Market Report

マーケット情報

2024/05/13

暗号資産週間レポート(2024.5.5~2024.5.11)
市場動向を左右するSECの動き、イーサリアムETFの承認はあるか!?

【5/5~5/11週のサマリー】
・SECがロビンフッドに対してウェルズ通知(企業や個人に対し、SECが法的措置を講じる予定であることを正式に伝える公文書)を送付
・ビットコインのトランザクションが10億件を突破
・米下院がSEC規制の暗号資産保管ガイドラインを覆す決議案を可決


【暗号資産市場概況】
5/5~5/11週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比-2.93%の9,497,750円、ETH/JPYの週足終値は同-4.80%の455,010円であった(※終値は5/11の当社現物EOD[5/12 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、先々週末の雇用統計によるリスクオンの流れと3月後半以来となる$3M超えのETFフローを背景として週初に65,000ドルに到達。先々週の5/3に史上初の資金流入超が観測されたグレイスケールのビットコイン現物ETFは5/6も続けて資金流入超を観測。週央7日からはジリ安の展開となり、注目のグレイスケールのビットコイン現物ETFのフローも流出超過に転じた。ETF全体のフローとしても小幅の流出超過で着地し、4月末のような大幅な流出超過ではないもののETFの出来高自体がしぼんでいるように見受けられる。週末10日は米5月ミシガン大学消費者信頼感指数が予想よりも大幅に下振れしたことにより米株式市場がマイナスに反応し、ビットコインもつられるように$3,000の下落。節目の60,000ドル割れを試しに行く値動きを見せたが、割り込みは回避し60,000ドル台半ばで着地した。
さて、今週はイーサリアムの価格推移について注目したい。5月のイーサリアムのパフォーマンスはビットコインよりもアンダーパフォームしており、サポートラインの2,900ドルを試す展開となっている。その要因に挙げられるのがイーサリアム現物ETFの承認可能性の減退だろう。イーサリアム現物ETFは5月に承認可否の最終期限を迎える申請が4件あり、VanEck社が申請した同ETFが5/23に最初の最終期限に到来する。年初にはイーサリアム現物ETFが承認されるのではないかというポジティブな意見もあったが、現在では米SECの直近の動向から承認される確率が低いと予想するアナリストが大半である。その理由としては米SECがロビンフッド含む2社の暗号資産関連企業に対してウェルズ通知(企業や個人に対し、SECが法的措置を講じる予定であることを正式に伝える公文書)を連発していることやイーサリアム財団への調査により、イーサリアムを「未登録の有価証券」として整理したい思惑が読み取れるからだ。現在のイーサリアムの価格はイーサリアム現物ETFが非承認とされることを織り込みつつあるものの、完全には織り込んではいない可能性がある。同申請が非承認であった場合、市場参加者の心理悪化により年初の2,000ドル台前半まで下落するシナリオを想定することも必要かもしれない。
今週の経済指標は14日に米生産者物価指数(PPI)、15日に米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高といった重要指標の発表が予定されている。先週のひとこと「金利と暗号資産」で触れたように暗号資産市場はマクロ経済指標の影響を受けやすくなっており、指標に一喜一憂する市場環境であることを念頭に置いて取引されたい。




[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)



[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)



【5/5~5/11週の主な出来事】



【5/12~5/18週の主な予定】


【今週のひとこと】米国大統領選挙と暗号資産業界
4年に一度の米国大統領選挙まで半年を切り、同選挙結果の行方や、暗号資産業界への影響が注目を集めてきています。本選挙は2024年11月5日に実施される予定で、民主党は現職のバイデン大統領、共和党は返り咲きを目指すトランプ前大統領の指名獲得が有力視されており、2020年と同じ顔触れの対決が現実味を帯びています。
また、米国の大統領選挙において、暗号資産業界の規制方針が争点の一つになるとの意見を耳にするようになってきました。共和党の候補者と予想される米ドナルド・トランプ氏は先週に行われた選挙集会で、暗号資産業界を支持する異例の発言を行いました。トランプ氏は前回の大統領任期時(2016-2020年)の暗号資産業界に批判的であった態度を年々軟化させてきている印象です。近年には自身のNFTを発行するなど、暗号資産業界にフレンドリーな姿勢を見せています。ただし現時点では具体的な政策案等についての言及はなく、政治家として支持者獲得のためのリップサービスである可能性も否定はできないため、過度な期待は控えたほうが良いのかもしれません。
トランプ氏とは対照的に民主党の候補者と予想される現職のバイデン大統領は、暗号資産マイニング企業への課税強化や、既存銀行によるデジタル資産エコシステムへの参入に難色を示しており、暗号資産業界対して慎重な態度を見せています。
正式に党の候補者が決定する7・8月の両党の党大会以降は、暗号資産業界だけではなく、世界経済の行方を左右する米大統領選の動向に目が離せなくなりそうです。



(SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)


-----
お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。
-----



マーケット情報一覧へ戻る