Market Report

マーケット情報・チャート

2022/07/12

CPIを控えたレンジでの動き

先週のハイライト
  • 主要コインはレンジでの推移
  • 暗号資産取引所は強い売り手であった
  • ボラティリティは大幅低下、プット方向に大きくスキューしていたリスクリバーサルは緩む
  • マクロ投資家は今週水曜日の米消費者物価指数に注目

  • 先週の動き
    暗号資産スポット市場は木曜日にビットコインとイーサリアムでショートカバーの上昇が見られた以外、先々週に続いて緩慢な動きであった。ビットコインは20,500ドルから22,500ドルへ上昇、イーサリアムは1,185ドルから1,275ドルまで上昇したものの、その後は再び直近1ヶ月のレンジに戻された。イーサリアムのアップグレードは問題なく終了し、また米雇用統計も良好だったものの、ほぼ予想通りであったことから市場への影響は限定的で、今週の米消費者物価指数の発表待ちとなっている。

    売買動向をみると、暗号資産取引所が強い売り手となっていた以外は、他の市場参加者からは特段の方向性は見られなかった。コイン別でみると、ADA、DOT、EOS、UNIなどで強い買いがみられ、DOGE、XRP、XLMでは強い売りがみられた。地域別では大きな方向性は特にみられなかった。

    暗号資産先物市場のベーシスはほぼ横ばいとなっており、最も流動性の高い取引所では3カ月物のBTC/USDのベーシスが依然として+1.5%前後、ETH/USDは+1.0%前後で推移している。OTCレンディング市場の取引高は依然低調なものの、主に流動性の低いアルトコインの借入に関心が集まっている。

    暗号資産オプション市場ではボラティリティの低下が鮮明になっており、ビットコインの7月物のATMボラティリティは約11%低下し68%、イーサリアムは13%低下し89%となった。ビットコイン、イーサリアムのいずれも、期間方向のカーブはコンタンゴ(短期物よりも長期物の方がボラティリティが高い状態)となっている。また、スポットの上昇を受けて、下ストライクのオプションの需要は低下し、7月のリスクリバーサル(下ストライクのオプションと上ストライクのオプションのボラティリティの差)は7%低下し9%の下高、イーサリアムは9%低下し11%の下高となっている。短期物のリスクリバーサルが緩んできているということは、市場参加者の暗号資産業者の破綻の連鎖に対する恐怖感が足元で落ち着きつつあることを示唆しているが、ボラティリティがコンタンゴになっているということから、長期的な目線では更なる市場の混乱をヘッジするニーズがまだ存在していることを表している。

    今後の展望
    水曜日に発表される予定の米消費者物価指数への注目が高いものの、それ以外での特段の注目材料は見当たらない。先週金曜日の力強い米雇用統計を受け、物価上昇が続けば米FRBは大幅利上げを継続せざるを得なくなり、仮にそうなった場合には米長期金利の一段の上昇が見込まれる。米消費者物価指数の前年比の市場予想は8.7%、コア指数の前月比は+0.5%となっており注目が集まる。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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