバイナンスといった大手暗号資産取引所や、暗号資産分野に参入する金融機関と競合しているが、厳格なセキュリティと規制当局との提携を前面に出し、機関投資家向けに親和的な取引所としての地位を築いている。

 収益源は取引手数料、カストディー、ステーブルコイン事業、ステーキング手数料などだが、市況に大きく左右される。欧州展開に伴う規制対応や基盤整備などで費用は売上を上回り続けている。クレジットカードやステーブルコイン関連の収益はまだ限定的で、中核である取引事業が主力である。

●ナスダック提携で機関投資家の門戸開く

 ナスダックの出資は資本参加にとどまらず、戦略的提携の性格を持つ。ジェミニはナスダックの顧客にカストディーとステーキングを非独占的に提供し、機関グレードのセキュリティ(コールドストレージや管理体制)を共有する。これにより、伝統金融機関は既存関係を通じて暗号資産サービスにアクセス可能となる。逆に、ジェミニの顧客もナスダックの担保管理プラットフォーム「Calypso」を利用できる。

 欧州では「ジェミニ Perpetuals」を立ち上げ、MiFID2(第2次金融商品市場指令)の認可の下で最大100倍のレバレッジを提供する。現物資産やステーキング報酬を担保に組み入れるクロス担保機能を備え、機関投資家が複雑な戦略を効率的に運用できる統合プラットフォームを志向する。

 米国の株式市場が再びIPO活況を取り戻す中で、ジェミニの上場は21年のコインベース以来の注目案件となる可能性がある。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/gemini-raises-ipo-target-to-433m-at-3-1b-valuation-after-strong-investor-demand/

This story originally appeared on cryptonews.com.

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