2025/05/19
暗号資産週間レポート(2025.5.11~2025.5.17)
関税合意で安心感!BTCは10万ドル維持、停戦進展も追い風に
【5/11~5/17週のサマリー】・印パ、即時停戦に合意
・米中、現行の関税政策から90日間100%以上引き下げで合意
・ビットコイン、今年1月末以来となる105,000ドルを突破
・米暗号資産取引所Coinbase、一部の顧客情報がハッカーにより漏洩
・露ウがトルコのイスタンブールで3年ぶりの停戦協議、合意には至らず
【暗号資産市場概況】
5/11~5/17週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲0.23%の15,052,600円、ETH/JPYの週足終値は同▲1.63%の362,420円であった(※終値は5/17の当社現物EOD[5/18 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、インド・パキスタン間の即時停戦合意やトルコ・イスタンブールで開催されたロシア・ウクライナ間の3年ぶりの停戦協議に加え、米中間の関税協議が合意に至ったことを受けて、通商対立の緩和期待が高まり、ビットコインは100,000ドル水準を下支えする展開となった。
週初、米国のトランプ大統領が正式発表前に「非常に良い協議で、多くの点で合意した」と発言したことが市場の安堵感につながり、暗号資産全体の上昇をけん引した。月曜16時に合意内容が発表され、米国側の対中関税は従来の145%から30%へ、中国は125%から10%へと、それぞれ大幅に引き下げられた。本合意は今後90日間有効であり、4月2日に公表された米国の関税方針に対する不透明感を一時的に払拭する契機となった。
一方で、ベセント米国財務長官は「関税を10%以下に設定することはない」と明言し、過度な楽観に一定の歯止めをかけた。これは同盟国との交渉においても一定水準以上の関税率を維持するという米国のスタンスを示すものである。
また、米国の4月主要経済指標は、関税による物価上昇が消費者価格に大きく転嫁されていないことを示唆した。消費者物価指数(CPI)は市場予想をやや下回り、生産者物価指数(PPI)は大きく下振れた。これは関税引き上げ前の「駆け込み輸入」により在庫が先行確保されたことや、企業が損失を抱えつつも価格転嫁を抑制していると考えられる。さらに、消費者信頼感指数などのソフトデータも予想を下回り、消費者の間で通商対立への懸念が維持されていることを示している。
とはいえ、足元の市場では経済指標の結果以上に、関税協議の進展や地政学的リスクの後退が注目されている。ビットコインは関税協議の合意発表時に週内最大の取引高を記録し、週央には下落が見られたものの、100,000ドル以上を維持した。
需給の観点では、ビットコイン現物ETFにおいて週間約6億ドルの資金流入が確認された。特に、アブダビの政府系ファンドが米国証券取引委員会(SEC)に提出した13Fレポートにて、BlackRockの「IBIT」を約4億ドル追加取得した事実や、複数の企業が財務戦略の一環としてビットコインを採用していくという報道が買い材料として機能し、売り圧力の緩和につながったとみられる。
一方で、米国暗号資産取引所Coinbaseでは一部の顧客情報が流出するハッキング事件が発生したが、被害範囲が限定的だったことから市場への影響は軽微にとどまった。
今週は、米国の5月製造業・サービス業PMI(購買担当者景気指数)の発表が木曜日に予定されており、関税政策が企業活動に与える影響を測る上で注目材料となる。トランプ大統領の「解放記念日」を起点に主要テーマとなっていた通商対立の緩和が進む中、今週はハードデータに対する市場の関心が高まり、ボラティリティが高まる可能性があるため注意が必要である。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【5/11~5/17週の主な出来事】

【5/18~5/24週の主な予定】

【今週のひとこと】SEC Crypto Task Force円卓会議
2025年5月12日(日本時間13日)、米国証券取引委員会(SEC)の再編成された暗号資産タスクフォースによって、「資産のオンチェーン化:伝統的金融と分散型金融の交差点」と題した円卓会議が開催されました。この会議では、現実資産(RWA)のトークン化や分散型金融(DeFi)が伝統的金融(TradFi)とどのように融合していくか、そしてそれを可能にする規制枠組みの整備が議論の中心となりました。
DeFiの活用によって、伝統的金融にどのような利点がもたらされるのか。特に注目されるのは、既存の金融プロセスに対する効率性の向上です。たとえば、TradFiにおいては取引の障害時に人手による介入が必要とされることが多く、「ガバナンス」に大きな負担がかかっています。これに対して、DeFiはスマートコントラクトによる自律的なシステム設計が可能であり、将来的には人的コストや時間の大幅な削減が期待されます。
ただし、現時点ではDeFi領域で頻発しているハッキングや、システムの完全性に関する懸念から、完全な自動化ガバナンスの実装は依然として課題が多いのが現状です。
さらに、DeFiを伝統的金融に取り入れる上で、「アイデンティティの明確化」という課題も浮上します。これは単に規制当局の要請に応えるためだけではなく、リスク管理や業務効率化の観点からも必要とされています。近年では、自己主権型IDやゼロ知識証明など、プライバシーを保ちながら本人確認を可能にする技術も登場しており、今後の実装に注目が集まります。
このように、RWAのオンチェーン化やDeFi統合の進展に伴い、規制の明確化と技術の適合が強く求められる時代に入っています。SECがタスクフォースを中心に早期から議論を開始した背景には、こうした新技術を活かすための法的・制度的土台の整備が急務であるという認識があります。
これは単なるRWAのトークン化にとどまらず、将来的には金融インフラ全体の再設計にもつながる可能性を秘めています。技術の発展に制度が追いつこうとする現在の動きは、まさにその過渡期を象徴するものと言えるでしょう。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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