2022/03/15
次の動きに備える
先週のハイライト先週の動き
先週の暗号資産市場は、比較的静かに推移しレンジ内での取引であった。バイデン大統領が、暗号資産問題の利点とリスクを評価するよう米政府機関に求める大統領令に署名したことを受け、3月9日のアジア時間の朝に、暗号資産は8%上昇。しかし、緊迫するウクライナ情勢、商品価格の上昇からインフレ懸念、不確実性の高まりからリスクオフの動きに反応し下落、その後はレンジ内取引に収斂した。先の大幅なラリーの間、ビットコインは、他の多くの暗号資産に対してアウトパフォーム、ETH/BTC(イーサリアム対ビットコイン)は0.0655から0.0645まで下落した。これは、リスクオフセンチメント時、トレーダーが暗号資産をロングにする時に、ビットコインを選好することを示唆していると言えるだろう。また、リップル社とSEC(米証券取引委員会)の裁判で、裁判所がリップル社のフェア・ノーティス(事前通知)の抗弁を無効とするSECの申し立てを却下したため、金曜日にXRPが0.8450まで15%上昇したことは注目すべき点であった。
売買動向を見ると、引き続きイーサリアムよりビットコインに買いが集まる傾向が見られた。SOL(ソラナ)、ADA(カルダノ)、BCH(ビットコインキャッシュ)、MATIC(ポリゴン)、BNB(バイナンスコイン)に、55%以上の強い売りフローが見られ、XLM(ステラルーメン)とEOS(イオス)にのみ強い買いが見られた。地域別に見ると、アジア圏において買いが優勢となり、欧州・中東圏では売りが優勢となっていた。顧客カテゴリー別では、海外取引所と個人投資家が買い越し、銀行と富裕層に強い売りが見られた。
暗号資産先物市場においては、ほとんどの取引所において1ヶ月物ベーシスが1~2%、3ヶ月物ベーシスが2~3%と横ばいで推移。リスク回避の動きからか、アルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)の無期限スワップのファンディングコストが依然としてマイナスである事は留意すべき点であり、これは暗号資産の借り入れへの関心が少しづつ高まってきていることを示唆している。
オプション市場においては、暗号資産の上昇を見込むブルプレイヤー(強気派)の動きが見られている。ボラティリティは引き続き上昇傾向であり、6月物ATM(アット・ザ・マネー)ボラティリティは、2-3%上昇し73%となった。また、コールサイド(上方向のストライク)の取引が活発で、且つ、コール買い需要が見られており、暗号資産の上昇を見込む動きが出てきている。中期的な見通しに関して何かが変わり始めているのかもしれない。
今後の展望
今週は、中央銀行の政策決定会合が集中しており注目の週である。特に、水曜日に開催されるFRB(連邦準備制度理事会)がハイライトになるだろう。先の議会証言において、パウエル議長が既に0.25%の利上げを提言したことから、0.25%の利上げが市場のコンセンサスとなっているが、資源や穀物の商品価格の高騰から、物価高とスタグフレーション懸念が出てきているため、今後のFRBの引き締めペースの変化に市場の注目が集まっている。木曜日には、イングランド銀行の政策決定会合もあり、市場では0.25%の引き上げが予想されている。また、ビットコインがリスク資産であるかどうか、またはリスクオフの受け皿となるかの動向も含めて、テクニカル的に直近の高値 45,500ドルと短期・長期のトレンドサポートである35,000ドルの持合い相場から抜けられるかに注目していきたい。
(提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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