2026/01/19
暗号資産週間レポート(2026.1.11~2026.1.17)
BTCの長期レンジ上抜けとFRBの政治的リスク顕在化――AI・デジタル金融時代における「非政治的資産」の再評価
【1/11~1/17週のサマリー】
・BTCは2025年11月以降続いていた価格レンジを上抜けた可能性が高まる週となった
・CPIが市場予想を下回る結果となったことで、インフレ加速への警戒感はやや後退
・トランプ大統領、グリーンランド問題で「協力しない国」への関税を示唆
【暗号資産市場概況】
1/11~1/17週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+5.53%の15,091,600円、ETH/JPYの週足終値は同+7.42%の523,750円であった(※終値は1/17の当社現物EOD[1/18 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、BTCが97,000ドル付近まで価格が上昇し2025年11月以降続いていた価格レンジを上抜けた可能性が高まる週となった。一方で、パウエルFRB議長に対する刑事訴追警告や、トランプ大統領による対欧州関税強化発言といった政治・政策リスクも意識され、市場全体では方向感に欠ける場面も見られた。米国のCPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことを受け、インフレ再燃懸念で買われてきた金や米国株は横ばい推移となったが、暗号資産市場は堅調な値動きとなった。
週初、ビットコインを中心とした主要暗号資産は、現物市場からの断続的な買いが確認され、価格は堅調に推移した。これにより、2025年11月以降続いていた上値の重いレンジ相場を上抜ける動きが見られ、市場参加者の間では「中期的なトレンド転換の兆し」との見方も浮上した。
一方で、パウエルFRB議長に対する刑事訴追の可能性を示唆する警告報道が市場心理を冷やす場面があった。FRBの独立性や金融政策運営への影響が懸念され、米国株式市場では一時的にリスク回避の動きが強まった。暗号資産市場でも利益確定売りが出たものの、下押しは限定的となった。
また、13日に発表された米国CPIが市場予想を下回る結果となったことで、インフレ加速への警戒感はやや後退した。これまでインフレヘッジ資産として買われてきた金や米国株は横ばい圏での推移となったが、株や金と比較してアンダーパフォームであった暗号資産は上昇した。CPIの結果を受け、FRBの金融政策スタンスに対する見方に大きな変化は見られず、市場全体としては落ち着いた反応にとどまった。
週末にはトランプ大統領がグリーンランド領有問題を巡り、反対姿勢を示す欧州諸国に対して最大25%の関税を課す可能性に言及したことも、市場の不透明感を高める要因となった。地政学・通商リスクの再燃が意識されるなかで、暗号資産がリスク資産として売られる局面も警戒されたが、実際には大きな資金流出にはつながらず、価格は高値圏を維持した。
今後は、レンジ上抜け後の価格水準を維持できるかどうかが焦点となる。現物主導の買いが継続する場合、中期的には上昇トレンド入りへの期待が高まる一方、米国の金融政策を巡る不確実性や、政治・通商リスクの再燃によっては再びボラティリティが高まる可能性もある。マクロ環境と現物フローの動向を見極めながら、慎重な市場参加が求められる局面が続きそうだ。
[BTC/USD週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[BTC/JPY週間チャート(30分足)]

(TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[ビットコイン現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
[イーサリアム現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格]

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)
(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)
【1/11~1/17週の主な出来事】

【1/18~1/24週の主な予定】

【今週のひとこと】パウエルFRB議長を巡る刑事訴追警告とFRB独立性への懸念
1月12日、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、米司法省から大陪審への召喚状を受け取ったと報じられ、市場の注目を集めました。報道によれば、FRB本部の改修工事に関する議会証言を巡り、虚偽説明の可能性が指摘されており、刑事訴追を示唆する警告とも受け取れる内容とされています。中央銀行トップが刑事リスクに直面する事態は極めて異例であり、金融政策を巡る政治的緊張を強く印象付ける出来事と言えるでしょう。
パウエル議長はこれに対し、金融政策判断に政治的圧力をかける前例のない行為だとして強く反発しました。FRBは本来、物価安定と雇用最大化という使命のもと、政治から独立した立場で政策運営を行う機関です。特定の政権や大統領の意向に左右されない独立性こそが、ドルの信認と金融市場の安定を支えてきました。
背景には、利下げを巡る政権との長年の対立があります。政権側は景気刺激を目的に利下げを求める一方、FRBはインフレ動向を重視し慎重な姿勢を維持してきました。今回の司法当局の動きが、こうした対立と無関係ではないとの見方も市場では根強く、FRBの独立性が損なわれることへの懸念が広がっています。
この問題は、株式市場だけでなく暗号資産市場にとっても無視できません。FRBの信認低下や政治介入への警戒が強まれば、法定通貨や金融システムへの不安が意識され、ビットコインをはじめとする暗号資産が「非政治的・非中央集権的な価値保存手段」として再評価される可能性があります。今後は、司法手続きの進展だけでなく、FRBの独立性を巡る政治的議論が市場心理にどのような影響を与えるのか、注視していく必要があるでしょう。
(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)
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