Market Report

マーケット情報・チャート

2022/11/15

6月が最悪期かと思っていたら・・・

先週のハイライト
  • 火曜日のアジア時間にFTTとSOLが下落基調に
  • 火曜日のNY時間にFTXが買い手を探しているとのヘッドラインが出る
  • 水曜日にBTCは15,500ドル近辺、ETHは1,075ドル近辺の安値を付ける
  • 米CPIの結果はドル売りを誘い、BTCは18,000ドル台、ETHは1,340ドル台までそれぞれ上昇
  • 金曜日にFTXは米連邦破産法11条を申請したことでスポットは反落。連鎖破綻の懸念もあり月曜日のアジア時間には一段安に
  • 月曜日にバイナンスCEOのCZ氏が事業救済ファンドを設立する考えを表明
  • スポットは再び上昇し、ボラティリティは売られることに
  • 取引所間や暗号資産間での見通しの違いから、先物ベーシスは若干低下
  • BTC先物12月限のボラティリティは55%から80%まで上昇したのち、CZ氏のツイートを受けて70%まで低下


  • 先週の動き
    先々週の週末にアラメダ社は、バイナンスCEOが全量売却を示唆していたバイナンスの保有しているFTTを、22ドルで買う意思があるとツイートしたものの、火曜日の東京昼頃には価格を維持できず15ドルまで下落、その後24時間以内に3ドル以下まで下落した。その後は急速に事態が進展し、FTX社は資金引き出し停止を行い、バイナンス社がFTX社の買収を検討するために拘束力のない基本合意書に署名したと発表。しかし、木曜の東京朝にデュー・ディリジェンス(資産査定)の結果、バイナンスは買収を断念すると発表したことで、金曜夜間にFTXは米連邦破産法11条を申請した。

    先週の火曜日から水曜日にかけて主要コインは大きく下落し、BTCはバイナンス社の買収断念を受けて20,500ドル台から15,500ドル台まで下落した。その後、予想を下回る米CPIの発表を受けたドル売りの影響から一時18,000ドル台を回復したものの、再び下落し週末は16,500ドル~17,000ドル近辺での推移となった。ETHも同様の動きとなり、1,075ドル台の安値を付けたのちに米CPIを受けて1,340ドル台まで回復し、週末は1,220ドル~1,280ドル近辺での推移となったが、一方でETH/BTCは、2022年の70%の期間のレンジである0.050-0.085に対して、現状0.075と収まっており良く持ちこたえていると言える。SOLは、アラメダやFTXからの支援を受けていたこともあり、31ドル台から12.5ドル台まで大きく下落したコインの一つとなった。ステーブルコインも同様に、激しい値動きとなり、テザーは一時ペッグから外れて98セントを割り込み、一部の取引所では95円台を付けていた。今週月曜日の東京時間には、再び下落の動きとなっており、BTCは16,000台、ETHは1,200ドル台を一時割り込んだものの、売りの勢いは先週と比べると弱まっている。その後、バイナンスCEOのCZ氏が、暗号資産業界支援のため事業再生ファンドの創設についてツイートしたことを受けて、主要コインは4-5%ほど反発しており、今後のCZ氏の動向が注目されている。

    フローデータをみると、コインによって売り買いが交錯しており、BTCとETHは若干の売り越しとなっている。地域別にみると、レバレッジ解消の動きからアメリカ地域が大きな売り手となっており、欧州・中東やアジア地域は、ネットで買い越しとなっている。顧客別でみると、OTC業者と取引所が売り手となっており、銀行系やファンド系は買い手となっている。

    暗号資産先物市場の対ドルベーシスは、全般的に低下しているが、取引所や商品によって価格にばらつきが見られる。例えば、バイナンスでは、12月限月のBTC/USD(米ドル)先物は、年率6%程度のディスカウントで取引されているが、BTC/USDT(テザー)先物は4%程度のディスカウントとなっており、テザーのペッグ維持に不安が残るなか、対テザーよりも対米ドルでのショートを持ちたがっていることを示唆している。一方、デリビットでは、BTC/USD先物の12月限月は年率10%程度のディスカウントで取引されており、同取引所のビッドサイドの流動性が低下していることを示していると思われる。

    暗号資産オプション市場ではFTX、アラメダの信用不安が始まってからボラティリティは上昇基調となっており、12月限月の、BTCのATMボラティリティは50%~55%のレンジから70%~80%のレンジに上昇。25デルタのリスクリバーサルは、スポット下落のヘッジニーズの高まりから5%の下高から25%の下高に吹き上がっている。今週金曜日に満期期日を迎えるオプションのボラティリティはBTCで95%程度、ETHで135%程度となっており、一日あたりの値動きの織り込みは、BTCは片サイド800ドル、ETHは片サイド85ドルを示唆している。

    今後の展望
    一部からは価格がそれほど下落していないとの意見があるかもしれない。理由の一つとしては、信用不安が市場での最大のリスク要因となっており、市場参加者が取引所から資金を引き出すことに集中していることで、短期的には価格変動リスクが抑えられる要因となっている可能性がある。また別の理由としては、市場では既に下落トレンドの中でレバレッジ解消が進み、相対的にレバレッジ比率が低下していることがあげられる。その他にも、現在の価格帯が長期投資家にとっては魅力的となっており、直近のレバレッジ解消の動きを見てそれらの投資家からの買いが集まってきていることが想定される。

    今週は目立った経済指標もなく方向感の定まらない動きが想定されており、ヘッドラインに注目しどれが真実なのかを見極める必要が生じている。しかし、今回の破綻劇の詳細が明らかになり、暗号資産市場への信頼が回復するまでにはしばらく時間がかかると見られている。








    (提供:SBIリクイディティ・マーケット。本レポートはグローバルで大きな取引シェアを持つ暗号資産マーケットメイカーのB2C2社のデータを元に、SBIリクイディティ・マーケットが作成しています。)
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