2026/03/23
暗号資産週間レポート(2026.3.15~2026.3.21)
イスラエル空爆とトランプ氏の軍事介入示唆―ホルムズ海峡を巡る攻防がBTC市場の重石に
【3/15~3/21週のサマリー】
・イランのアラグチ外相「対立国とそれらを支持する国を除く船舶のホルムズ海峡通行を許可」
・イスラエルがイランのサウス・パース・ガス田の施設を空爆
・金融庁、暗号資産の無登録販売を厳罰化
・ SEC(米国証券取引委員会)、トークン化証券取引に向けナスダックの規則変更を承認
【暗号資産市場概況】
3/15~3/21週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲1.04%の11,204,000円、ETH/JPYの週足終値は同+2.80%の342,990円であった(※終値は3/21の当社現物EOD[3/22 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、中東情勢の緊迫化と緩和に翻弄され、69,000ドルから76,000ドルの広範囲で乱高下する激動の展開となった。
週初は、イランのアラグチ外相による「米国とイスラエル、およびそれらを支持する国を除く船舶のホルムズ海峡通行を許可する」との発言を受け、原油市場に安心感が広がった。これにより原油先物価格は下落し、リスクオフの動きが後退。ビットコイン価格は70,000ドル台後半から71,000ドル台半ばまで上昇し、翌日も買い戻しが継続、直近高値である74,000ドル近辺まで回復した。
17日にはエヌビディアのCEOによる「2027年の売上高は少なくとも1兆ドルに達する可能性がある」との発言が好感され、ビットコイン価格は74,000ドルの上値抵抗を上抜け、一時76,000ドルまで上昇した。
しかしその後は、急騰の反動による利益確定売りとみられる動きから上値が抑えられ、74,000ドル近辺まで反落。さらに、イスラエル軍がイラン最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長を殺害したとの報道を受けて地政学リスクが再燃し、73,000ドル台前半まで水準を切り下げた。加えて18日には、イスラエルによるイランのサウス・パース・ガス田への空爆が伝わると、71,000ドル近辺まで下押しされた。
翌19日には、FOMC(米連邦公開市場委員会)後のパウエルFRB議長の記者会見において、「利下げ再開にはインフレ抑制の進展が必要」との 見解が示され、利下げに慎重なタカ派寄りの姿勢が改めて意識された。これを受け、ビットコイン価格は71,000ドルを下抜けた。
また、中東情勢の緊迫化が続く中、イランによる報復としてカタールなど周辺国の石油関連施設への攻撃が激化し、供給懸念から原油価格は一時100ドルを上回った。この影響もあり、ビットコイン価格は一時69,000ドル割れまで下落した。
20日には、イスラエルがホルムズ海峡を通過する船舶に対し米軍を支援する姿勢を示したことで原油価格が下落。これを受けビットコイン価格は一時71,000ドル近辺まで持ち直したが、同水準では戻り売りに押され、69,000ドル台半ばまで再び下落した。
さらに、トランプ米大統領が「イランへの地上部隊派遣を検討している」との報道が伝わると、市場は不安定な値動きとなった。ただし、これまで派遣に慎重とみられていた同大統領が検討に言及したことで、軍事的な最終局面入りとの見方も浮上し、その後は買い戻しが優勢となり、70,000ドル台前半での推移となった。
SoSoValueのデータによるビットコイン現物ETFの資金フローを見ると、週前半の16日および17日は合計で約4億ドルの純流入となり、先週から続く7営業日連続の純流入を記録した。一方で18日以降は純流出に転じたものの、週間ベースでは約9,500万ドルの純流入となり、4週連続で資金流入が継続している。
一般的に、現物ETFへの資金流入はビットコイン価格の上昇と連動する傾向があるため、今後も流入基調が維持されるかが注目される。なお、現物ETF残高の約6割を占めるブラックロックのIBITについては、平均取得単価が2月末の83,461ドル台から3月19日時点では83,100ドル台へと緩やかに低下している。今後、価格が同水準に接近する局面では売り圧力が強まる可能性がある点にも留意したい。
先週は中東情勢の影響を大きく受ける展開となり、今後も同様の地政学リスク主導の相場が継続する可能性がある。
注目点としては、まずトランプ米大統領が示唆した中東での軍事行動縮小の方針が実際に実行されるかどうかが挙げられる。これが実現し、イスラエルおよびイランが歩調を合わせて緊張緩和に向かう場合、投資家心理の改善を通じてビットコイン価格は持ち直す可能性がある。
一方で、地上部隊派遣を含む軍事行動が長期化し、さらに混迷を深める、あるいは石油関連施設への攻撃が一層激化する場合には、投資家心理は一段とリスク回避姿勢を強めると考えられる。その場合、ビットコイン価格は直近安値である66,000ドル水準を試す展開も視野に入れておく必要があるだろう。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【3/15~3/21週の主な出来事】

【3/22~3/28週の主な予定】

【今週のひとこと】米SECとCFTC、暗号資産分類をより明確に
SEC(米国証券取引委員会)とCFTC(米国商品先物取引委員会)は17日、暗号資産がどのような場合に証券に該当するかを明確にするため、暗号資産の分類と規制の考え方を示す最終的な解釈を公表しました。
暗号資産の証券性が不明確だった時期には、取引所の上場リスクや、トークン発行体への突然の規制対応など様々な問題が発生していました。発行体への規制対応の例としてRipple社への訴訟事案が挙げられます。当時SECは、XRPを「未登録証券」として販売したと主張した上でRipple社を提訴しました。この裁判は約5年間にわたり、最終的にSECとRippleが交差控訴を取り下げることで合意しました。 このように、SECがある種「事後的」に特定のトークン発行体を「未登録証券の販売をしている」と判断する可能性があり、暗号資産投資への不透明感から市場の成長が妨げられるケースがありました。加えて、規制を恐れた取引所が新規トークンの上場を避けたり、既存上場銘柄の廃止を行うというように、暗号資産市場へのイノベーションを避ける負の連鎖が生じていました。
今回のSECの公表により、デジタルコモディティは証券ではないと明記され、文書では16銘柄(※)が列挙されました。いずれも分散型ネットワーク上で稼働し、発行体の価値向上の約束に依存しない資産であることから、証券には該当しないと判断されています。 明確化により、米国の暗号資産市場では複数の変化が期待されています。まず、取引所は証券性リスクを理由に上場を避ける必要がなくなり、主要銘柄の取り扱いがより安定すると考えられます。これまで規制リスクを恐れて新規上場を控えていた取引所にとって、今回の分類は判断基準の明確化につながり、発行体にとっても、後から「未登録証券」と判断されるリスクが低減するため、開発や運営を継続しやすい環境が整備されることになります。
※文書で明記されていた該当銘柄は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、エックスアールピー(XRP)に加え、アプトス(APT)、アバランチ(AVAX)、ビットコインキャッシュ(BCH)、カルダノ(ADA)、チェーンリンク(LINK)、ドージコイン(DOGE)、ヘデラ(HBAR)、ライトコイン(LTC)、ポルカドット(DOT)、シバイヌ(SHIB)、ソラナ(SOL)、ステラ(XLM)、テゾス(XTZ)です。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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