2025/05/26
暗号資産週間レポート(2025.5.18~2025.5.24)
ビットコインがドル建てで最高値更新!ドル不安が追い風に?
【5/18~5/24週のサマリー】・米上院がステーブルコイン規制「GENIUS法案」の審議進行を可決
・米テキサス州、戦略的ビットコイン準備法案「SB21」が下院で承認
・ビットコインがドル建てで112,000ドルをタッチ、史上最高値を更新
・トランプ大統領推進の大型税制修正案が米下院で可決、米30年債利回りが5%を突破
・トランプ大統領、欧州連合(EU)に6月1日から50%の関税を課すと投稿
【暗号資産市場概況】
5/18~5/24週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+3.1%の15,518,650円、ETH/JPYの週足終値は同▲0.06%の362,210円であった(※終値は5/24の当社現物EOD[5/25 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、米ドルに対する不安感とビットコインの将来的な需要期待が重なり、過去最高値を2度更新し、伝統的な金融資産をアウトパフォームする展開となった。ビットコイン先物市場でも、建玉残高が一時800億ドルを突破し、過去最大規模に達した。資金調達率もプラスで推移しており、ロングポジションの増加がトレーダーの強気姿勢を示唆している。
市場参加者の米ドルへの不安は週初から表面化した。先週土曜日に米格付け会社ムーディーズが米国債の格下げを発表した影響で、月曜の国債市場オープンとともに米30年債利回りは5%まで上昇。他の米大手格付け会社であるS&Pやフィッチはすでに格下げしており、ムーディーズもそれに追随した。これを受けてリスク資産である暗号資産には売りが入り、ビットコインは102,100ドル台までおよそ5,000ドル下落し、週中の安値を記録した。しかし、ベッセント米財務長官が今回の格下げを後方指標にすぎないものと位置づけたことで、米国市場がオープンすると株式市場と共に押し目買いが入り、ビットコインは105,000ドル台まで反発した。
週央以降は、ビットコインと伝統的金融資産との間で異なった値動きが見られた。米20年債入札の不調にもかかわらず、大型減税を掲げたトランプ大統領の発言はドル不安を再燃させた。のちに株式・ドル・米国債が同時に下落する「トリプル安」が見られたものの、ビットコインは市場クローズまでに下げ幅を巻き戻した。
この背景には、中央銀行や政府から独立した資産というビットコインの特性や、法制度整備の進展による需要期待があると考えられる。市場では、通商対立を契機とした米国売りの流れが払拭されない中、懸念されていた米国債需要の低迷や、米下院で大型減税案が可決されたことを受け、ドルに対する不安感が広がっている。なぜなら可決された税制法案の修正案には、米国の債務上限引き上げも含まれており、財政赤字や債務問題の抜本的解決には程遠いと捉えられているためだ。また、米国政府が価値を保証する法定通貨ドルの信用を揺るがしている要因とされている。
一方で、非中央集権的かつ独立した資産であるビットコインには投資家の関心が集まり、伝統的な金融資産とは異なる値動きが観察されている。また、米上院における「GENIUS法案」の審議進展や、テキサス州下院における戦略的ビットコイン備蓄法案「SB21」の可決といった法制度面での進展が需要拡大への期待を高め、ビットコインは新たな過去最高値である112,000ドルを記録した。
しかし、金曜日にトランプ大統領が欧州連合(EU)との貿易協議の進展が見られないとして、6月1日から50%の関税を課す方針を示したことで、ビットコインは111,000ドルを下回り、108,000ドル台で週末を迎えた。
今週は、FRBパウエル議長の発言をはじめ、米国第一四半期GDP確報値やPCEデフレーター、消費者信頼感指数など、ハードデータとソフトデータの両方が発表される予定だ。ただし、最近の市場はトランプ大統領の関税政策へ神経質に反応しており、新たな交渉動向には引き続き注視する必要がある。トランプ大統領は高い関税率を交渉用の手札としており、今回の50%関税案に対するEU側の対応次第では高いボラティリティが予想される。不確実性が収まらない今のような市場では、暗号資産を含む様々なアセットクラスでポートフォリオを多角化する重要性が一層高まっている。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【5/18~5/24週の主な出来事】

【5/25~5/31週の主な予定】

【今週のひとこと】トランプ大統領の大型減税法案
5月22日(現地時間)、米下院は大型減税を含む税制・歳出法案を215対214の僅差で可決し、上院に送付しました。これはトランプ大統領の主要な経済政策であり、2017年の減税措置の恒久化に加え、グリーンエネルギー優遇策の廃止、低所得者層向け福祉予算の削減、チップ・残業代の非課税化、国境警備予算の増額などが主な内容です。
この法案は、個人消費や企業投資を刺激し、経済成長や雇用創出に繋がる可能性があります。一方で、大規模な減税は財政赤字の拡大と政府債務の増加を招くと懸念されています。米議会予算局(CBO)は、今後10年間で連邦債務が数兆ドル増加すると試算しています。現在、米国の政府債務はGDP比で124%(2024年12月時点)と歴史的な高水準にあり、これがさらに悪化すれば、米国の財政健全性に対する市場の信認が揺らぐ可能性があります。
財政赤字を補填するための米国債発行が増加すると、市場での供給過多により米国債の価値が下落し、金利が上昇する圧力がかかります。また、財政規律への懸念から格付け会社が米国債の格下げを実施する可能性があり、実際に信用格付け機関のMoody'sは5月16日(現地時間)、債務膨張を理由に米国債の格下げを行いました。これにより米国債の信認が低下すれば、さらなる金利上昇を招き、米国債の魅力が薄れることで、ドル安が進む可能性も考えられます。
このような状況は、投資家が特定の国家に依存しない「無国籍資産」や「デジタルゴールド」としてのビットコインに資金を移す傾向を強める可能性があります。実際に、今回の減税法案可決報道後、ビットコインが金(ゴールド)とともに逃避的な買いを集めたとの分析も出ています。
今回の下院での可決は、トランプ大統領の主要公約実現に向けた重要な一歩です。減税による経済成長効果と財政悪化という副作用が市場にどのような影響をもたらすのか、今後の動向が注目されます。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
-----
お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。
-----
マーケット情報一覧へ戻る
サービス
マーケット情報・チャート
- ビットコイン(BTC)
- イーサリアム(ETH)
- エックスアールピー(XRP)
- ライトコイン(LTC)
- ビットコインキャッシュ(BCH)
- ポルカドット(DOT)
- チェーンリンク(LINK)
- カルダノ(ADA)
- ドージコイン(DOGE)
- ステラルーメン(XLM)
- テゾス(XTZ)
- ソラナ(SOL)
- アバランチ(AVAX)
- ポリゴン(MATIC)
- フレア(FLR)
- オアシス(OAS)
- エックスディーシー(XDC)
- シバイヌ(SHIB)
- ダイ(DAI)
- コスモス(ATOM)
- アプトス(APT)
- ヘデラ(HBAR)
- ジパングコイン(ZPG)
- ニアー(NEAR)
- ユーエスディーシー(USDC)
- ニッポンアイドルトークン(NIDT)
- アルゴランド(ALGO)
- エイプコイン(APE)
- アクシーインフィニティ(AXS)
- ベーシックアテンショントークン(BAT)
- チリーズ(CHZ)
- エンジンコイン(ENJ)
- イーサリアムクラシック(ETC)
- エフシーアールコイン(FCR)
- メイカー(MKR)
- モナ(MONA)
- オーエムジー(OMG)
- サンドボックス(SAND)
- トロン(TRX)
暗号資産及び電子決済手段を利用する際の注意点
暗号資産及び電子決済手段は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産及び電子決済手段は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
外国通貨で表示される電子決済手段については、為替レートの変動により、日本円における換算価値が購入時点に比べて減少する可能性があります。
暗号資産及び電子決済手段は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産及び電子決済手段を返還することができない可能性があります。
暗号資産及び電子決済手段は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。
当社の取り扱う暗号資産及び電子決済手段のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際してはサービスごとの「サービス総合約款 」「暗号資産取引説明書(契約締結前交付書面)」「電子決済手段取引説明書(契約締結前交付書面)」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産及び電子決済手段を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
PDF書面のご確認には、当社が推奨いたしますブラウザソフト、ならびにPDFファイル閲覧ソフトが必要となります。
手数料について 口座管理費、年会費、日本円の入金手数料、暗号資産、電子決済手段の受取・送付(入出庫)手数料はかかりません。そのほか、取引所取引(板取引)での手数料及び、レバレッジ取引において、ファンディングレートが発生しますが、お客様から徴収する場合と付与する場合があります。詳しくは「手数料」をご確認ください。
上記に加え、暗号資産関連店頭デリバティブ取引を行う場合の主な注意点
暗号資産関連店頭デリバティブ取引に関して顧客が支払うべき手数料 、報酬その他の対価の種類ごとの金額若しくはその上限額又はこれらの計算方法の概要及び当該金額の合計額若しくはその上限額又はこれらの計算方法の概要は、「手数料」に定める通りです。
暗号資産関連店頭デリバティブ取引を行うためには、あらかじめ日本円、暗号資産、電子決済手段(当社にて取扱いのある銘柄に限ります。)で証拠金を預託頂く必要があります。預託する額又はその計算方法は、「証拠金について」をご確認ください。
暗号資産関連店頭デリバティブ取引は、少額の資金で証拠金を上回る取引を行うことができる一方、急激な暗号資産の価格変動等により短期間のうちに証拠金の大部分又はそのすべてを失うことや、取引額が証拠金の額を上回るため、証拠金等の額を上回る損失が発生する場合があります。 当該取引の額の当該証拠金等の額に対する比率は、個人のお客様の場合で最大2倍、法人のお客様の場合は、一般社団法人 日本暗号資産等取引業協会が別に定める倍率(法人レバレッジ倍率)です。
暗号資産関連店頭デリバティブ取引は、元本を保証するものではなく、暗号資産の価格変動により損失が生じる場合があります。
当社の提示するお客様による買付価格とお客様による売付価格には差額(スプレッド)があります。スプレッドは暗号資産の価格の急変時や流動性の低下時に拡大することがあり、お客様の意図した取引が行えない可能性があります。
「暗号資産取引説明書(契約締結前交付書面)」等をよくお読みのうえ、リスク、仕組み、特徴について十分に理解いただき、ご納得されたうえでご自身の判断にて取引を行って頂きますようお願いいたします。
商号等 | : | SBI VCトレード株式会社 |
第一種金融商品取引業 | : | 関東財務局長(金商)第3247号 |
暗号資産交換業 | : | 関東財務局長 第00011号 |
電子決済手段等取引業 | : | 関東財務局長 第00001号 |
加入協会 | : | 一般社団法人 日本暗号資産等取引業協会(会員番号1011) |
免責事項 当社ウェブページ遷移前に表示された情報は、当社が作成・管理しているものではありません。