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55日前

米国の暗号資産支配、欧州の経済的主権の脅威に:EU当局者

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 欧州の主要な政策立案者によると、トランプ政権による暗号資産(仮想通貨)への支援強化は、欧州の通貨的自立を損なわせ、デジタル・ユーロへの議論を強める可能性がある。

 ESM(欧州安定メカニズム)のピエール・グラメーニャ事務局長は、ブリュッセルで10日に行われた記者会見で、「米国の政権は暗号資産、特にドル建てのステーブルコインに好意的であり、欧州で一定の懸念が生じる可能性がある」と述べた。

 米国の政策転換は劇的だ。ドナルド・トランプ大統領は7日、ビットコイン準備金設立の大統領令に署名した。同氏は他の暗号資産の備蓄も承認している。これらの準備金には、法的手続きを通じて押収したデジタル資産も含まれる。この動きは、米国の金融戦略に暗号資産を統合する体系的なアプローチを示唆している。

●ECBがビットコインから距離を置く中、デジタル・ユーロが支持集める

 一方、ECB(欧州中央銀行)は引き続き慎重だ。米国とは異なり、ECBは通貨準備金にビットコインを加えることを明確に否定している。その代わり、ECBは21年からデジタル・ユーロを開発しており、導入の最終判断は25年に行われる見込みだ。しかし、デジタル・ユーロは28年か29年まで発行されないと予想されている。

 デジタル・ユーロは、現金を補完して民間や海外のデジタル決済ソリューションへの過度の依存を防ぐよう設計された、中央銀行が裏付ける安全なデジタル通貨として構想されている。

 ECBは、ユーロを欧州の金融システムの中心に留め、通貨主権を保護しつつ、政府が裏付ける安定した暗号資産とステーブルコインの代替物を国民と企業に提供する狙いだ。さらに、デジタル・ユーロは、ユーロ圏の金融包摂を向上させ取引コストを削減する。

●ESM、欧州経済を保護するため速やかなデジタル・ユーロ発行を求める

 グラメーニャ氏は、デジタル通貨に対する米国の姿勢の変化は、海外や米国のハイテク企業による、ドルに裏付けられたステーブルコインを使った大規模な決済ソリューションの発行活動を再燃させる可能性があると警告した。「これが成功した場合、ユーロ圏の通貨主権と金融安定性に影響を及ぼす可能性がある」と同氏は警告した。

 このリスクに対処するため、ESMはデジタル・ユーロ発行を加速させるECBの取り組みを支援している。デジタル・ユーロの実現を確保することは、欧州の戦略的自立を守るために必要不可欠だ、とグラメーニャ氏は述べた。「デジタル・ユーロは現在、かつてないほど必要になっている」と同氏は語った。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/us-crypto-push-risks-undermining-europe-economic-sovereignty/

This story originally appeared on cryptonews.com.

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