Market Report

マーケット情報・チャート

2022/09/21

経済指標が注目要因となり、マージ後はETHが下落を主導

先週のハイライト
  • BTCは22,800ドルの直近高値圏で米CPIを迎えた
  • 発表後12時間でBTCは2,000ドル(8.8%)、ETHは190ドル(10.8%)それぞれ下落
  • マージ・アップデート後、ETHは1,550ドルの下値抵抗線を突破し、下げ足を速める
  • ETHの先物ベーシスはフラットとなったが、先物価格はステーキング分をまだ織り込んでいない
  • ETHのボラティリティはマージ後10%程度に下落し、対BTCでは通常時の20%程度のプレミアムに戻る
  • ガンマは売り傾向の中、中期的なボラティリティはスポットの下落に合わせて下落

  • 先週の動き
    火曜日の米CPI発表前までは、暗号資産市場は強い動きとなり、BTCの直近の高値となる22,800ドル、ETHは1,760ドルまでそれぞれ上昇した。CPI発表後は暗号資産全体が下落に転じ、BTCは2,000ドル(8.8%)、ETHは190ドル(10.8%)ほど、それぞれ下落した。

    先週木曜日はETHのマージ・アップデートが注目されており、それまで価格は堅調に推移していたが、イベント終了後、ETHは1,550ドルのサポートを割り込んで下落基調となり、BTCとのクロスは0.078から0.07へ下落した。直近の安値はBTCが18,360ドル、ETHが1,280ドルとなっている。市場参加者はCPIとマージに備え、ロングポジションの調整は事前に行われていた模様。

    フローデータを見ると、EOSで強い売りがみられ、LINK、XRPがそれに続いている。他方、ADA、DOGEで強い買いが見られた。顧客別でみると、ファンド系、OTC業者、取引所が強い売り手となっており、地域別でみるとAPACが売り手となり、他の地域は売り買い拮抗していた。

    暗号資産先物市場では予想通りETHの大型アップデート・マージの実施直後に、大型アップデートによるハードフォークで発生したPoWのETH(ETHW)の価値が剥落したことで、ETHの対ドルベーシスはフラットに戻り、最終的にETHW価格はETH価格の1.15%となった。興味深いことにETH先物の価格にはETHのステーキングによる金利相当分のベーシスがいまだ織り込まれていない。従って、今後数カ月はベーシスが上昇し、ステーキング水準の4~6%程度で最終的には安定すると予想される。一方、現状のステーキング金利の織り込まれていない状態は、ただのミスプライス、もしくは、ステーキングでロックされたETHが解放される上海アップグレードに係る流動性プレミアムが織り込まれている可能性がある。

    暗号資産オプション市場では、リスクリバーサルが下高になっているにも関わらず、先週の米CPI後のスポット下落の際にボラティリティが上昇できなかったため、リスクリバーサルの下高の状態はアンダーパフォーマンスとなっている。ETHの大型アップデート・マージの後にETHの中期ゾーン(10月限月~12月限月程度)のボラティリティは100%から90%まで下落し、その後、スポットの下落が続くなか、下ストライクのオプションが買われているにもかかわらず、ボラティリティは90%前後で横ばいに推移している。

    今後の展望
    暗号資産の主要イベントが終了したため、市場では経済指標の動向に視点を移しており、FOMCは来年にかけての利上げ動向を見定めようと注目されている。下落スピードの影響から、上下両方向にボラティリティが高まっている。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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