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10日前

英財務省、26年1月から暗号資産脱税者に300ポンドの罰金

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 英財務省は暗号資産脱税の包括的な取り締まりを発表し、2026年1月から暗号資産サービスプロバイダーとの個人情報の共有を拒否した人に対し、300ポンドの罰金を導入する。

 デイリー・メールの報道によると、新しい暗号資産報告制度(CARF)は、ビットコイン、イーサリアム、ドージコイン、その他のデジタル通貨の保有者に対し、暗号資産プラットフォームと納税者番号を共有するか、罰則を課すことを義務付ける。

 財務省関係者は、この取り組みによって暗号資産課税の抜け穴がふさがれ、30年4月までに最大3億1500万ポンドの追加歳入が生まれると予測している。

 ジェームズ・マレー財務長官は、この取り組みが租税回避を排除するための広範な戦略の一環であることを強調し、この規則によって「脱税者が隠れる場所を失う」ことが確実になり、政府は法令遵守の改善を通じて、必要不可欠な公共サービスに資金を供給できるようになると述べた。

 暗号資産ユーザーとサービスプロバイダーの両方が、法令遵守違反に対して金銭的な罰則を受けることになり、すべての取引について両者に責任を負わせる二重の執行メカニズムが構築されることになる。

●新たな法令遵守の枠組、プラットフォームと利用者に圧力

 英国で事業を展開する暗号資産サービスプロバイダーは、取引を進める前に顧客の税務情報を収集・確認することが求められるため、新たな枠組みの下で大きな責任を負うことになる。

 正確な納税者番号を取得できなかったり、英国の歳入関税局に完全な取引記録を提供できなかったプラットフォームは、現在公表されていない独自の金銭的罰則に直面することになる。

 報告要件は、単純な取引活動だけでなく、ステーキング報酬、DeFiイールドファーミング、NFT取引、その他の暗号資産に関連する収入創出にも及ぶ。

 また、サービスプロバイダーは、正確な記録を維持しなかったり、税務当局に必要な情報を提供しなかったりした場合、別途罰金を科されるリスクがある。

 マレー財務長官はまた、この枠組みを「誰もが公平に負担する」ことを保証するための包括的な措置の一環であると説明し、この取り締まりは看護師や警察、その他の重要なサービスのための公的資金を維持するために不可欠であると位置づけた。

 サービスプロバイダーは、新しいデータ収集要件に対応するために、顧客登録プロセスと顧客管理システムを適応させる必要があり、ユーザーに転嫁される可能性のある運用コストが増加する可能性がある。

●暗号資産税の施行をめぐる世界的な機運の高まり

 英国の動きは、暗号資産税の法令遵守強化に向けた世界的な流れの一部であり、複数の国・地域が、これまで隠されていたデジタル資産の利益を捕捉するために、策定された同様の報告制度を導入している。

 欧州連合(EU)のDAC8号指令は26年に発効し、全加盟国の暗号資産プラットフォームが税務当局と顧客取引データを共有することを義務付け、大陸全体の情報交換ネットワークを構築する。

 デンマークの最新データから、税務当局が直面している課題の大きさが明らかになった。19年に取引所報告義務が導入されたにもかかわらず、暗号資産トレーダーの90%以上が利益を報告していない。

 北欧諸国は特に積極的な手法をとっているようで、ノルウェーは23年に暗号資産トレーダーのおよそ88%が利益を漏らしていると推定しており、デンマークは現在、未確定の暗号資産利益に対して42%の課税を検討している。

 タイは、国際的な投資を誘致し、デジタル資産のハブとしての地位を確立するため、認可されたプラットフォームを通じて行われた取引について、暗号資産キャピタルゲインに対する5年間の個人所得税免除を提供するという、正反対の手法をとっている。

 現状では、取り締まりを強化する国もあれば、優遇税制で暗号資産獲得を競う国もある。

 だが、こうした手法は暗号資産投資家にとってチャンスでもあり、課題でもある。投資家たちは今後、取引や居住地を選ぶ際に、税務上の影響をより一層考慮するようになるかもしれない。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/uk-treasury-targets-crypto-tax-evaders-with-300-fines-starting-january-2026/

This story originally appeared on cryptonews.com.

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