Market Report

マーケット情報

2026/03/02

暗号資産週間レポート(2026.2.22~2026.2.28)
米国・イスラエルの対イラン軍事行動開始とリスク資産の動揺――AI代替リスク報道と機関投資家の「慎重姿勢」継続

【2/22~2/28週のサマリー】
・SBI VCトレードとビーエヌ、国際会議「BGIN Block 14」でUSDC決済を試験導入
・パキスタン、アフガニスタン主要都市を攻撃
・米国とイスラエル、イランへ攻撃開始

【暗号資産市場概況】
 2/22~2/28週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲1.69%の10,433,100円、ETH/JPYの週足終値は同▲0.48%の306,145円であった(※終値は2/28の当社現物EOD[3/1 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場はAIの破壊的イノベーションの脅威、米国とイスラエルのイランへの攻撃開始による地政学的リスクの急激な高まりへの懸念などに値動きが左右され、結果的に下落しての着地となった。
 23日、チャット型生成AI「Claude」を提供していることで知られるAnthropicと米国防総省(ペンタゴン)との最大2億ドル(約300億円)規模の契約をめぐって両者が深刻な対立に直面しており、ヘグセス国防長官がAnthropicのCEOを国防総省に召喚したことが報じられた。
 また、23日、シトリニ・リサーチが発表した記事「2028年世界知能危機」は、2028年の未来から現在(2026年)を振り返った手記として描かれ、「今朝の失業率は10.2%と発表」や「S&P500指数の累積下落率は2026年10月の高値から38%に」といった具体的な数字の提示から始まり、「わずか2年で世界経済は激変し、かつての常識は崩壊した」と続く。シトリニ・リサーチは、あくまでも「思考実験」として書かれたシナリオであり予測ではないと強調。「自分が間違っていることを強く願って書いた初めての記事」だと述べている。しかし、このセンセーショナルな記事は市場の不安を呼び、AIによる代替リスクを指摘されたセクター(SaaS企業など)の株価急落を招いた。投資家センチメントはリスクオフムードへと傾き、米国テック株の下落に連れて暗号資産市場も弱い展開となった。
 その後は、一般教書演説前のショートカバーやNVIDIA決算への期待などもあり上昇、同社決算が事前予想を上回るとビットコイン価格は7万ドルにタッチした。週末は米国とイスラエルによるイランへの攻撃開始で中東情勢緊迫、ビットコイン価格は乱高下した。
 他方でオンチェーンデータ分析企業Glassnodeは25日、最新の暗号資産週間レポートを公開し、2月初旬以降、蓄積トレンドスコアが0.5を下回っており、大口投資家が資金を投じるほどの確信を持てずにいるとの分析を示した。蓄積トレンドスコアは、ウォレット残高をどれだけ増やしているか、その変化の規模、継続性を0から1の間で数値化したもの。1に近いほど蓄積が強く、0に近いほど売却や停滞が強いことを示す。最近の数値の0.5前後は大口の迷いを映すかのような中立的な数字だ。なお、現在のスコアの低迷は特に機関投資家など、大規模なエンティティの間で蓄積の動きが持続的に弱いことが原因と分析されている。
 さらにGlassnodeは、先物市場については永久先物のファンディングレートが中立水準に向かっており、レバレッジがリセットされたことを示すと指摘。投機筋の意欲の低迷を表すとも続けた。底値固めにはまだ時間を要しそうだ。
 今週は、ホワイトハウスが3月1日を期限としている仮想通貨市場構造法案(CLARITY法案)が依然として合意に至っていない状況で続報が待たれる。24時間取引ができる暗号資産は週末の資産のリスク管理先の一つではあるものの、地政学的なリスクが劇的に高まり、リスク回避志向になりやすい中ではエクスポージャー管理の一環として暗号資産の保有数量を削減する投資家もおり、未だ底値が掴めない状況だ。今週は価格変動に影響を与えるニュースが頻出することが予想されるため、市場が材料を織り込み済みかどうかなどにも注意を払いつつ、このボラタイルな相場を好機と捉えて取引をされたい。 



[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


【2/22~2/28週の主な出来事】


【3/1~3/7週の主な予定】


【今週のひとこと】米国とイスラエルがイランへ攻撃開始、高まる中東情勢不安

 2月28日、米国とイスラエルはイラン各地に対して大規模な軍事攻撃を開始しました。最初の攻撃は、イラン最高指導者ハメネイ師の関連施設付近で発生したと報じられ、首都テヘランを含む複数都市にて爆発や煙が確認されています。米国のトランプ大統領は「大規模戦闘作戦が始まった」と発表しており、イスラエル政府も共同作戦であることを認めています。
 今回の軍事衝突は、世界の金融市場に大きな不確実性をもたらす可能性があります。一般に、地政学リスクが高まる局面では、株式市場などのリスク資産が売られやすくなり、資金が安全資産へ流れる傾向があります。これに伴い、暗号資産市場も短期的には価格変動が激しくなることが想定されます。特にビットコインは「デジタルゴールド」として安全資産的な側面が期待される一方、リスク資産として売られやすい局面もあり、投資家心理によって価格の方向性が大きく左右されます。
 また、中東情勢の悪化は原油価格の上昇を通じて世界経済に影響を与える可能性があり、特に原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖懸念が高まれば、供給不安を背景にエネルギー価格が急騰するリスクがあります。こうした動きはインフレ圧力や金融政策見通しを通じてリスク資産全体の値動きに影響を与える可能性があり、結果として暗号資産市場のボラティリティ上昇につながることが考えられます。一方で、国際送金や資本規制回避の手段として暗号資産が注目される局面もあり、地域によっては需要が高まる可能性もあります。特に紛争地域では金融インフラが不安定化するため、暗号資産が代替手段として利用されるケースが増えることも見込まれます。
 今後の展開次第では市場への影響が大きく変化するため、引き続き最新情報を注視しつつ、価格変動リスクを踏まえた慎重な判断が求められます。






(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)

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