Market Report

マーケット情報

2022/08/09

BTCは引き続き静かななか、ETHの大型アップデートに注目

先週のハイライト
  • BTCとETHは直近のレンジ内に戻される動き
  • ETHは週末に再度1,700ドルを試す動きが見られた
  • 全般的に買い意欲が強く、特に欧州・中東圏、銀行系が中心
  • ETHの売買高は他の暗号資産と比較して多く、大型アップグレードとそれに伴うハードフォークの可能性に注目が集まる
  • 今週は、先週の非常に強い米雇用統計の後だけに、米CPIの動向に焦点が当たる

  • 先週の動き
    暗号資産スポット市場は、BTCとETHが先々週の力強い動きから一転して、先週は弱い動きとなったものの、ETHで若干改善の兆しがみられた。BTCは一時22,475ドルの下値を付けたものの、概ね22,700ドルから23,400ドルのレンジで推移し、ETHは1,570ドルの安値を付けたのちに、1,700ドル台を回復する動きとなった。

    フローデータによると、全般的に買い意欲が高い週となったが、地域別にみると、北米は均衡しているが、欧州・中東で強い買いが見られた。同様に市場参加者別でみると、概ね均衡または若干の買い越しであったが、銀行系では強い買い。コイン別にみると、XLM、AVXが買われ、EOSやDOTは売り越しとなった。ETHは全コインの中で最も売買が多かったが、その間ETHよりもBTCで買い選好が強かったことが注目される。

    暗号資産先物市場では、BTCの対米ドルベーシスは動意に乏しく、3か月物は3.0%~3.3%程度の水準でほぼ横ばい。一方で、ETHの対ドルベーシスは急落しており、9月限月の先物はスポットよりも10ドル安、12月限月は40ドル安となっている。これは大手マイニング会社の間で、大型アップデートで、従来のプルーフ・オブ・ワーク(POW)のETHとプルーフ・オブ・ステーク(POS)のETHに、ハードフォークする可能性が取りざたされており、もし実際にハードフォークが発生した場合には、現物のETHを持っていれば、POWとPOSのどちらのETHも手に入れることができる。したがって、現物のETHを保有し、そのポジションを先物でヘッジするニーズが生まれ、先物価格の急落に繋がっている。

    暗号資産オプション市場ではBTCの1週間物ボラティリティは73%から64%へと9%下落している一方、3カ月物は1%、6カ月物は1.5%上昇。また、1カ月物のリスクリバーサル(下ストライクのオプションと上ストライクのオプションのボラティリティの差)は、7%の下高から5%の下高までスキューが緩んでおり、足元ではスポットに対して、強い方向感は見られていないことを示唆している。一方で、ETHの短期ボラティリティは98%から93%へとやや低下しているが、3カ月物は7%上昇し104%となっており、暗号資産オプション市場でも上記ETHの大型アップデートの影響が見られてきている。

    今後の展望
    米CPIに注目が集まっている。先週金曜日に発表された米雇用統計が好結果であったことから、米CPIも高い数字でインフレの鎮静化が見られない場合には、9月FOMCでの0.75%の利上げの確率が更に高まることが予想される。

    また、米CPIの陰に隠れているものの、ETHの大型アップデートも徐々に注目度を高めている。暗号資産先物市場のETHの対ドルベーシスが示すように、一部投資家のハードフォークを見越した仕込みは、徐々に始まっているように見えるが、今後発表される大型アップデート関連のニュースは、これまで以上に市場へのインパクトを強めていくものと見られる。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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