2025/09/01
暗号資産週間レポート(2025.8.24~2025.8.30)
ETH現物ETF流入急拡大、企業のアルトコイン採用戦略が加速
【8/24~8/30週のサマリー】
・トランプ米大統領、米連邦準備制度理事会(FRB)クック理事を解任すると発表
・米商品先物取引委員会(CFTC)、海外暗号資産取引所の米進出を明確化
・米商務省、経済指標のGDPを初めてブロックチェーン上に公開
・金融庁、暗号資産の税制改正を正式に要望
・週次の現物ETFの純流入額でETHがBTCの2倍以上に
【暗号資産市場概況】
8/24~8/30週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲5.29%の15,982,750円、ETH/JPYの週足終値は同▲8.19%の639,810円であった(※終値は8/30の当社現物EOD[8/31 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、まちまちだった米経済指標の結果を受けて先週末の反落の流れを引き継ぎ下落基調となった。米PCEコア発表直後にはビットコイン価格が一時110,000ドル近辺から111,000ドルへと約0.9%の急騰を見せるも、その後は勢いが続かず失速する展開となった。
米国時間27日の現物イーサリアムETFへの純流入額は3.09億ドルとなったのに対し、現物ビットコインETFへの純流入額は8,130万ドルとなった。現物イーサリアムETFが純流入額で現物ビットコインETFを上回る状況は米国時間25日から27日の3日連続で、週次の純流入額においては2倍超となった。イーサリアムは企業による財務戦略としての採用拡大や、米国でステーブルコイン規制を明確にするジーニアス法が成立したことによる追い風を受け続けている。
ビットコインについては投資家の迷いが見られる。オンチェーンデータ分析プラットフォームGlassnodeの分析指標「Spot Indicator: Volume Delta Bias」によれば、全取引所において現物CVD(累積出来高デルタ、Cumulative Volume Delta)は方向感に欠け、上振れの勢いは限定的な格好だ。加えて、無期限先物のCVDを表す「Futures Indicator: Volume Delta Bias」も8月入り以降、マイナス圏で推移している。CVDがプラスに偏るほど買い圧力が強く、マイナスに偏るほど売り圧力が強いと解釈する。
他方、未実現損益は過去の弱気相場で観測された−0.3に比べて足もと0.5近辺と相対的に高い水準である。CVDデータで投資家心理の落ち込みが示されている一方、まだ大きな損失を経験していないことを指摘したい。(Glassnodeのデータは下段のチャートを参照されたい)
7月の米個人消費支出(PCE)統計では消費支出の堅調さを示唆し、米長期金利は前日比で約0.4%上昇した。概ね市場予想と一致していたことや翌週の雇用データを控えてドル円相場はレンジを抜け出せず、円建て暗号資産への為替インパクトは限定的だった。
来週は米8月ISM製造業PMIおよび米8月雇用統計など9月米政策金利の判断材料となるイベントが控えている。昨年9月は雇用統計が概ね市場予想通りの結果となり、減速傾向の新規雇用者数といった状況下で利下げに踏み切った。これに伴い暗号資産を含むリスク資産は上昇に転じたことがある。先週のジャクソンホールでパウエルFRB議長が雇用データを注視していることを明言しており、指標結果次第で暗号資産の価格が上下大きく振れる可能性に備えたい。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[現物ビットコインのCVDと価格推移、2020年~現在]

(橙線がBinance/青線がCoinbase/灰色線が全取引所/黒線がビットコイン価格) (Glassnode提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[永久先物ビットコインのCVDと価格推移、2023年~現在]

(橙線がBinance/青線がBybit/灰色線が全取引所/黒線がビットコイン価格) (Glassnode提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコインの未実現損益と価格推移、2014年~現在]

(虹色バンドが未実現損益/黒線がビットコイン価格) (Glassnode提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【8/24~8/30週の主な出来事】

【8/31~9/6週の主な予定】

【今週のひとこと】アルトコイン・トレジャリー戦略企業
8月28日(日本時間)不動産テック系企業のDeFi Development社が約40万SOLを追加取得しました。同社は7月3日からSOLを基盤とするトレジャリー戦略を進めており、8月分の累計購入は約63万SOLを超えたと見られています。Upexi社も8月に入ってSOLの保有量が200万枚を突破しており、BTCを中心に進められてきたトレジャリー戦略の領域で、アルトコインを組み込む動きが散見されるようになっています。
同様に、ETHに関しても企業による取得は拡大傾向にあります。例えばBitmine社 が公表した「Bitmine Treasury NAV per Share as of July27,2025」と「August24,2025」のデータによると、この1か月間で約111万ETHを積み増しています。Sharplink社も公式サイトが公開した7月27日〜8月24日のデータによると、35万ETH規模の追加購入を行い、累計保有額を大きく引き上げています。SOLやETHを代表とした事例は、アルトコインが資産戦略において1つの位置を獲得し始めていることを示唆していると考えられます。
アルトコイン・トレジャリーが活発化した背景には相場の上昇局面や現物ETFを通じた機関投資家のインフローの拡大があると言えます。BTC保有戦略が依然として「価値の保存」を主眼にとらえているのに対し、アルトコインにはより多面的な魅力が意識されやすい状況です。特にETHは、ステーキングによる利回りを生む「担保資産」と、スマートコントラクトを通じてデジタル経済の基盤を担う「インフラ資産」の二重価値が評価され、長期的に保有する意義があると捉えられています。
したがって、アルトコインのトレジャリー戦略はボラティリティや成長性、実用的な側面を取り込みながら、企業の生存戦略の選択肢に組み込まれていくのではないでしょうか。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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