2026/06/08
暗号資産週間レポート(2026.5.31~2026.6.6)
BTC一時60,000ドル割れ——Strategy売却・マウントゴックス・利上げ観測が同時に襲った週▲17%
【5/31~6/6週のサマリー】
・ストラテジー社がビットコインの売却を開示
・経営破綻したマウントゴックスのウォレットから10,306BTCが新規ウォレットへ移動
・ビットコインの現物ETFから4週間連続で10億ドル以上の資金が流出
・ビットコインは一時60,000ドル割れまで下落
【暗号資産市場概況】
5/31~6/6週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲17.21%の9,742,340円、ETH/JPYの週足終値は同▲22.56%の249,885円(※終値は6/6の当社現物EOD[6/7 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、ストラテジー社によるビットコイン売却の開示やマウントゴックス関連ウォレットの大規模な資金移動、さらに米国雇用統計を受けた金融政策見通しの変化など、複数の悪材料が重なったことで投資家心理が悪化し、ビットコイン価格は大幅に下落する展開となりました。
週初、米国のビットコイン保有企業であるストラテジー社(旧マイクロストラテジー)が米国証券取引委員会(SEC)へ提出した8-K報告書において、保有するビットコインの一部である32BTCを売却していたことが明らかとなりました。
売却数量自体は極めて限定的であり、市場全体に与える直接的な影響は小さいものの、これまで一貫してビットコインの長期保有を掲げてきた同社が売却を実施した事実は市場参加者に大きな衝撃を与えました。
これを受け、将来的に同社による追加売却が行われる可能性や、他の機関投資家による利益確定売りが広がる可能性が意識され、ビットコイン価格は下落基調を強めました。
さらに週央にかけては、2014年に経営破綻した暗号資産取引所マウントゴックスのウォレットから10,306BTCが新規ウォレットへ移動したことがオンチェーン分析企業アーカムのデータによって確認されました。
もっとも、今回の移動先は取引所ではなく新規ウォレットであり、直ちに市場売却につながるものではないとみられております。
しかしながら、マウントゴックスは依然として多額のビットコインを保有しており、今後予定されている債権者への弁済に伴う売却圧力への警戒感が改めて高まりました。市場では将来的な供給増加リスクが意識され、ビットコイン価格は70,000ドル割れまで下落する展開となりました。
5日に発表された米国雇用統計も市場の重荷となりました。5月の非農業部門雇用者数は市場予想の8.5万人増を大幅に上回る17.2万人増、3-4月の雇用者数も大幅上方修正となり、米国労働市場の底堅さが改めて示される結果となりました。
雇用環境の堅調さは米国経済にとっては好材料である一方、インフレ圧力の長期化につながる可能性もあることから、市場では年内の利上げ観測が上昇。これを受けて米国株式市場はこれまで株式市場を牽引していたハイテク株中心に大幅安となりました。
暗号資産市場もリスク回避姿勢の強まりからビットコイン価格はさらに下落し、今年2月に記録した年初来安値である60,000ドルを一時的に割り込む場面も見られました。
資金フローの面でも弱い動きが続きました。
ビットコイン現物ETFからは先週1週間で17億2,000万ドルの純流出が確認されており、4週間連続して10億ドルを超える資金流出を記録。年初以降、機関投資家マネーが流出傾向を強めていることは、市場にとって大きな懸念材料となっております。
今週は10日に米国消費者物価指数(CPI)、11日に米国生産者物価指数(PPI)の発表が予定されております。
米国企業決算発表が一通り終わり、市場の関心がミクロからマクロに移る中で市場予想を上回るインフレ率が確認された場合には年内の利上げ観測が強まり、リスク資産に対する売り圧力が高まる可能性があります。
一方、インフレ鈍化が示されれば投資家心理の改善につながることも期待されるため、今後の相場の方向性を占ううえで重要な材料となると思われます。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がETH価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【5/31~6/6週の主な出来事】

【6/7~6/13週の主な予定】

【今週のひとこと】 IPOに広がるトークン化株式の活用
2026年6月6日、海外暗号資産取引所大手であるKrakenを傘下に持つトークン化株式プラットフォームであるxStocksは、SpaceXを同プラットフォーム初のトークン化IPO銘柄として発表しました。これに伴い、欧州経済領域(EEA)を含む110超の市場で参加意思の表明受付を開始しています。
割り当てを受けた投資家には、原株を1対1で裏付ける「SPCXx」が付与され、上場後はKrakenおよびxStocks関連プラットフォーム上で24時間365日の取引が可能となる予定です。従来の証券市場と比較し、取引時間やアクセス面の制約が少ない資本市場実現を目指す取り組みとして注目されています。
従来、IPOの初期配分は、地域や証券口座、引受証券との関係性などにより、一部の投資家に参加機会が偏りやすい側面がありました。今回の仕組みは、そうした一次市場へのアクセス構造を、ブロックチェーン基盤の上で再設計しようとする試みといえます。
一方で、日本、米国、英国、カナダ、豪州などは対象外とされており、トークン化株式が直ちにグローバル標準となる状況にはありません。制度面では依然として各国・地域ごとの規制対応が必要であり、現時点では技術的な可能性が先行しているものの、展開範囲は限定的な段階にあるとみられています。
今回の事例は、トークン化証券が二次流通の実験段階から、資本市場インフラそのものへと接近し始めていることを示唆しています。本格的な普及に向け、今後は利便性や流動性の向上に加え、日本を含む各国規制との整合性確保が重要な論点となりそうです。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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