2025/06/16
暗号資産週間レポート(2025.6.8~2025.6.14)
SEC委員長発言でBTC上昇も中東情勢で急落、今週は政策金利&軍事衝突リスクに注目!
【6/8~6/14週のサマリー】
・ビットコインは米中貿易交渉進展やSEC委員長の好意的発言を受け、110,000ドルを回復
・消費者物価指数(CPI)の下振れでドル安が進行し、ビットコインの再上昇に寄与
・イスラエル・イランの軍事衝突でリスクオフが加速し、ビットコインは一時急落
【暗号資産市場概況】
6/8~6/14週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲0.99%の15,179,600円、ETH/JPYの週足終値は同▲0.35%の364,325.0円であった(※終値は6/14の当社現物EOD[6/15 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、アトキンスSEC委員長の発言や米中貿易交渉の進展を受けてビットコインが節目の110,000ドルを回復する一方、イスラエル・イラン情勢の緊迫化により急落する場面も見られた。
週初、ビットコインは105,000ドル台から上昇し110,000ドルの大台を回復。ETFへの資金流入やロンドンで行われる米中貿易交渉への期待、さらにワシントンD.C.で開かれた第5回暗号資産円卓会議で、米証券取引委員会(SEC)のアトキンス委員長がDeFi(分散型金融)やセルフカストディを米国の価値観として支持し、過剰な規制を避けて前向きなルール整備を進めるべきと述べたことが好感された。
週央の11日(日本時間)に終了した米中貿易交渉では、レアアース(希土類)と半導体の貿易に関する合意が移行されるとの報道があり、ビットコインは再び110,000ドルを回復。この枠組みは両首脳の最終承認が前提であり、今後は各国での承認手続きに移る見通しだ。ただしその後、ラトニック米商務長官が「中国に対する関税適用停止の延長はないだろう」と発言し、米国側が主導権を維持したい意図もうかがえるため、今後も注視が必要である。同日に発表された米消費者物価指数(CPI)は市場予想をやや下回り、ドル安を背景にビットコインは再び110,000ドル台に乗せた。この結果は、トランプ大統領による関税措置が最終消費者にまだ十分転嫁されていないことを示唆している。
しかし、イスラエルとイランの対立が激化する中でビットコインは106,000ドルを割り込んで軟化。特に13日、イスラエルによるイラン攻撃の開始を受けて中東情勢が緊迫し、リスクオフムードが加速。株式や暗号資産などリスク資産が売られ、金(ゴールド)や債券、円などの安全資産が買われた結果、ビットコインは一時102,700ドル台まで下落した。イスラエル当局は、この攻撃をイランによる急激なウラン濃縮拡大に対応した先制措置だと説明している。これに対しイランは14日未明(日本時間)に報復攻撃を開始。双方の攻撃は続いており、事実上の交戦状態に突入した。ただしビットコインの反応は限定的で、一時は106,000ドル台まで回復する場面もあった。この背景には「デジタルゴールド」としての資産的評価があると見られる。
今週は日米英の政策金利発表が予定されており、特に米国では金利据え置きが大方の予想だ。一方、トランプ大統領はパウエルFRB議長に対してたびたび利下げを要求しており、11日のCPI発表後も「FRBは1ポイント(=1%)の利下げをすべきだ(Fed should lower one full point)」と発言。FRBは独立機関であり、大統領の要求に直接応じるとは考えにくいが、政策金利発表後の記者会見には注目が集まる。
また、米中交渉の首脳承認や、緊迫化したイスラエル・イラン情勢の行方にも注意を払う必要がある(イスラエル・イラン情勢については、下記「今週のひとこと」も参照されたい)。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【6/8~6/14週の主な出来事】

【6/15~6/21週の主な予定】

【今週のひとこと】中東緊迫化と「デジタルゴールド」の試練
6月13日未明(日本時間同午前)、イスラエルがイランの核関連施設に対して空爆を実施し、中東の地政学的リスクが急速に高まりました。これを受けて暗号資産市場は大きく下落。ビットコインは24時間比で5%下落し、一時102,746ドルまで急落。イーサリアムやソラナなど主要アルトコインも同10%超の下落となり、市場全体でリスク回避の売りが広がりました。暗号資産市場はこの局面で「デジタルゴールド」としての役割を発揮しきれず、米株先物と歩調を合わせて下落する展開となりました。
一方、金(ゴールド)や円といった伝統的な安全資産は買われ、金価格は1オンスあたり3,400ドルを突破しました。また、ホルムズ海峡封鎖への懸念から原油価格も急騰し、エネルギーコストの上昇がビットコインマイニング業界にとって新たな収益圧力となりつつあります。
※ホルムズ海峡は世界の海上石油輸送量の約20〜30%が通過する要衝です。
市場の混乱のなかでも、一部の機関投資家による積極的な買いも確認されています。ブロックチェーン上では、匿名の大口アドレスが約1億2,700万ドル相当のイーサリアムを購入したことが観測されました。また、日本の上場企業gumiや米SharpLink Gamingが暗号資産の保有を開示しており、企業の財務戦略における暗号資産の位置づけに変化の兆しが見られます。
軍事衝突はさらに拡大しており、イスラエル軍がイラン南部ブシェール州の世界最大のガス田を攻撃するなど、事態は収束の兆しを見せていません。このような地政学リスクの高まりは、暗号資産市場の成熟度と回復力を問う試練となっています。衝突直後にはビットコインなどリスク資産が売られましたが、市場が落ち着く中で「デジタルゴールド」としての再評価も進み、金や円と並ぶ資産保全手段としての存在感が徐々に高まりつつある兆しが見られます。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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