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138日前

EUの暗号資産規制の逃避先としてUAEが暗号資産ベンチャーを誘致か

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 UAE(アラブ首長国連邦)は、EU(欧州連合)が新たに導入したMiCA(暗号資産市場)規制からの退避先を探している暗号資産(仮想通貨)およびステーブルコイン系ベンチャーにとっての主要な行先になる準備を整えている。

 業界専門家によると、24年12月30日に全面施行されたMiCA規制は27カ国からなるEU内の暗号資産企業に大きな課題をもたらし、その多くが移転を検討している。

 MiCA規制は、暗号資産、取引所、サービス事業者に対する欧州全体の認可・監督体制を導入するものだ。

●MiCA、ステーブルコイン発行者に対し準備金の大部分をEUの銀行で管理するよう義務付け

 この厳しい要件の中で、小規模なステーブルコイン発行者はリスクの低いEUに拠点を置く商業銀行で準備金の30%を保有しなければならず、テザー社などの大規模な事業者は同様の機関で60%以上の準備金を保有することが義務付けられる。

 これらの規則は市場の安定性を確保するためのものだが、運営費を増大させ、多くの企業の財務的な存続可能性が損なわれる可能性があると考えられている。

 暗号資産取引所ペイビスのウルディス・テラウドカルンスCRO(最高収益責任者)は、小規模な暗号資産企業や一部の大規模な暗号資産企業がEUから脱出すると予想している。

 テラウドカルンス氏はアラビアン・ビジネスに対し、「この新たな規制によって、企業はより好意的な規制体制を有する法域を探すことになるだろう」と語った。

 「暗号資産に好意的な政策と安定した規制環境によって、UAEは好ましい目的地となっている」

 UAEに加え、英国やスイスなどのEU近辺の法域も、規制状況の進展次第で暗号資産企業を引き付けると予想されている。

 暗号資産の中心地としてのUAEの積極的な位置取りと明確な政策が合わさり、グローバルな事業を維持しようとする企業にとって同国は魅力的な選択肢になっている、と専門家らは指摘した。

 ステーブルコイン発行者に対するMiCAの影響は特に大きい。この規制の要件である多額の資本準備金は、暗号資産分野の小規模な事業者にとっては持続困難な場合がある。

 分散型金融プラットフォームのウィファイで成長責任者を務めるアグネ・リンゲ氏は、これらの企業の潜在的な負担を強調した。

 「小規模なステーブルコイン発行者にとって、EUの銀行で準備金の30%を維持することは財務的に大きな負担だ」とリンゲ氏は述べた。

 1380億ドルもの時価総額を有するテザー社などの大規模な事業者はより強い立場にあるかもしれないが、それでも大きなコンプライアンス費用に直面している。

 またリンゲ氏は、テザー(USDT)の流動性は主にEU外に由来しており、地域的な混乱による影響は最小限に抑えられている、とも指摘した。

 EU内におけるP2P(ピア・ツー・ピア)プラットフォーム、分散型取引所、そしてカストディ型ウォレットでのテザーの利用は、引き続き合法だ。

●MiCA、暗号資産分野における地域的・国際的移動を誘発

 MiCA枠組みは、暗号資産分野の地域的・国際的移動を促進すると見込まれている。

 一部の企業はUAEなどの暗号資産に友好的な法域に事業を完全に移すかもしれないし、他の企業はEU内でより先進的な地域を探すかもしれない。

 テラウドカルンス氏は、この移動は市場の統合に繋がり、競争を減らし参入障壁を上げる可能性があると示唆した。

 銀行サービスへのアクセスや規制の予測可能性は、企業の移転判断において重要な役割を果たすだろう。

 「企業は、必要な銀行・決済手段へのアクセスを確保しつつ、UAEから顧客にサービスを提供する方法を検討するだろう」とテラウドカルンス氏は説明した。

 暗号資産決済プラットフォームのムーンペイは24年12月30日、MiCA規制下での承認を得た。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/uae-to-attract-crypto-ventures-amid-eus-stringent-mica-regulation-experts/

This story originally appeared on cryptonews.com.

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