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23日前

カナダ警察、暗号資産取引所「TradeOgre」から過去最高額となる4000万ドルを押収

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 ユーロポール(欧州刑事警察機構)の情報提供をきっかけに開始されたRCMP(カナダ連邦警察)の1年間にわたる捜査の結果、5600万カナダドル(約4000万ドル)が押収され、未登録の暗号資産取引所TradeOgreが閉鎖された。当局は、同取引所がFINTRAC(カナダ金融取引・報告分析センター)の規制チェックを回避することで犯罪資金の洗浄を行っていたと主張している。

 カナダ当局は同国史上最大となる暗号資産の押収を確認した。無名の暗号資産取引所TradeOgreから、5600万カナダドル(約4000万ドル)相当の資産を押収したのである。

 この作戦を実施したのはカナダ連邦警察(RCMP)で、同取引所を完全に閉鎖した。これは、カナダの法執行機関が暗号資産取引所を閉鎖した初めての事例となる。

●TradeOgreの閉鎖、世界的な取り締まり強化の中でカナダ初の取引所摘発事例に

 この押収は、2024年6月にユーロポールがRCMPの資金洗浄対策部門に情報提供したことを受けて開始された1年間にわたる捜査の成果である。

 RCMPは金融犯罪対策部門やサイバー犯罪対策チーム、ブロックチェーン分析企業アークハム・インテリジェンスと協力し、同取引所で行われていた不正資金の流れを追跡した。当局によれば、この取引所は犯罪組織による資金洗浄に利用されていたという。

 RCMPの声明によると、TradeOgreは暗号資産サービス事業者としてFINTRACへの登録を怠ったほか、顧客確認(KYC)手続きを実施していなかった点でカナダの規制に違反していた。

 捜査当局は、同取引所を経由した資金の大半が犯罪由来のものであると判断しており、このプラットフォームが匿名性を主要な特徴としていたことを指摘している。

 2018年に設立されたTradeOgreは、モネロ(XMR)などのプライバシー重視型暗号資産や新興アルトコインの取引で評判を築き、最小限の規制と匿名性を求めるユーザー層を獲得していた。

 簡素化されたインターフェースとKYC要件の欠如が、この取引所を特定のトレーダー層に人気とする一方で、法執行機関の注目も集める要因となった。

 7月に入り、同取引所のウェブサイトがダウンし、X(旧ツイッター)アカウントが停止。レディットでは不満を募らせたユーザーたちの間で出口詐欺の被害に遭ったのではないか、との憶測が広がった。

 同時に、ブロックチェーン監視関係者は、TradeOgreに関連する資金がビットコイン取引に埋め込まれたメッセージ付きのウォレットへ転送されていることに気づいた。

 あるメッセージには「RCMPが管理する暗号資産」と記されており、当局が介入した可能性が示唆された。

 RCMPは8月14日、この暗号化されたメッセージが本物であり、今回の作戦の一環であったことを確認した。「これはカナダ史上最大の暗号資産押収事例である」と同機関は述べ、この押収が同国初の取引所閉鎖事例でもあることを付け加えた。

 当局によれば、TradeOgreから回収したデータは今後分析される予定で、刑事訴追が行われる見込みだという。

 捜査に協力したアークハム・インテリジェンスの報告によると、ここ数日で取引所のウォレットから4000万ドル相当以上の暗号資産が移動しており、RCMPが現在その所有権を主張している。

 TradeOgreに対して行ったコメント要請には返答がなかった。同取引所の最後の公開活動は2025年5月に遡り、閉鎖の数カ月前の出来事である。

●カナダと米国、暗号資産犯罪に対する共同取り締まりを強化

 カナダと米国の当局は、一連の過去最高額の押収事例と共同作戦を受け、暗号資産犯罪との戦いを強化している。

 8月15日、詐欺や資金洗浄に関連する暗号資産3億ドル以上が、2つの並行した取り組みによって凍結された。

 第1の取り組みでは、T3金融犯罪対策ユニットがTRM Labs、テザー社、バイナンス社、トロンと共同で、2024年9月の開始以来2億5000万ドル以上の不正資産を押収している。

 テザー社のパオロ・アルドイノCEOは、この取り組みについて「業界が共通の目標のもとに結束することで達成可能な成果だ」と述べた。

 第2の取り組みでは、カナダと米国の当局がチェイナリシス(米ブロックチェーン分析民間機関)と連携し、7400万ドル相当の資産をブロックした。オンタリオ州警察が主導する「プロジェクト・アトラス」では、14カ国にわたる詐欺関連の暗号資産ウォレット2000件以上が特定され、推定7000万ドル相当の盗難被害を未然に防いだ。

 別の取り組みである「オペレーション・アバランシュ」はイーサリアムベースの詐欺に特化し、カナダ警察と規制当局の支援を受けながら430万ドルを押収した。

 この協力関係は4月に拡大し、米国シークレットサービスがカナダ当局と共にオペレーション・アバランシュに参加。被害者に対してフィッシング詐欺の警告を発するとともに、さらなる被害の拡大を阻止した。

「私たちは今後もカナダの法執行機関や金融パートナーと連携し、盗難資産を特定・押収して被害者に返還する取り組みを継続していく」とマット・マクール特別捜査官は語った。

 6月には、米国司法省が史上最大規模となるテザー(USDT)押収を発表。OKXを経由してUSDTウォレットに集約された、世界的な「豚の屠殺」詐欺スキームに関連する2億2500万ドルの回収を進めている。

 この取り締まり強化の背景には、暗号資産詐欺による被害額の増加がある。FBI(米連邦捜査局)によると、2024年に投資家が被った損失は93億ドルに上り、前年比で66%増加している。

 当局者は、ランサムウェアが依然として米国のインフラに対する主要な脅威であると警告しており、今年これまでに5400人以上が詐欺被害の通知を受けている。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/canada-seizes-record-40m-in-crypto-from-tradeogre-exchange/

This story originally appeared on cryptonews.com.

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